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京都
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今季のみどころ
昨年17位から今季は自動昇格圏内へ。今季の京都は、大いなる野望を持ってシーズンに臨む。昨季はチーム構築で混乱し順位を降下させ、その修復に手間取った。だが、それを立て直した石丸清隆監督が続投となり、チームに「継続」の雰囲気が高まると、フロントも指揮官と相談を重ね選手を補強。チームの土台を固めることができた。昨年の失敗から学んだのは大きな一歩である。と、同時にこれだけの補強の後は監督の手腕次第となる。監督の責任が明確になった、ということだ。
選手の補強で目を引くのが守備陣の大改造。名古屋からセンターバックの牟田雄祐、左サイドが本職の本多勇喜を獲得。ブラジル人の守備的MFアンドレイ、そしてJ1でも屈指のGK菅野孝憲を補強。さらにC大阪から染谷悠太と、守備の立て直しについてはJ2でも屈指と言えるだろう。昨季、試合後の会見で多くの相手監督が京都DFの背後やセンターの脇を狙っていたと口にしているだけに、機動力があり、対人に強い選手を補強したのは指揮官の方向性が現れていると言えるだろう。
だが、駒井善成や宮吉拓実、伊藤優汰ら京都の顔とも呼べる選手の流出、さらには大黒将志を構想外とするなど得点力向上という面ではインパクトが弱いのも事実。ここを覆すためにも堀米勇輝や有田光希、そして石田雅俊、田村亮介ら若い選手の躍進が不可欠だ。或いは、ダニエル ロビーニョやイ ヨンジェら、前線の外国人の爆発で得点の好循環を生み出すか。攻撃陣の「不確定要素」を良い方向に導けるか、それが今季の浮沈を左右するだろう。
Reported by 武田賢宗
開幕時の予想布陣
今季は「各ポジションで競争をしてもらう」というチーム方針があるので、あくまで先発は「予想」でしかない。
注目すべきは前線が3枚ということ、3バックでも4バックでも前線は3枚になる、ということだ。石丸清隆監督は「前線から積極的に行ける」ように、昨年の守備から「若干やり方を変えた」と明かしている。具体的には、前線の3枚からボールに行くゾーンディフェンス、となる。ただし、前から行くことで中盤3枚の負担が増える、そこをどう対応するか。この守備連携の共通意識の浸透をキャンプ前から取り組んでいた。筆者自身は、前線3枚がボールに行くゾーンディフェンスは、Jリーグでは観たことがない(マンマークならあるが)。例えば広島型なら、サイドが下がり、守備ブロック時は1トップの1枚のみとなる。それが前線3枚となれば、相当アグレッシブなサッカーになるが、前線、中盤、最終ラインの戦術理解度はかなり高度になる。だが、実に面白いサッカーにトライしていると言えるだけに、楽しみなところだ。
攻撃では、アタッカー陣の飛躍への期待と共に、インサイドハーフの人材についても見逃せない。ここは、前へのスプリントで攻撃を活性化させてくれる山瀬功治と、バランス感覚に長けている佐藤健太郎が有力。だがこのポジションには、つなぎ役と鋭いパス出しを見せる國領一平、ボールのちらしとキラーパスが武器の和田篤紀、トータル的な能力の高さでは期待度No.1の永島悠史と個性のあるメンバーが揃う。ただし、ゲームを作るという点での経験不足や、肉弾戦での強度など、不安が残る部分もある。彼ら若手がポジションを奪えるまでに成長し、さらに前線の若い選手が台頭した時、京都はすごいチームに変貌しているはずだ。「補強ではなく、選手の成長で躍進するチーム」。今季の京都には、そこに大いに期待したい。
Reported by 武田賢宗