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横浜FM
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今季のみどころ
「ゲームのすべての面においてクオリティを高めていく。特に攻撃面だ。それによってサポーターに多くの喜びを与えたい。そして今シーズンの終わりには、トリコロールの色に誇りを持ってもらえるようにしたい」
新体制発表会でのエリク モンバエルツ監督の意気込みに、今季の見どころが集約されている。
昨季の年間総失点数は、J1で優勝した広島に次ぐ2番目の少なさ。フランス人指揮官の就任1年目だったが、「堅守」の伝統は踏襲され、今季も目途が立つ。だからこそ、日本での仕事に慣れた2年目は、欧州のエスプリを利かせた手腕で、攻撃のクオリティを高めることが使命となる。
だが、いくら“名シェフ”でも素材が良くなければ真価の発揮は難しいもの。その点で言えば、フレッシュな素材は多いが、未知数の部分が多い。昨季チーム最多の8点を挙げたアデミウソンは、G大阪へ移籍した。さらに今季こそ爆発が期待されたラフィーニャが、キャンプ中に全治6〜8か月の重傷を負い、長期離脱が決定的に。
ならば、若手の台頭が不可欠になる。現状では右サイドハーフの座を争うであろう、大卒3年目の天野純と東京Vから移籍してきた前田直輝の両レフティーがその最右翼。また、ユースからの昇格組である和田昌士と遠藤渓太も早い段階でトップの水に慣れれば、楽しみな逸材だ。彼らが覚醒し、攻撃の質が高まれば、監督が言う“トリコロールの色に誇りを持てる”シーズンに近づけるはずだ。
Reported by 小林智明(インサイド)
開幕時の予想布陣
フォーメーション予想図を見ての通り、昨年の主力メンバーが大半を占めると思われる。
GKを含めた守備陣は不変。無類の安定感を誇る小林祐三、説明不要の"鉄人"中澤佑二、昨季才能が開花したファビオ、ゲームメイクも魅力の下平匠の定位置は、揺るぎそうにない。最後尾では攻撃的GK飯倉大樹が構える。さらにGKの榎本哲也とセンターバックの栗原勇蔵という実力者もおり、中央部の層は厚い。両サイドバックの控えは、4年ぶりにチーム復帰した金井貢史が一人で担いそうだ。
ボランチから前のポジションでは、まず6季連続で主将となった中村俊輔とエースになりつつある齋藤学の2人は、不動の存在。1トップではラフィーニャ不在の今、経験の差で伊藤翔に一日の長がある。ボランチの位置にはモビリティが身上の三門雄大と喜田拓也が並びそうだが、ここ2年ケガに泣いた才覚ある中町公祐が、復活する可能性十分ある。
先発争いの一番のホットスポットは、右サイドハーフ。2月7日の福岡との練習試合(0-0)では、テクニシャンの天野純がスタメンに入ったが結果を出せず、新戦力ドリブラー前田直輝も、まだチームとのフィット感が足りない。現実的には、彼ら2人とキャリア十分の兵藤慎剛がポジションを争いそうだが、1月の青山学院大との練習試合(9-0)でハットトリックを決めた和田昌士の"本番"でのブレークにも期待。指揮官が誰を選ぶにせよ、決定力不足の不安をかき消すアタッカーの出現を求む!
Reported by 小林智明(インサイド)