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徳島
徳島
今季のみどころ
1年でのJ1返り咲きを目標に掲げて挑んだ昨季であったが、最終順位は14位。徳島はJ1プレーオフ出場権争いにすら絡めず、ぎりぎり中位という前年J1で戦っていたとは思えない無残な結果に終わった。それだけに今季には大きな変革が絶対不可欠と言えよう。昨季からどう変われるのか──。それがチームに強く問われるのは間違いなく、やはりその変革が2016シーズンの徳島における一番の見どころだ。
実際それを分かっているからこそ徳島は変革に向けた大きな準備を行った。言うまでもなく、指揮官の交代。4年続いた小林体制に別れを告げ、長島裕明新監督に再建を託したのである。Jクラブのトップチームを率いた経験はこれまでないものの、それゆえのフレッシュな考えや発想に期待し、同時にヘッドコーチとしてすでに3年間チームを見続けてきた実績に対する信頼も併せて、徳島は長島新監督に懸けたと言っていいだろう。
そして当然その長島新監督の手腕には注目が集まっているが、中でもとりわけ昨季の組織基盤をどう扱うのかという部分は興味深い。長島新監督としては小林伸二前監督の右腕となり自らも構築に尽力してきた基盤とあって信用を置きたいであろうが、しかし昨季その基盤は残念ながら上手く機能しなかった。となればそこへメスを入れないわけにはいかないはずで、それをどれだけのスケールで行うのかというところは非常に大きな注視ポイントとなる。
そしてもうひとつ、見どころとしてぜひ挙げておきたいのが、新しいチームの象徴は誕生するのかという点だ。ある意味これも変革のひとつ。
今季は2010年からずっとその座にいた津田知宏が横浜FCへ移籍。年によって調子の波はあったものの彼がそう呼べる存在だったのは事実だけに、徳島としては代名詞と言える選手を失ったこととなり、そのため新たなそれの出現が求められる。昨季在籍の顔ぶれから見れば、佐藤晃大や木村祐志、ニューカマーを見渡せば岩尾憲や渡大生がその候補のように思われるが、果たして新生徳島を象徴するだけの選手は今季現れてくるのだろうか。
いずれにしても徳島は昨季からガラリと変わらなければならないし、選手、スタッフはそれを理解してそのための取り組みに懸命の姿勢を見せている。チームの推し進める変革から今季は目が離せない。
Reported by 松下英樹
開幕時の予想布陣
二次キャンプでは4-3-3や4-1-4-1も試され、4-3-3についてはやり易さを感じた選手も少なくなかったようだ。しかし、現時点の可能性として最も高いのは4-4-2。そこで、ひとまずはそのシステムをベースとして開幕スタメンを探ることにする。
まずGKだが、その座を争うチーム内競争はおそらく他のポジションのそれよりも激しいと言えるだろう。重ねた実績により厚い信頼を得ている長谷川徹が正守護神に最も近いのは間違いないであろうが、その長谷川はやや故障を抱えてここまでのキャンプを別メニュー調整で過ごしている。その間に相澤貴志が新加入選手らとも連携を深めることで存在感を増してきているし、つい先日リオ五輪出場を決めてチーム合流を果たした杉本大地も実力的には全く遜色ない。そう考えると、やはりひとつしかない椅子を巡る競争は超が付くほどの激戦。故障を治すのに焦りは禁物だが、長谷川もゆっくりしてはいられないはずだ。
次に最終ラインへ目を移すと、中央は福元洋平と石井秀典が一歩リードの状況と思われる。どちらもリーダーシップが取れ、2人の相性も悪くないことから、いい組み合わせと言えるのではないだろうか。その上で、右は広瀬陸斗、左は内田裕斗と、両翼はエネルギー漲る若手が固めそうだ。ただ左に関して付け加えると、アレックスが戻ってくるシーズン途中には変更があるかもしれない。そのアレックスのコンディションが上がれば内田は一列前右サイドでの起用になる可能性もあるのは間違いない。
そしてチームを操る中盤に関しては、ボランチのカルリーニョスと岩尾憲、二列目左の木村祐志がほぼ当確だろう。となれば、残る右に誰が入るかだが、今のところ有力候補は大﨑淳矢か。チームとして重要視する守備を献身的にこなせるとあって、開幕スタメン確保の確率は高いように思われる。
最後に2トップだが、ここもかなりの激戦区。定位置を掴むのは昨年よりも確実に難しくなっている。だが、そんな中でも新加入の渡大生と再起を期す長谷川悠が開幕スタメンに名を連ねる雰囲気を感じさせているのは事実だ。佐藤晃大がケガで出遅れている現状もあることから、その2人が開幕戦の最前線を任せられるのではないだろうか。
Reported by 松下英樹