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群馬
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今季のみどころ
服部浩紀監督自身が決めた今季のチームスローガンは「覚悟」。3年契約の2季目に挑む指揮官は「この世界は結果がすべて。結果が出なければ先はない。『覚悟』を決めて今季へ臨む」と、拳に力を込める。
2年連続で18位に沈んでいる群馬だが、例年同様、戦力は決して潤沢ではない。しかし、J2戦線のダークホースとなる魅力を秘めている。その原動力となるのは、チームの一体感だ。下位からの脱出を図るクラブはオフ、主力を含めた大量16選手に戦力外通告を下すという大胆なチーム改革を敢行した。今季の新加入選手はブラジル人3選手、アマチュア登録4選手を含めた20人。全体の約3分の2が入れ替わったことなる。
服部体制2年目は、まさにゼロからのスタート。不安はもちろんあるが、それを払拭するムードがチーム全体に生まれている。ベテラン、中堅、若手のバランスが良く、適度な緊張感と一体感が芽生えているのだ。
指揮官が、重きを置くのは守備強化だ。「勝点を積み上げるには守備の安定が不可欠」(服部監督)とチームは今季、坪内秀介、一柳夢吾、清水慶記らJ1経験を持つ守備プレーヤーを積極的に獲得した。さらにベテラン松下裕樹、新ブラジル人チアゴの新ボランチコンビの連係も上々で守備は計算できる。
2016シーズンの群馬は堅実な守りをベースとした「堅守速攻」でJ1昇格プレーオフ圏内を狙う。新主将・坪内秀介は「ひとりで守るのではなくチーム全体で守ることが大切。選手一人ひとりがどれだけ自己犠牲できるかが結果につながっていく」と指摘する。
服部監督が求めるのは、内容ではなく結果。群馬はひたむきに結果を追求することで新たな歴史を切り開く。その先にだけクラブの未来が待っている。
Reported by 伊藤寿学
開幕時の予想布陣
基本フォーメーションは4-4-2。服部浩紀監督の求めるサッカーは、組織的なブロックで相手の攻撃を弾き、縦に素早くボールを送る「堅守速攻」。昨季は、ポゼッションと速攻の棲み分けができず攻守のバランスが整わなかった。今季は、カウンター重視へと舵を切ることで、チームの方向性を示す。
昨季の群馬は、総得点34総失点56。今季はこの数字を反対にすることがミッションだ。守備強化を図るチームは、DF坪内秀介、GK清水慶記の地元出身選手を獲得しライン安定を図る。坪内に加えて一柳夢吾、青木良太、乾大知、川岸祐輔がひしめくセンターバックは、レギュラー争いの最激戦区だ。
中盤は、昨季Jリーグ初のイエローカード100枚を記録したベテランボランチ松下裕樹が軸。相方をつとめるチアゴも攻守全般の能力が高く、中盤の底は盤石だ。2列目は、昨季最終戦で右ひざ前十字じん帯を断裂した吉濱遼平の不在が響いているが、左利きの司令塔マテウスのコンディションが整えばカバーできる。また一部上場企業の内定を断って群馬入りを決めた異色のルーキー瀬川祐輔もブレイクの予感を漂わせる。
2トップは、熊本から移籍してきた常盤聡がエース候補だ。昨季は結果を残せなかったが新天地での復活を狙う。前線のターゲットとなるのは、パワー系FWボカ。コンディション面から開幕スタメンは難しそうだが、ゴール前での迫力はケタ違い。DFをなぎ倒すようにして繰り出す強烈なヘッドは、群馬の最大の武器となる。攻撃に関しては、ボカ、マテウスの両ブラジル人と常盤、高橋駿太らのコンビネーションがカギだ。
今季の群馬は守備が計算できるだけに、攻撃の仕上がりが焦点。実力未知な新ブラジル人のチアゴ、マテウス、ボカがチームにフィットすれば、混戦を突き抜けていく可能性も十分だ。
Reported by 伊藤寿学