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仙台
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今季のみどころ
主力の流出を少数に抑えられた今季は、土台作りに追われることの多かった昨季よりも上積みに力を注げそうなシーズンといえる。渡邉晋監督は、堅い守備から状況に応じた多様な攻撃を繰り出すため“堅守賢攻”というキーワードのもとで長期的なチーム作りを進めているが、今季は特に「“賢攻”にフォーカスする」とのこと。もちろん昨季に34試合で48失点を喫した守備の改善は引き続き進めなければいけないし、守備が安定してこそ攻撃に移れるのだが、守備一辺倒になってしまっても昨季からの上積みはできない。
似たようなプロセスのもとチームのスタイルを進歩させているドイツ・ブンデスリーガのボルシア・メンヘングラードバッハも参考にしつつ、チームは仙台のスタイルをより攻撃性を持ったものに変えていく途上にある。既に昨季終盤から「新しいトライの基礎となる部分を落としこんだ」(渡邉監督)ことを、新戦力を加えてさらに磨きたい。
昨季からはセンターバックの選手が多く移籍したが、平岡康裕や大岩一貴といった即戦力を補強。攻撃ではそれまでになかった変化をつけられる水野晃樹や三田啓貴が加わった。長期的にスタイルを継承するため、5人の新人が加入したことも特徴的だ。
当然、既存の戦力もプレーの質を上げ、プレーの幅を広げないことには生き残れない。別項の予想フォーメーションでは昨季の主力を多く並べたが、彼らも安泰ではない。今季のスローガンを“Build Up”と設定し、切磋琢磨とともにチームのスタイルを構築するシーズンとなる。
Reported by 板垣晴朗
開幕時の予想布陣
ベースとなるのは昨季も基本としていた4-4-2のフォーメーションと予想。ただし、攻撃時の流動性は増すものと思われる。攻撃パターンを増やすにはそうしなければならない、と換言すべきか。昨季も相手によって4-1-4-1や5-3-2に組み替えたことはあったが、それを流れの中でさらに臨機応変に使い分けられるかどうかがポイントとなる。
最終ラインを例にとれば、これまでに倣えば4バックだと菅井直樹のいる右サイドが攻撃的、石川直樹のいる左サイドが守備的、という形が基本だが、昨季に二見宏志が左サイドに入った時のように、左右同時に上げて中央にボランチの一枚が下り、サイドMFの片方がトップの位置に上がる3-4-3に近いビルドアップを試みる場合も増えるだろう。相手にとってプレスの的を絞りにくくなることが望ましい。
いずれの場合でも、攻撃の手段が増えるということは、守備に切り替えたときの基本ポジションに戻るパターンも増えるということ。守備においても、ボールを即座に奪い返す者、帰陣を優先する者の役割分担、あるいはどちらかへの統一、といったやり方を、状況に応じて明確にしなければならない。
そういったことを踏まえると、特に予想が困難なのがボランチのポジションだ。攻守両方の要であり、戦況によって彼らの立ち位置も大きく変わるだろう。なかなか入れ替わることの少ないポジションだが、昨季終盤のように"定まらない"というより、これからは"戦略によって変える"ということで予想しにくい場所になるかもしれない。
Reported by 板垣晴朗