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福岡
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今季のみどころ
「我々の目標はJ1残留ではない。それは最低限のラインとして、少しでも上を狙う」(井原正巳監督)。過去2度の昇格も1年での降格を余儀なくされたが、20周年目の昨シーズンに大きく飛躍した福岡は、その勢いのままに、新たな歴史を刻むべく5年ぶりのJ1の舞台に挑む。
戦いのベースは、昨シーズンに培った堅守速攻。運動量、球際の厳しさ、局面での粘り強さでゴールに鍵をかけ、奪ったボールを素早く縦に運び、ウェリントンを軸にしてゴールを目指す。J1の舞台では厳しい戦いが続くことが予想されるが、個の能力をレベルアップし、組織力を高めてJ1の舞台での躍進を誓う。チームが設定する目標は勝点46。昨シーズンの9位に当たる成績だが「高い目標設定とは思わない。実現できるからこそ設定した数字。自分たちは、その実現に向けて戦うだけ」と城後寿は話す。そして、誰もが同じ想いでいる。
そんなチームを、フロント、地元財界がバックアップする。フロントが掲げる目標はスポンサー獲得数1,500社に加え、1試合平均入場者数15,000人。また、昨年発足した福岡の支援組織であるAGA(アビスパグローバルアソシエイツ)の榎本一彦会長は「これからが本番。今までは土俵で言えば十両。これからが幕内。まずは三役にならないといけない。その次は横綱。それまでの長い旅路を我々はサポートしていかなければいけない」と強力なバックアップを約束する。
そして、このチーム、フロント、地域住民の一体感こそが福岡の躍進の源。今シーズンも一体感を最大の武器に戦い抜く。
Reported by 中倉一志
開幕時の予想布陣
昨シーズンの主力クラスの選手が数名抜けたが、そのポジションに新たな選手を獲得。さらに、J2で培ってきた堅守をJ1でも通用させるために、守備陣を中心に補強を行った。ゴールを守るのは韓国代表のイ ボムヨン。センターバックには、対人プレーに強く、スピードもあるキム ヒョヌンが加わり、もう1枚は濱田水輝を中心に、堤俊輔、新加入の實藤友紀が激しく争う。
攻撃陣には大きな変化はないが、左サイドハーフでの先発が予想される為田大貴は、スピード、ドリブル突破に加え、タメを作れる選手でもあり、井原正巳監督は「攻撃にアクセントをつけられる選手」と話し、期待を寄せている。
そして、最大の注目を集めているのが元コロンビア代表のダニルソン。2010年の名古屋のリーグ優勝に貢献し、Jリーグベストイレブンの受賞経験もあるなど実績は十分。来日が遅れたためフィジカルコンディションは万全とは言えず、開幕戦の出場は微妙だが、補強の最大の目玉として注目を集めている。また、ダニルソンの加入で、前線のウェリントンから、GKのイ ボムヨンまで、中央に強力な軸が出来ることになり、チーム力が大きくレベルアップする可能性を秘めている。
これらの新加入選手を加えた布陣は、いずれも運動量が豊富な選手が揃い、若さと経験がバランスよく整えられ、両サイドの選手層の薄さも、補強、若手の台頭で解消された。今シーズンも3バックと4バックを併用して戦うことになるが、「J1で戦える十分な戦力が整った」と話す井原監督が、新しい戦力を加えて、どのような采配を振るうのかに注目だ。
Reported by 中倉一志