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湘南
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今季のみどころ
0からのスタートと、指揮官はあらためて強調する。
「いまここにいる選手には何ができて何が足りないのか、彼らの個性はどこで活きるのか、いちばん得意なポジションはどこなのか。いままでの既成概念を打ち破っていく勇気も必要だし、いま一度セレクションしなければいけないと思っている」
例年同様、選手の入れ替わりがあるなかで、アカデミーからトップチームに昇格した齊藤 未月と石原 広教を含め、今季は9人の選手が新たに加わった。それぞれに個性を宿す31人のメンバーがチームの勝利と自身の成長を期して切磋琢磨する。
湘南を指揮して6年目、曺 貴裁監督はリスタートに「共走」を説く。
「共に走っていく、すなわちチームにしっかり入り、みんなで走っていく気持ちをつねに持ち続ける。もうひとつは『競争』、試合に勝つために選手同士お互いにいい競争をする、もしくは他のクラブと争う、もしくは日本代表や世界に近づくために勝負する。さらにもうひとつは今日走る(今日走)ということ。いまできることはいまやる、いま起きたことはいま解決する。そういったことを選手に伝えて練習を始めました」。
1年でのJ1復帰が期待されるなか、目の前の勝点3にすべてを傾ける姿勢は変わらない。「ひとつのキーワードは選手が生き生きすること」指揮官は言う。新たな可能性と成長と。伸びしろという余白に彼らがこれからどんな色を塗っていくのか、興味は尽きない。
Reported by 隈元 大吾
開幕時の予想布陣
あるとき語られた指揮官の言葉が思い出される。「世界の流れを見ても、組織のなかで個人が活かされ、組織は個人によって成り立っている。そういう表裏一体の個性の組み合わせが新たなハーモニーになっていかないといいフットボールはできない」。
たとえば昨季終盤、それまでは右アウトサイドを主戦場としてきた藤田 征也がシャドーで起用されたように、今季もまたそれぞれに新たな可能性が見出されそうだ。
フォーメーション図では各ポジションに一人ずつ配しているが、このチームにレギュラーという指定席はない。また複数のポジションを担える選手も多く、たとえば高山 薫がシャドーに周り下田 北斗がアウトサイドに入る、あるいは神谷 優太がボランチに入り菊地 俊介がシャドーに上がるというように、相手も踏まえながら、多彩な組み合わせが見られるだろう。
システムも然りだ。曺 貴裁監督が2012年に指揮を執って以来採用している3-4-2-1が中心となろうが、流動性の大切さを指揮官も語っているように、アンカーを置く3-1-4-2や4-3-3などのオプションも戦術に多様性をもたらすに違いない。
今冬の高校サッカー選手権を沸かせた杉岡 大暉ら高卒ルーキーから元日本代表の坪井 慶介をはじめとする経験豊富なベテランまで、人数分の才が集う。「共走」を胸に、互いに切磋琢磨しながら成長を期す。求める高みには誰ひとり欠けても届かない。
Reported by 隈元 大吾