J1&J2クラブ戦力分析戦力分析一覧へ
清水
清水
今季のみどころ
初めてのJ2を舞台に再起を図る清水。もちろん最大の目標は「1年でJ1に戻ること」(小林伸二監督)に尽きる。そのための戦力は、昨年在籍していた選手の流出を最小限に留め、手薄なポジションにピンポイントの補強を行なって、ほぼ昨年のレベルを維持。広島に期限付き移籍したウタカに代わる選手は獲得していないが、FW陣には鄭大世、大前元紀、ミッチェル デューク、北川航也とJ2内ではハイレベルな駒が揃っている。
そして新たな指揮官には“昇格請負人”とも言われる小林監督が就任。J2の戦い方を熟知し、選手の能力を引き出すことに長けた指導者は、清水のようにJ2経験のない若いチームには適任のように見える。それはチームの雰囲気作りや、選手1人1人に対する細かい指導を見ていても実感できる。
また、小林監督というと「守備的なサッカーになるのでは…」というイメージを持つサポーターもいたが、その心配は無用。小林監督の信条は「選手の特徴を生かす」ことで、「今までやってきたよりも、質が高いことを求めてやれるという楽しみもある」と監督自身も語る。そのため今までの良い面は継承しながら、失点を半減させることと、守りを固めた相手から点を取ることの2点に力を注いでいる。
守備に関しては、昨年は34試合で65失点しており(1試合平均1.91失点)、それを1試合あたり1点以下に減らすことが目標。そのためにまずは、カウンターによる失点を減らすためのリスク管理を徹底させている。
攻撃では、従来の特徴であるサイド攻撃は維持しながら「(サイドから)押し込んでおいて幅を作る必要がある。幅を作って(相手を広げておいて)縦パスを入れるということができれば、もっとうちの選手の特徴が出せる」(小林監督)という部分に注力している。昨年のように焦って仕掛けて悪い形でボールを失い、カウンターを食らうのではなく、詰まったら冷静にパスを回しながら突破する隙間を作り、鋭く縦に仕掛けていく。それができれば失点の減少にもつながるはずだ。
勝点としては、自動昇格するには80以上(2勝1敗のペースで勝点84に)が必要と指揮官は考えている。42試合という長丁場の中では、思うように勝てない時期もあるだろうが、そこで自分たちを見失うことなく、チームが一体となって立て直せるか。そこも昇格のための大きなポイントになるだろう。その意味では、選手それぞれが心身ともにタフに成長していくことも欠かせない。
Reported by 前島芳雄
開幕時の予想布陣
システムは、4-4-2または4-2-3-1が主体になりそうだが、相手や状況によっては3バックもありうると小林伸二監督は示唆している。J2は3バックのチームが多いため、そこにどう対応していくかというのは課題のひとつになるだろう。
GKは、キャンプから西部洋平と杉山力裕がハイレベルの定位置争いを繰り広げており、ここは調子の良い方が出る形になりそう。センターバックは、落ち着いたビルドアップや統率力という面でベテランの角田誠が軸になりそうで、次は副キャプテンに任命された犬飼智也が一歩リード。だが、ヤコヴィッチ、三浦弦太、ビョン ジュンボンの3人もそれぞれ特徴があり、十分チャンスはありそうだ。サイドバックでは、右は鎌田翔雅と川口尚紀、左は福村貴幸と松原后の争い。とくに右サイドバックは、守り重視なら鎌田、攻め重視なら川口という構図で、興味深い競争となる。
中盤に関しては、ボランチが本田拓也、八反田康平、竹内涼、六平光成の4人で同列の争い。ここは小林監督がもっとも良い組み合わせを模索中で、疲労を考慮したターンオーバーもありうる。サイドハーフでは、白崎凌兵は左右どちらもできて軸になる見込みで、得点力のある石毛秀樹もキャンプから絶好調。そこに頭脳派の河井陽介やドリブラーの澤田崇がどれだけ絡めるか。スピードスターの村田和哉も、スーパーサブとしてだけでなく先発も虎視眈々と狙っている。
2トップは、鄭大世と大前元紀のコンディションが良ければ、その2人が中心に。ただ、ミッチェル デュークの高さやパワーも貴重で、2年目の北川航也も急成長を続けている。チーム全体でも、ポジションごとに2〜3人の拮抗した競争があり、その中で選手たちが切磋琢磨しながら成長していくことを期待したい。
Reported by 前島芳雄