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熊本
熊本
今季のみどころ
熊本は今年、J2に加盟して10年目のシーズンを迎える。2008年から昨シーズンまでの9年間、毎年、上のカテゴリーを目指して戦ってきたが、明確に「J1昇格」を目標として打ち出したのは今季が初めてのこと。昨年4月に起きた熊本地震に際し、全国から寄せられた支援に対する感謝の気持ちと、復興を進める県民、ホームタウンの足元を照らすべくチャレンジしようとの思いをこめ、「光となれ!絆 180万馬力」という言葉をクラブスローガンとした。
地震の影響で過密日程を戦わざるを得なくなったことで、チーム全体の底上げができなかった昨季。その反省を生かして、就任2年目の清川 浩行監督は、改めて選手達を鍛えることの重要性を示唆している。その背景には、主力と控え、あるいは経験のある選手と若い選手達の差を埋めていくことで、夏場やリーグ戦終盤も含め、シーズンを通してチームコンセプトを表現しようという狙いがある。そのコンセプトは「勝負にこだわる」ことと、「攻守におけるハードワーク」の2点だ。
前線からボールを奪いに行くスタイルは従来通りだが、今季はそれにより磨きをかけ、奪ったボールは素早く動かし、特徴の1つであるサイドアタッカーのスピードを生かしてゴール前に運び、チャンスを増やすのが狙い。そのために1人1人がハードワークし、球際の局面ひとつ、そし普段のトレーニングから、勝負にこだわることを求めていく。
昨季12点を挙げた清武 功暉が千葉に移籍したものの主力選手は概ね残り、一方では懸案だったDF陣を中心にバランスの取れた補強に成功。大きな目標に向け、節目のシーズンに臨む。
Reported by 井芹 貴志
開幕時の予想布陣
熊本は今季、新たに10人の選手が加わった。その中で開幕先発に最も近いのがMF上里 一将。高い経験値でゲームの勘所を抑えつつ、長短のパスでゲームを組み立てることにくわえ、精度の高いプレースキックはセットプレーのチャンスでも得点源として期待される。
3人体制となったGKは、昨季41試合出場の佐藤 昭大が1歩リードしている印象。しかし6年目の畑 実、新加入の野村 政孝もアピール中だ。
DF陣はセンターバック、左右サイドバックに新加入選手を迎えて層が厚くなった。現時点では昨季の主力メンバーが存在感を示しているが、CBには新加入のイム ジンウ、C大阪から完全移籍となった小谷 祐喜、加入2年目の薗田 淳もおり、場合によっては3バックを採用する可能性も出てくるだろう。サイドバックは右の三鬼 海、左の光永 祐也とも、それぞれプレシーズンの練習試合などで存在感を発揮し、開幕直前まで熾烈なポジション争いが続く。
中盤も激戦。ボランチは上里と村上巧の組み合わせが有力だが、熊本ユースから昇格した米原 秀亮、4年目の上村 周平、中山 雄登、上原 拓郎と顔ぶれは豊富。サイドアタッカーもスピードのある田中 達也と齋藤 恵太、テクニックのある岡本 賢明、菅沼 実、若手も嶋田 慎太郎に八久保 颯、ルーキー林 祥太と揃い、組み合わせ次第でそれぞれの特徴を生かした攻撃を展開できそうだ。
前線も今までは層が厚くなかったが、安柄 俊、グスタボの加入でバリエーションが広がった。現時点では平繁 龍一を軸にした2トップが濃厚で、こちらも組み合わせ次第で、高さ、スピードといった強みを表現できそう。
左利きの選手が非常に多くなっていることも今年のチームの特徴で、レフティのセンスがピッチ上でどう絡み合うかも見どころの1つになる。
Reported by 井芹 貴志