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【J2:第12節 甲府 vs 徳島】レポート:3位(甲府)・4位(徳島)の難しい対決で発揮したお互いのストロングポイント。勝負を分けた甲府の決定力(10.05.10)

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5月9日(日) 2010 J2リーグ戦 第12節
甲府 1 - 0 徳島 (14:03/小瀬/12,013人)
得点者:56' ハーフナーマイク(甲府)
スカパー!再放送 Ch182 5/12(水)11:00〜(解説羽中田昌実況酒井康宜リポーター灘波紀伝)
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徳島との対戦成績(天皇杯含む)は9勝2分1敗で、ホームでは5勝1分という結果になったが、最初に黒星をつけた監督は美濃部直彦(09年第24節・鳴門大塚)で、勝ち越しゴールを決めたのは柿谷曜一朗。その柿谷は第9節から先発の椅子を失い、3試合連続で途中出場という飢えを味わってきた。美濃部監督は4試合ぶりに柿谷を先発させた。普通なら平繁龍一で行くところだが、柿谷独特のボールタッチのテクニック、ドリブル、パス感覚、スピードなどが甲府の強いセンターバックにどう通用するかを期待しての起用。もちろん、4試合ぶりの先発なので――ここで結果を出さなければ先発の椅子は戻ってこない――という美濃部監督のメッセージつきの先発である。

しかし、お互いにリスクを冒さないで立ち上がった前半の5分、カウンターからサイドをドリブルでえぐる柿谷をマークに行った山本英臣が左の太腿を痛めてしまう。走っているときにハムズトリングが肉離れになったことを感じていた山本だが、プロ根性で最後まで柿谷をマークしに行った。シュートが枠を大きく外れて倒れこんだ山本に駆け寄ったGKの荻晃太がベンチに向かって両手をクロスさせて山本のプレー続行が無理なことを伝えた。ピッチを出た山本は一旦は戻ってくるものの走っているときに感じたものは間違っていなくて9分に保坂一成が投入された。甲府は秋本倫孝をアンカーから山本のいたセンターバックに下げて、保坂をアンカーに入れた。前節同様に想定外の交代カードを早々と切ることになった。

秋本のセンターバック、保坂のアンカーに大きな不安は持っていなかったが、やはり全体的なバランスは少し変わったように感じた。山本と秋本のタイプの違いよりも秋本と保坂のタイプの違いが大きかった。中盤の3枚が全て攻撃的な選手になったことでボールは持てるものの持ちすぎているようにも見えた。まったく的外れかもしれない不安があるし、山本が負傷しなければどうなっていたかを比べられないが、繋ぎとロングボールのバランスとタイミングは全体のリズムに少なからず影響はあった。主導権を取っているように見えて与える脅威はそう多くなった。ボールを動かしても人の動きが少ないから停滞することが多かった。23分には柿谷のクロスでがら空きの逆サイドを狙われ、津田知宏に決められてしまう。このゴールはハンドというルールのお陰で認められなかったが徳島のカウンターの怖さを小瀬で見せ付けた攻撃だった。

その後は34分に甲府もオフサイドというルールにゴールを邪魔されたが、大抵の時間は「甲府の攻撃→波状攻撃できずに徳島ボール→徳島のカウンター→FWに納まらずに甲府ボール」という文字をコピペすればいいような展開が続いた。ハーフタイムを挟んで、後半になっても甲府は得点の匂いが足りず、後半開始直後には徳島の決定機2連発シュートを食らってしまう。これは秋本と荻が身体を張って防いだ。ただ、物凄く危険を感じていたわけではなく、ゴールが決まりそうな雰囲気がないことでそろそろ悪口をノートに書きたくなっていた。そんなときに藤田(健)組の若頭・片桐淳至が、藤田からのパスを受けてドリブルで徳島ディフェンスをボールウォッチャーにしながらペナルティエリアに向かって突進し、中央にそびえるマイク・ハーフナーにパスを出した。ファーストタッチはややバタついたが「俺のやわらかい脛(すね)に上手くボールが当たっていいところにボールが止まった(笑)」というハーフナーがターンしながら左足で決めて甲府が先制。中途半端な盛り上がり方だった小瀬にゴールで活力を与えた。

先制しても、人の動きが足りない主導権の取り方に大きな変化がなかった甲府は何人かイラついている選手が目に付くようになった。藤田組ゴール(藤田→片桐→ハーフナー)が決まって活力が出たにもかかわらず、ネガティブな声がチーム間で飛ぶのを見るのは残念だった。復帰戦で期待を背負ってプレーしたマラニョンも決定機にドリンクボトル倒しコンテスト(ゴール外のドリンクボトルをシュートで倒す新感覚ゲーム)をやってしまい、イライラ。終盤の徳島は輪湖直樹をサイド攻撃のジョーカーとして投入してきたが、古巣にゴールで恩返しをすることは出来なかった。ボランチの青山準はミスを恐れた配給だったし、途中出場の平繁は先発していたかのような運動量で終盤のチームの活力になることが出来なかった。結局、互いにいいサッカーが出来たとは言えないが、ある程度はストロングポイントを発揮した中で甲府の決定力が上回って3位・甲府と4位・徳島の間の勝点差が1から4に広がった。

ほとんどの取材が終わって、バスの前で片桐淳至と話をしていると吉田豊が疲れ果てた顔を首の上に乗せて横を通り過ぎていった。試合後しゃがみ込んだ姿を見たときに消耗が伝わってきたが、吉田だけでなくGOODとは言えない内容でも4位の徳島を倒したことは大きい。山本の試合復帰がワールドカップの中断明けになる可能性があるが、このチャンスに誰が出てくるのかが甲府の新たな課題だし、楽しみでもある。現在は攻撃陣が充実しており、彼らがチームを引っ張ってくれている。その中、守備の要を失った甲府がこの危機を乗り越えるとき、イラついてチームメイトにネガティブな感情をぶつける行為は必要ない。本当の強さを発揮するにはチーム力が必要。次々と試練がやってくるが、山本の離脱を機会に、もっとオープンマインドで意見交換し、お互いを尊重するチームになって欲しい。

以上

2010.05.10 Reported by 松尾潤
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