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札幌
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今季のみどころ
5シーズンぶりにJ1の舞台へと姿を現す北国の雄、札幌。クラブとしての中長期的な目標は「J1定着」という、継続的に安定した戦績を挙げ続けるものではあるが、久しぶりにトップリーグで戦うこととなる今シーズンに限定すれば、やはり定着に向けた足掛かりとして、どんな形でも残留を果たしたいところ。クラブ発足20周年という節目の昨年に見事、J1昇格とJ2優勝を果たしているため、次の20年に向けた新たな第一歩としても着実な礎を築きたい。
「戦い方としては、やはり昨年のものがベースになる」と就任3年目の四方田 修平監督。昨シーズンは全員守備による組織的な堅守と、そこからのシンプルな速攻を貫いてJ2で独走状態を作り上げた。コンセプトはそのままに、より精度や強度を高めることでハイレベルなリーグで生き抜いていくつもりだ。
補強のコンセプトも明確。兵藤 慎剛(←横浜FM)、早坂 良太(←鳥栖)、横山 知伸(←大宮)ら、豊富な運動量を誇り、複数ポジションをこなせる献身的なハードワーカーを中心に新戦力を迎え入れた。個人で勝負を決める派手な選手は皆無に近いが、玄人好みの堅実な戦力アップを果たしており、また、既存の戦力ともポジション争いが見込まれる編成であるため、昨シーズンまでのメンバーの成長をも促し得る補強と言えるだろう。
手堅い補強と、地道な戦力アップで「どんな形でもいいからJ1に生き残る(都倉 賢)」という明確な目標をクラブ全体で共有し、2001年以来のJ1残留に挑む。
Reported by 斉藤 宏則
開幕時の予想布陣
バランスの良い3-4-3が基本フォーメーションとなる見通し。試合展開に応じて左右ウイングバックが引き気味になり、守備意識を高めた布陣となる。現在のチームの最大のストロングポイントは、こうして予想フォーメーションを並べてみても、100%的中と思える選手が極めてすくないということ。兵藤 慎剛、早坂 良太、キム ミンテがどこに食い込んでも不思議ではないし、金園 英学が最前線に君臨する可能性も大いにあり得る。
思い返せば、昨シーズンの札幌も激しいポジション争いを日々、行っていくことをベースにチーム力をジワリジワリと高めてきたが、今シーズンはそれをさらにワンランク高め、J1仕様のポジション争いをさせていく狙いなのだろう。絶対的に主軸となり得る新戦力がいない代わりに、競争によって既存の戦力の力を引き出すことのでき得る新顔ばかり。そうした、現有戦力の成長も含めて、今シーズンの札幌の戦力補強と見るべきだろう。
また、現所属のムアントン・ユナイテッド(タイ)がAFCアジアチャンピオンズリーグに出場するため、札幌への加入は7月頃が予定されているものの、“タイのメッシ”としてタイ国内で絶大な人気を誇るタイ代表MFチャナティップ ソングラシンもここに加わることが決まっている。高いテクニックで相手守備ブロックを突破するドリブルセンスを持ったチャナティップの存在は、アクセントとして大きく機能しそうである。
Reported by 斉藤 宏則