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湘南
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今季のみどころ
沖縄の空の下、指揮官の声が激しく響く。
「ファスト! ファストプログレッション!」
曺貴裁監督は今季のテーマに超越ならぬ「挑越」を掲げた。言葉に込めた想いをこんなふうに掘り下げる。
「湘南のトップの監督をやらせてもらって今年5シーズン目になりますが、いままで積み上げてきたことをそのままやって通用するほどJ1は易しいリーグではない。自分たちがいままで築いてきたことはもとより、新しく自分たちが積み上げていくことに挑み、今季ここに集まったメンバー全員で手を取り合ってハードルを越えていきたい」
今季、新たな積み上げとして志向するのは、より攻撃的なサッカーだ。攻撃と守備を隔てて考えるのではなく、たとえばボール奪取も攻撃の一環と捉え、つねにアタックを意識する。あわせて、ひともボールもスピーディーに動き動かし、なおかつ多くが係わっていく。キャンプ地の沖縄をはじめ、指揮官が折に触れ選手たちに投げかけている「ファストプログレッション」はすなわち、ゴールへの速い前進を指し、加えてプログレッションには連動という意味も含まれている。
キャンプ中、指揮官はあらためて選手たちと湘南スタイルの意味を共有している。
「スタイルを出していくことが目的ではない。我々のスタイルは勝つためにある」
コンパクトに連動し、攻守にシームレスなノンストップフットボールが相手の思考を凌駕する。勝点3のために、湘南スタイルは今季さらなる深化を見る。
Reported by 隈元大吾
開幕時の予想布陣
9人の新加入選手を含む29選手がライトグリーンのユニフォームを纏う今季、システムは曺貴裁監督が2012年の就任以来おもに採用している3-4-2-1がベースとなろう。ただ、フィールドプレイヤーは皆、複数のポジションでプレーの幅を広げており、システムもまたゲーム戦術や展開に応じて柔軟に選択されそうだ。
チーム内の競争という視点で見れば、GKからFWまですべてのポジションで争いは激しい。元オーストラリア代表のタンドウ ベラピらを擁するGKに始まり、坪井慶介と島村毅の両ベテランをはじめとするDF陣、ボランチのパウリーニョや両ウイングバックに左右のセンターバックをこなす奈良輪雄太も存在感を放つ。FWはとりわけ激戦区だ。たとえばそんなふうに、それぞれが各ポジションで特徴を発揮している。加えて菊池大介のボランチ起用に代表されるように、新たな試みによって戦術はさらに深みを増す。前向きな意味で指揮官は最後まで頭を悩ませることになろう。
すべてのポジションにカッコを添えなかったのは、すべての選手が出場の可能性を有していることに等しい。もちろん開幕時の各々のコンディションなどにもよるが、ニュートラルに見る指揮官のこと、扉は全選手にあまねく開かれている。
曺監督のなかでスタメンとサブ、バックアップの別に優劣はない。選手の成長とチームの勝利を見据えた采配が今季も変わらず下されよう。個々がチームを忘れず、勝点3のために自身を発揮する集団にあって、チーム内の競争もまた勝利のための切磋琢磨に他ならない。
Reported by 隈元大吾
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