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北九州
北九州
今季のみどころ
これほどのトピックに恵まれた年も珍しいだろう。チームとしてはJ1規格を満たす新スタジアム完成が1年後に迫り、J1への「チャレンジ」そのものがようやく可能になる。選手の面では昨季の主力選手のほとんどが残ったことに加えて、鹿島で10番を担い続けた本山雅志が加入。本山と同じく北九州市出身の池元友樹、刀根亮輔もメンバー入りしたほか、石神直哉と花井聖はディフェンスの再構築とビルドアップに貢献が期待される。
他のチームで結果が出ず苦しんでいた選手たちが北九州で開花するケースも多い。FW小松塁は昨季、キャリアハイの18ゴール。川崎Fから移籍して3年目となるボランチのMF風間宏希は全試合に出場し攻守の中心的存在となった。今季も新顔を含めて、彼ら再ブレイクを狙う選手たちの躍動が楽しみだ。
北九州は過去5シーズンに着目すれば、メンバーが大きく変わった13年の16位を除いて全て一ケタ順位に入っている。11年は6位と同勝点の8位、14年は5位にまで上り詰めた。指揮官が変われども技術の高い選手が集うのが北九州。柱谷幸一監督は「カウンターを狙いながらも、攻撃する時間をできるだけ長くしたい」と話し、技術に支えられたポゼッションと、小松らを生かしたカウンターの両オプションを追求する。
昨季は得点力の伸長の反面で、ディフェンスに課題を残したのも事実。しかし、ピンポイントの補強と、美濃部直彦コーチの招へいなどで改善に着手。総合力を伸ばしてJ1へのチャレンジを行う1年となる。
Reported by 上田真之介
開幕時の予想布陣
フォーメーションとしては過去3シーズンにわたって続け、結果も残してきた4-4-2がベースとなる。ただ、FWは列挙した小松塁、池元友樹以外にも昨季もほとんどの試合に出場した原一樹、長身でヘディングシュートも武器の大島秀夫も地力がある。左サイドのアタッカーとして井上翔太とポジションを競う本山雅志も登録はFWで、前線が充実。こうした選手たちの力を最大限に引き出すべく、3トップで臨むこともオプションとしては考えられそうだ。
選手層の厚さで言えば中盤も競争がヒートアップしている。両サイドハーフでは井上翔太、内藤洋平らもスタメンを張る力があり、本山と小手川宏基らの中に割って入る存在。ボランチもタレントが揃う。今季も風間宏希を中心とした布陣にはなるが、攻撃に出る回数も多い風間のチャレンジに対して、しっかりとカバーできる加藤弘堅や八角剛史をはじめ、ボールコントロールに長けた花井聖、競争の中で勝ち抜く決意を見せる新井純平も候補となる。
課題だった守備陣も石神直哉、刀根亮輔が加わって層が厚くなった。最終ラインを引っ張るキャプテンの前田和哉は昨季も37試合に出場。的確にラインコントロールする前田を軸に、センターバックでは力を付けてきた寺岡真弘や市川恵多もレギュラー争いに名乗り出る。左右サイドバックは前への推進力を付けられる顔ぶれ。充実の選手層を強みに、積み上げてきたサッカーのベースをさらに磨き、柱谷体制4年目のシーズンに出て行く。
Reported by 上田真之介