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金沢
金沢
今季のみどころ
金沢を5年間率いた森下 仁之前監督が昨季限りで退任。クラブは新監督に柳下 正明氏を招聘し、将来的なJ1昇格を見据えたチーム作りを託した。昨季、J2・J3入れ替え戦に勝ち、何とか残留を果たしたのは記憶に新しい。今季の目標もJ2残留。今季から入れ替え戦が廃止されるため、20位以内でシーズンを終えることが最大のミッションとなる。
柳下監督は高い位置からボールを奪いにいくアクションサッカーで見る人を楽しませ、ファン、サポーターを増やそうとしている。さらに若手の育成も今季のテーマになることを考えれば、これらをJ2残留という目標とともに実現するのは難しいように思える。しかし、柳下監督は「難しいから、やれるんです。我々指導者も、より上を目指す。自分の中にはもっと上のものがある。そこができるのは、まずないだろう。だから指導者としてやりたいし、やれる。満足してしまったら終わり」と話す。
熊谷アンドリューが千葉へ移籍したものの、昨季の主力選手のほとんどがチームに残り、新たなシーズンを迎える。監督が替われば必然的にサッカーも変わり、すべての選手が同じスタートラインに立ったと言える。昨季までゾーンディフェンスを採用していた金沢だが、今季はマンツーマンディフェンスになりそうだ。柳下監督が自らのサッカーをチームに落とし込んでいく中で、昨季との違いに選手が戸惑いを見せる場面もあるが、それも柳下監督の想定内。人に対して強くいく守備でボールを奪い、縦方向へ素早く攻める。
Reported by 野中 拓也
開幕時の予想布陣
システムは「4-4-2」の採用が濃厚。そこには柳下 正明監督の「速く自分たちのボールにして攻撃したい」、「みんなが同じ距離を動いて守備、攻撃をしよう」という狙いがある。仮に3-4-2-1を用いた場合、裏のスペースを使われることを嫌ったWBが最終ラインに下がった結果、5-4-1になってしまう。すると前線が1枚になり、前から相手に圧力をかけられない。指揮官は高い位置から仕掛ける守備をするためにも「4-4-2」が最適だと考えている。柳下監督は「フリーランニングできる選手が多い」と話しており、その人数は想像を越えていたようだ。空いたスペースに次から次へと人が走り込む、縦に速いサッカーを志向する。
スタメンは全く読めないが、柳下監督の要求に応えられる選手が開幕戦のピッチに立っているはず。FWはストライカーの佐藤 洸一、高い、速い、うまいを理想に掲げる垣田 裕暉、本物のハードワーカー山﨑 雅人、サイドハーフとFWの両方でプレー可能な中美 慶哉や金子 昌広によってスタメンが争われる。
ボランチの山藤 健太はサイド、SBの小柳 達司はボランチでもプレーできるが、他にも昨季とは異なるポジションで起用される選手がいるかもしれない。最終ラインは昨季の主力がすべて残り、戦力ダウンはない。攻撃参加を得意とするSBの石田 崚真、CBには大卒ルーキーでビルドアップ能力の高い榎本 滉大が加わった。白井 裕人の加入によりGKも競争の激しいポジションになるだろう。
クラブは若手の育成を課題としている。大橋 尚志、垣田 裕暉、石田 崚真、宮崎 幾笑。彼らが金沢の地でブレイクを果たすのか。今季の注目ポイントだ。
Reported by 野中 拓也