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横浜FC
横浜FC
今季のみどころ
ミロシュ ルス監督が再登板し、開幕3連敗でスタートした昨季。指揮官の入院、帰国、途中辞任を経て、中田 仁司強化育成テクニカルダイレクターが後任監督に就任してチームを立て直し、一転して秋にはJ1昇格プレーオフ圏に肉薄。結果的には8位で終わったが、浮き沈みの激しいシーズンだった。今季は続いて中田監督が指揮を取り、昨季の「プレーオフ圏内、できれば自動昇格」から、目標を「J2優勝、自動昇格」へと一段階引き上げた。それは2007年以来のJ1復帰へ、クラブを挙げて本気で挑む姿勢の表れだろう。
絶対的エースFWイバら主力の大部分が残り、メンバー的にも戦術的にもベースの部分は固まっており、継続して臨めるのが強みだ。基本的に戦術はシンプルで、ボールを奪ったらまず相手最終ラインの裏を狙うか、前線のイバに預け、全体を押し上げる。それができないときは後ろからつなぎ、ボールを保持して攻める。あるいは、相手のプレッシャーがキツくてボールをつなげない場合は、割り切ってロングボールを蹴る。その順番はどちらでも良い。大事なのは堅守速攻やポゼションといったスタイルそのものではなく、「試合の中で何をするのが有効なのかを選手が判断し、共通意識を持って行うこと」を指揮官は求める。勝つために、極めて現実的なサッカーを、今年の横浜FCは見せていくだろう。
たとえるなら昨季のJ1と天皇杯を制し、クラブワールドカップで準優勝に輝いた鹿島のようなチームが理想。キャンプ地宮崎で行われたニューイヤーカップでは、その鹿島を相手に勝利して優勝を手にした。その手ごたえと自信を胸に、まずは開幕戦、優勝争いのライバルとなる松本をホーム三ツ沢で迎え撃つ。
Reported by 芥川 和久
開幕時の予想布陣
FWの1枚はイバで鉄板だが、開幕戦で2トップを組む最有力候補は、J2開幕日にちょうど50歳の誕生日を迎えるキング・カズこと三浦知良だ。90分のプレーは難しくても、その決定力と存在感、空気を変える力は昨季のアウェイ・C大阪戦で実証した通り。この特別な日に、何かをやってくれると期待せずにはおれない。
ただしカズが2/9に負傷したため、欠場の可能性も。その場合のファーストチョイスは津田 知宏となるが、JリーグDAZNニューイヤーカップで得点王となったナ ソンス、早稲田大学から加入した中山 雄希も巧みな動き出しでアピールしており、大久保“ジャンボ”哲哉も加えたポジション争いは加熱している。
中盤は昨季大きく成長した野村 直輝、佐藤 謙介、中里 崇宏が現時点で当確。注目は右サイドハーフで、昨季の主力の野崎 陽介に加えて、神戸からレンタル移籍加入の増山 朝陽、FCナントの下部組織で育った韓国人のジョン チュングンと、スピードやドリブルで単独打開できるアタッカーを2枚獲得した。現状はニューイヤーカップで活躍したジョンが一歩リードか。
ボランチは昨季まで主将を務めた寺田 紳一が腰痛で出遅れたが、いずれ佐藤と中里と激しいポジション争いを繰り広げることになるだろう。
最終ラインの補強の目玉は、町田から移籍してきたカルフィン ヨン ア ピン。対人の強さと高い危機察知能力で、カバーできる範囲が広く、西河 翔吾とのCBコンビは安定感抜群。ビルドアップにも期待が持てる。
最大の激戦区は、川崎Fから小宮山 尊信が加わった左SBだ。当初は右SBとしての獲得と思われたが、本人は左でのプレーを希望。実力と豊富なJ1経験を武器に、田所 諒、永田 拓也の主力2枚の争いに割って入るが、現在は年明けからの怪我で出遅れている。一方の右SBは、CBが本職の藤井 悠太に早稲田大卒の新人、新井 純平が挑む構図。もちろん小宮山が右に回る可能性も残されている。
最後にGKは、昨季はインフルエンザと怪我により出場数を減らしたものの、その間ゴールを守った渋谷 飛翔が名古屋に移籍した。今年で38歳を迎える大ベテラン守護神、南 雄太が今季も横浜FCのゴールに立ちはだかる。
Reported by 芥川 和久