今季のみどころ

筆者は今、新幹線「のぞみ」で移動しながらこの原稿を書いている。思えば2010年、Ｊ２熊本の監督を務めた北野 誠監督が地域リーグ所属のカマタマーレ讃岐の監督に就任してから今季は8シーズン目になる。この車窓から眺める景色のように月日の流れるのは速い。香川にＪリーグを！と、地域リーグは1年、JFLは3年で駆け抜け、夢のＪリーグ昇格を果たした讃岐だが、Ｊ２での3年間は残留争いの主役を演じ続けた。北野監督を見ていると本当にサッカーが好きで、サッカーを通じて地元（北野監督は高松市鬼無町出身）に貢献することに喜びを感じているのが伝わってくる。負けず嫌いの北野監督がこの内容に満足しているはずは無い。

今季の讃岐は、北九州から昨シーズンＪ２リーグ得点ランキング6位タイの16得点をあげたFW原 一樹の獲得を筆頭に、横浜FCからDF市村 篤司、長崎からDF李 栄直の即戦力3名を補強した。攻撃的で魅せるサッカーを目指しながらつまずいた昨年の苦い過ちを繰り返さず、真に戦えるチームへの第一歩を確実に踏み出したと言っていいだろう。

守備陣では、主将で不動の守護神GK清水 健太と完全移籍が決定した4年目のDFエブソンを中心とした守りに新戦力の李と市村がどう溶け込むのか、攻撃陣ではFW原とツートップを組む昨季10得点のFW木島 徹也、2列目に並ぶ馬場 賢治、永田 亮太、高木 和正、渡邉 大剛と脂の乗った30代選手達が、連携しクリエイティブな攻撃を見せる事が出来るかが見所になる。チーム内で守備と攻撃の意思統一が出来、連携を保ちながら相手ゴールに迫る事ができれば北野監督の目指す新しいカマタマーレ讃岐像が誕生するだろう。

チーム始動日、北野監督は今期の目標を「6位以内、プレーオフ進出」と掲げた。持てる力の全てをかけたシーズンになるだろう。そしてプレーオフ進出にはＪ１ライセンスが必要だ。今季は、選手・監督・クラブ・ファン・サポーター・地域が一体となった「チーム讃岐」の本気度が試される1年になる。

Reported by 大森一（オフィスひやあつ）

開幕時の予想布陣

讃岐の基本フォーメーションは4-4-2。開幕スタメンは不動の守護神GK清水 健太（2年連続のキャプテン）を中心にセンターバックは今季完全移籍加入した4年目のエブソンと長崎から新加入の李 栄直。李には最終ラインからのビルドアップや前線へのフィードが期待されている。その左には小気味好いドリブルが持ち味の2年目の西 弘則、右に横浜FCから新加入の市村 篤司。市村は熊本時代にも北野 誠監督と一緒に戦った経験のあるファイターで、守備はもちろん前に行くスピードとクロスの精度が期待されている。この4人に若手の武田 有祐、砂森 和也、大卒ルーキーの中島 大貴、長澤 拓哉が出場機会を伺う。

ボランチにはミドルシュートが魅力の永田 亮太と左足の精度で勝負する地元出身高木 和正（副キャプテン・選手会長）、サイドハーフは左に馬場 賢治（副キャプテン）、右に渡邉 大剛が予想される。この他、2年目の荻野 広大、怪我から復帰の岡村 和哉、仲間 隼斗（副キャプテン）にも注目だ。特に仲間選手の溌剌とした動きは相手選手の動きが落ちてくる終盤により効果的だろう。

前線は昨季10得点でチーム得点王の木島 徹也と北九州から新加入の昨季16得点の原 一樹のツートップが予想される。互いにアシストし合う関係が生まれればゴール量産もあるだろう。この2人以外にもベテランの木島 良輔と我那覇 和樹、若手の森川 裕基と福家 勇輝の「ゆうきコンビ」が控え、FWの層は厚い。特に福家は地元出身ということで活躍を期待したい。

Ｊ２リーグ4年目の讃岐、「堅守速攻」から次のステージを目指す北野監督と一体になった選手達がどんなサッカーを見せてくれるのかとても楽しみだ。

Reported by 大森 一（オフィスひやあつ）

※予想スタメンは2月6日時点のものです。