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柏
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今季のみどころ
引き続き下平 隆宏監督が指揮を執る今季は、昨季からの継続でチーム力の上積みを図る。自陣からの丁寧なビルドアップと長短のパスを織り交ぜながら攻撃を構築し、クリスティアーノ、ディエゴ オリヴェイラ、伊東 純也の“トリデンテ”に、ハモン ロペスを加えた破壊力のあるアタッカーを生かす攻撃的なスタイルで上位進出を目論む。
昨季は、一時は年間3位を射程に捉えたにも関わらず、終盤の失速によって年間8位にまで順位を落とした。その反省を踏まえ、今季の目標に「勝点60以上」を掲げトップ3、すなわちAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得を狙う。先述したとおり、攻撃に関してはリーグ屈指の陣容を揃え、おそらく一定以上の得点力は期待できるだろう。したがって下平監督は「昨年の得点数は上位陣と比べても遜色ないが、失点数は下から数えた方が早かった」と述べ、キャンプでは守備の向上をメインに取り組んできた。柏が上位に進出する最大のポイントは、昨季ワースト8位の44失点を減らせるかにかかっている。
ハモン ロペスや韓国代表左SBのユン ソギョンを獲得したとはいえ、オフには主力の移籍が相次ぎ、全体的に選手層の薄さは否めない。その選手層の薄さが致命傷となれば、下位に沈む苦しい戦いも予想されるが、多く在籍しているアカデミー出身の若手選手が、昨年の中谷 進之介、中山 雄太と同等の成長を遂げれば、下平監督が「若手の成長は最大の補強になる」と話すとおり、チーム力の飛躍的な向上が見込まれるだろう。そしてそれは今季だけでなく、今後数年を戦う確固たるベースが築かれることを意味する。2017年は柏にとって非常に重要なシーズンだ。
Reported by 鈴木 潤
開幕時の予想布陣
今季は従来の4-3-3と、キャンプで試してきた4-4-2を併用してシーズンを戦う。
GKは中村 航輔、CBは中谷 進之介、中山 雄太の“N3”で揺るぎない。だが彼らを除き、最終ラインには懸念材料が多い。ベテランの鎌田 次郎は計算ができるとしても、大型CBの橋口 拓哉と最終ラインの全ポジションをこなす古賀 太陽はともにルーキー。右SBには、ケガで昨年1年をほぼ棒に振った今井 智基と、山口から新加入の小池 龍太もJ1初参戦だけに未知数だ。左SBには、ここ1シーズン不動のレギュラーとして活躍してきた輪湖 直樹がいるものの、彼と定位置を争うはずだったユン ソギョンはキャンプ中に全治6週の負傷を負い、開幕は絶望的となった。
それはボランチにも同様のことが言え、大黒柱の大谷 秀和と成長著しい小林 祐介の開幕スタメンが予想される一方で、栗澤 僚一はケガで出遅れており、若い手塚 康平と安西 海斗には公式戦出場の経験はない。最終ラインと中盤にアクシデントが発生するようだと、柏は開幕から相当苦しい戦いを強いられることになる。
対照的に攻撃陣は豪華絢爛だ。仮に4-4-2をベースにするならば、SHは右に伊東 純也、左はクリスティアーノで、サブに名を連ねる武富 孝介と大津 祐樹が彼らに代わってスタメンの座を奪っても全く問題はない。2トップはディエゴ オリヴェイラとハモン ロペスの強力2トップが予想されるが、ハモン ロペスがフィットにもうしばらく時間がかかり、さらに守備面のタスクを要求するのなら、中川 寛斗か武富を置く可能性も十分に考えられる。
Reported by 鈴木 潤