10月17日(日) 2010 J2リーグ戦 第30節
徳島 1 - 0 熊本 (19:04/鳴門大塚/3,322人)
得点者:5' 津田知宏(徳島)
スカパー!再放送 Ch183 10/18(月)後08:00〜
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勝ちたい、勝つんだ、という気迫。この一戦における徳島の勝因はそれに尽きる。チームが90分を通して見せたそれこそがトンネルを抜け出し、再び前進の一歩を踏み出す勝利を引き寄せたのは間違いない。事実、前後半いずれにおいてもペナルティボックス内至近距離から熊本の連続シュートを浴びる場面があったが、徳島はその全てに対して選手たちが身体を投げ出しブロック。怪我をも恐れない身を挺した守りでことごとく跳ね返して見せた。
美濃部直彦監督は終了後の会見で「感動出来るような守備を全員がやってくれました」とチームを讃えたが、その戦いぶりにはきっとスタジアムに詰め掛けたファン・サポーターも同じように深い感動を覚えたことだろう。
ゲームは徳島が開始早々いきなり勝利への執念をゴールへと結び付ける。5分、熊本ゴール正面付近のバイタルエリアで早い反応からセカンドボールを拾い柿谷曜一朗が短い横パスを入れると、そこに走り込んで来た津田知宏が右足を一閃。地を這うような鋭いフィニッシュを叩き込んだ。そして前半は徳島の攻撃が冴えを披露する。中盤のパス回しは非常にテンポ良く、ボールを受けた選手へのサポートの早さと距離感もグッド。速攻と遅攻の使い分けにも統一された意識が感じられたと言えよう。加えてこの戦いの徳島には、プレビューでポイントに挙げたアタッキングサードでの変化も間違いなく存在した。長い距離を走り高い位置まで進出した平島崇、井上渉の両サイドバックを使ってワイドな展開をしたかと思えば、柿谷や徳重隆明が中央へ入って平繁龍一や津田と細かく絡み中央突破を仕掛けるなど、チームは単調さと無縁の攻めで熊本守備陣に守りの的を絞らせなかったのである。
さらに徳島は、冒頭で述べたように、守備において全員が「ゴールを割らせないという気迫や迫力(美濃部監督)」を全面に出してプレー。それにより36分に迎えたCKからの大ピンチも、倉貫一毅がゴールライン上でボールをかき出し、3度4度打たれたシュートは三木隆司らの勇敢な飛び込みのよって防ぎ切った。
また、押し込まれる時間こそ増えたものの、その守備の気迫とそれによるハードワークは後半も全く衰えることなく継続される。DF陣は激しく体を張り続け、倉貫らMF陣は蓄積される疲労をものともせずボールへの素早いアプローチを止めなかった。だからこそ72分に再び直面した前半同様の絶体絶命シーンでも誰一人寄せに遅れを出さず耐え抜き、結果90分最後までゴールを許さなかったと言えるだろう。
ただこのように評価すべき戦いを見せた徳島にも、追加点を挙げられなかったという反省点は残る。実際にクロスやフィニッシュの精度があともう少し高ければという場面は少なからずあったのだから。残り8試合、そこで自分たちの設定した目標を達成するために、選手たちはいっそうの技術研磨とチームとしての成熟を進めなくてはならない。
対して熊本だが、勝負に関して言うなら「90分のゲーム運びとか自分達のリズムを作る上での攻撃や守備が1点を失った後に出来たというのはちょっと残念かなと思っています」という高木琢也監督の言葉その通りだろう。持ち味である落ち着いたパスワークと連動性ある動きは出来ていたが、それが先制されてからとなったのが痛かった。とは言え、「内容的に悲観するようなシーンはそんなに無かった」ことからまだまだ何も諦めることはないはず。前節の直接対決でせっかく縮めた3位・福岡との勝点差はまた広がってしまったが、前を向いて進み続けるのみだ。次節の柏戦に期待したい。
以上
2010.10.18 Reported by 松下英樹
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