今日の試合速報

ブルーロックLP
ブルーロックLP

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第12節 横浜FC vs 栃木】レポート:ピッチ上に現れた「積み上げの差」。栃木が総合力を発揮し横浜FCから勝点3を奪う。(10.05.10)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
5月9日(日) 2010 J2リーグ戦 第12節
横浜FC 0 - 2 栃木 (15:03/ニッパ球/4,426人)
得点者:69' 杉本真(栃木)、81' 廣瀬浩二(栃木)
スカパー!再放送 Ch185 5/11(火)15:00〜(解説田中真二実況野村明弘リポーター三須亜希子)
勝敗予想ゲーム | 皆の投稿で作るスタジアム情報
----------
プレビューで書いたように、この試合を迎えるに当たって両チームはピンチに見舞われていた。横浜FCは、自滅の形で失点を重ね、チームとしての一体感を失っており、栃木は攻撃の組み立てにおいて柱になっていたリカルド・ロボを出場停止で欠いていた。どちらもチームとしての総合力が試される場面だが、その総合力を発揮して勝点3を得たのは栃木だった。

連戦の最後とあって、松田浩監督が「ターンオーバーにしたかったくらいだった」と語るように、体力的にはきつい状況。その中で、前半は両チームの特徴を出しながら一進一退の攻防が繰り広げられる。立ち上がりは、横浜FCがボールを保持して攻撃を仕掛ける。ブロックを作る栃木に対して、カウンター気味の場面で大黒将志が裏に抜け出す動きを生かすべく、7分に寺田紳一、15分には武岡優斗がスルーパスを出すが、ともに大黒には通らず。対する栃木は、佐藤悠介、米山篤志のダブルボランチを中心にバイタルエリアをふさぐと、徐々に栃木が守備のリズムを調えていく。そして、試合は膠着状態に陥る。横浜FCは、26分の西田剛のヘディングシュート、38分の武岡のボレー、栃木は18分に大久保裕樹、23分に杉本真、34分にはレオナルドと、それぞれシュートを放ちゴールに迫るが、前半を通していわゆる枠内シュートは両チームとも無く、「我慢比べ」(岸野靖之監督)のまま前半をスコアレスで終了する。

後半の立ち上がりも、前半を引き継ぐような展開になるが、徐々にセカンドボールが栃木にこぼれるようになると、試合に動きが出るようになる。このタイミングで、栃木は「チームの中にパワーを持っている選手がたくさんいるような形を保ちたかった」(松田監督)という狙いから、55分にレオナルドに代えて廣瀬浩二、61分に崔根植に代えて林祐征を投入する。横浜FCは、セカンドボールを奪えないことで、ボールの奪う位置が低くなり、守備が整った栃木を相手に攻める状態に陥る一方、栃木は廣瀬が途中出場選手の役割を果たし、チーム最多の3本と果敢にシュートを放ち、栃木に流れを引き寄せる働きを見せる。そして、69分、米山のボール奪取から裏に飛び出した廣瀬にボールが渡ると、そのクロスを林がシュート。一度は大久保択生がセーブするが、詰めていた杉本が押し込み、栃木が先制点を挙げる。交代した選手が点に絡み、まさに采配的中の形。横浜FCも片山奨典、三浦淳宏を投入し点を取りに行くが、その姿勢をあざ笑うかのように、カウンターからの失点を喫する。81分、途中出場の本橋卓巳のスルーパスを受けた廣瀬が、そのままシュートを押し込む。結局、横浜FCは最後まで栃木の守備陣を切り崩すことはできずに、試合は0-2で終了する。栃木は8試合負けなしを達成する勝利を挙げる一方、横浜FCはまたしても自滅で失点を重ね3連敗となった。

この試合の結果を分けたもの、それは試合後の記者会見のコメントに表れている。岸野監督が「なかなか積み上げられない」とチームとしての蓄積がままならない状況を語る一方、松田監督が「選手がブレずに安定した試合をやってくれている。これをチームの財産にしたい」と語るように、今年から始まった「岸野流」が浸透せずに試行錯誤を繰り返している横浜FCと、昨年から培っている「松田スタイル」が浸透している栃木の差は大きい。本橋が試合後に語った次のコメントが印象的だ。

「誰が出てもチームが変わってしまうようなことがない。今年入った新しいメンバーも多いが、栃木SCのサッカーを新しいメンバーにも理解してもらうことができている」

安定して負けないチーム、勝てるチームを作る近道はない。この試合の栃木の戦いぶりを見て、そのことを改めて認識する試合となった。横浜FCの個々のポテンシャルは間違いなく高いだけに、いかに統一感のある、高い共通理解を伴ったサッカーを構築できるか。そのための積み上げを地道に行うという原点を見つめる必要があることは間違いない。

以上

2010.05.10 Reported by 松尾真一郎
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/09/15(日) 00:00 ハイライト:札幌vs東京V【明治安田J1 第30節】