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甲府
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今季のみどころ
昨季、序盤戦は断トツの最下位ながらも、1stステージ第12節から指揮を取った佐久間悟監督(GM兼任)は守備をオーガナイズして失点しないチームを作り上げ、V字回復で年間13位まで順位を上げた。
しかし、年間総得点26という貧打のチームは、バレー、阿部拓馬、伊東純也、下田北斗と複数得点を果たした選手全員がチームを去り、得点力不足にターボがかかる懸念が大。クリスティアーノが柏からレンタルバックしたことで、彼を活かすことが攻撃面では最大の補強になる“はず”だが、宮崎キャンプ終盤でもその形はまだ見えていない。セットプレーは大きな武器とすることができそうだが、これを含めて開幕までにクリスティアーノを中心とした攻撃の形を作ることができるかどうかが重要になる。
ただ、主導権を取る時間を長くして相手を崩して決定機を増やすことは難しく、昨季同様に堅い守備からカウンター中心の攻撃が現実的。そのためには黒木聖仁、新里亮ら20代の新加入選手を組み合わせた守備のコンビネーションの熟成が必要。宮崎キャンプでトレーニングマッチを重ねる中、紅白戦では出てこない現実的な課題に選手が直面し、それによって熟成が進みそうな感じがある。今後は、開幕に向けてある程度先発選手を絞り込み、固定することでチームとして熟成できるかどうかが序盤戦の鍵となる。
吉野峻光、ビリー セレスキーという攻撃面で核になりそうな技術が高いMFが加入しているので、彼らを新井涼平、畑尾大翔、橋爪勇樹、稲垣祥、河本明人ら中堅の20代の選手と大エースのクリスティアーノに絡めながら活かすことができれば、中位の上で上位陣を苦しめる戦いもできるはずだ。ただ、ギリギリの残留争いも覚悟している…のでどんな展開になっても失望することなく、ファン・サポーターと共にポジティブに戦う。直近の3シーズン、降格候補と目されながらも残留してきた献身と覚悟を4年連続で発揮したい。
Reported by 松尾潤
開幕時の予想布陣
2月9日に宮崎で行われた大宮とのトレーニングマッチまでは新加入ブラジル人のFWニウソン、左ウィングバックのジウトンが先発入りする可能性を考慮する必要があったが、その試合後に佐久間悟監督は「ニウソンとジウトンは現時点では開幕戦に向けてファーストチームでプレーすることは少し厳しい。開幕戦に関してはファーストチョイスからはかなり遠ざかった」と明言。
そのために、開幕戦の先発予想は難しくなったが、絶対的なピースであるクリスティアーノが何処に入るかがポイント。クリスティアーノが決まらなければ、周辺のポジションも決まらない。ニウソンがいればシャドーで決まりだったが、守備の負担を軽くできるワントップ起用ならシャドーの選択自由度が広がり、攻撃的な選手と守備力の高い選手の組み合わせで安定感を出しやすい。守備力の高さと運動量を考えれば稲垣祥は信頼度が高い1枚。そして、オーストラリア元代表のビリー セレスキーはボランチが本職ながら、シャドーで起用することもできそう。派手さはないが繋ぎの巧さのレベルは高く、彼がJリーグの感覚に慣れてくればシャドーで決定機に繋がる仕事ができそう。
昨季30代後半から40代前半の大ベテランが支えた3バック。今年もスタート時点では20代の選手が割り込むだけのアピールはできていない。故障で出遅れた山本英臣が間に合いそうなので、彼を中心にベテラン勢がポジションを守りそう。水戸から加入したセンターバックの新里亮がストッパーで起用される可能性はあるが、キャンプの段階では右ウィングバックが濃厚。失点しないことが得点することよりも重要になるチームだけに、守備力の高いウィングバックと3バックでスタートするのではないだろうか。ボールの奪い方、奪いどころがある程度明確になればカウンターを中心とした攻撃に厚みを加えることもできるはずだ。
Reported by 松尾潤