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町田
町田
今季のみどころ
FC町田ゼルビアにとって2016シーズンは“チャレンジ”の1年だ。15年のJ3を2位で終え、入れ替え戦を経て勝ち上がった「J2で22番目からのスタート」(相馬直樹監督)という現実をまず謙虚に受け止める必要がある。ただツエーゲン金沢が昨季の前半戦で快進撃を見せたように、新昇格クラブがサプライズを起こすことは可能だ。
J2のサポーターにぜひ注目してほしい町田の売りが鈴木孝司、鈴木崇文の“ダブル鈴木”だ。二人は2012年のJ2で最下位、降格という悔しい思いを経験している。
大卒新人だった鈴木孝は18試合の出場機会を得て、ポストプレーに強みを見せた。しかし再三の決定機をことごとく相手GKやポスト、バーに嫌われて無得点に終わった。ただ、彼は翌年のJFLで15得点を挙げ、現在は3年連続でチーム内得点王。12年には“ぎりぎり”で外していたフィニッシュを“ぎりぎり”で入れられるストライカーになった。右利きだが左足のシュートも巧みで、ヘディングも十分。加えて相手の位置、動きを見て柔軟、的確にフィニッシュパターンを選択できるところに彼の強みがある。15年のJ2・J3入れ替え戦では2試合で3得点を決めるなど、大舞台でも冷静にプレーするメンタルも魅力だ。26歳という最盛期に迎える今季のJ2では、きっと見せてくれるだろう。
鈴木崇は12年のJ2でも、第11節・横浜FC戦のハットトリックなど、計7得点を挙げている。サイドハーフを任される彼だが、左足から繰り出すFKやパス、シュートがとにかく得点に結びつく。視野が広く、何より左足から繰り出すキックの質が高いからだ。相馬監督の要求に応え、14年と15年と自らがゴール前に飛び出すどん欲さも出てきた。昨季は鈴木孝に次ぐ10ゴールを挙げており、やはり得点力が魅力だ。
Reported by 大島和人
開幕時の予想布陣
町田は相馬直樹監督が14年に復帰してから、一貫して4-4-2の布陣を採用している。過去2年の戦術面、連携面の積み上げもあり、そこを変える理由はない。メンバー編成も大きな変化はなく、攻撃陣のダブル鈴木(鈴木孝司、鈴木崇文)に加え、守備陣のGK髙原寿康、センターバック深津康太、MF李漢宰といったベテランが引き続いてチームを支えていくだろう。
しかし町田がJ2で戦う以上、J3で戦った昨季からの現状維持では、どうしても物足りない。新加入選手の中で"目玉"となる存在は中島裕希、谷澤達也の2人だ。中島はJ1で95試合、J2で257試合のキャリアを持ち、前への推進力と献身性を併せ持つFW。谷澤はJ1で164試合、J2で221試合のキャリアを持ち、タッチライン際の突破とチャンスメイクを強みとするMFだ。共に今までの所属チームでコンスタントに出場機会を得ている選手だとはいえ、彼らがどれだけフィットし、本来の能力を発揮できるかが町田躍進の条件となる。
F陣は増田繁人が新潟へ、平智広が東京Vへ移籍したこともあり、選手の入れ替わりがあった。長崎でJ1昇格プレーオフを経験した三鬼海、190cmの高さを誇る金聖基と人材は加わっており、シーズンが進むにつれて連携も深まっていくだろう。
町田には4年ぶりの昇格を勝ち取った勢いと、この2年間で深まった連携がある。新たに実績と高い能力を持つプレーヤーも加わり、期待の持てる状態で2016シーズンを迎えようとしている。
Reported by 大島和人