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山口
山口
今季のみどころ
J2リーグに舞台を移す山口。FW岸田和人の32ゴールに代表される圧倒的な破壊力を武器にしてJ3優勝を飾ったが、はたしてどのようなチームで、どういったサッカーをやってくるのか。まだ知られていないことも多いだろう。
スタイルを端的に表現すれば純然たるパスサッカーということになる。就任3年目を迎える上野展裕監督は山口の監督に就任以降、一貫してパス主体の攻撃を作り上げてきた。もちろん最終ラインや守備的MFの間で往復するだけのパスワークではなく、MF庄司悦大をキーマンに前へ前へと展開する熱さと厚さが魅力だ。
流れるように繋いだボールを決めるフィニッシャーたちにも華がある。昨季J3得点王の岸田はイレギュラーバウンドしたボールでも足を振り抜くセンスと体躯を兼ね備える。岸田に次ぐゴールを決めているMF福満隆貴はボールを持っても落ちないドリブルスピードがストロングポイント。そこに他の中盤選手やサイドバックも絡んで分厚い攻撃を繰り広げている。
JFLやJ3で長くプレーしてきた選手が多い。ゲームキャプテンを担うMF島屋八徳はJFLから駆け上がり、バク転のパフォーマンスが派手なMF鳥養祐矢はJFLで9年間の蛍雪を経てJ2に辿り着いた。彼らのようにJ2が初めてという選手も大半を占めるが、自分たちで掴み取った舞台だからこそチームの結束は堅い。「山口の志を背負い、走って走って、汗を流して最後まで戦い抜きたい」と上野監督。J3を席巻した昨季同様に、今年もJ2を熱く盛り上げる。
Reported by 上田真之介
開幕時の予想布陣
ゲーム展開や選手の顔ぶれによっては4-4-2や3トップなどもオプションとしていたが、ベースになるのは4-2-3-1。メンバーとしても昨季の主力選手を中心とした構成になりそうだ。ただ、FW登録選手は少なく昨季も1トップのFW岸田和人への負担が大きくなった。新たに鳥取からFW中山仁斗を補強して充実を図っているものの、幾ばくかの不安を残してのシーズン入りになる。
もう一つの特徴はスモールラインナップ。岸田やDF福井諒司は上背があるが、チーム全体としては大型選手よりも小柄で足元の技術がある選手が多い。だからといってそれがウィークポイントになるのではなく、山口らしいパスサッカーの礎となってきた。守備面で相手チームの強力な個の力に対して抗いうる新顔を招いたが、攻撃の部分では今季も体格に頼らない山口スタイルを貫く。
システムの中で鍵になるのはMF庄司悦大。研ぎ澄まされた技術とサッカーセンスを持つ庄司は今季、背番号を44番から10番にジャンプアップし、名実ともにチームの要となってゲームを作り出す。GK一森純は若き守護神だ。昨季はGKコーチがいない中でも努力を重ね、クロスボールやセットプレーへの反応が著しく向上。守備から攻撃に転じる際のフィードも精度が上がった。
例えるなら、一森発、庄司経由、岸田行きの全員サッカー。島屋八徳、福満隆貴らの中盤やサイドバックなどもパスワークに絡んで行く。J2を舞台にしても、変わらぬ魅力高いパスサッカーを見せつける。
Reported by 上田真之介
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