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TEAM INFO

アルビレックス新潟

新潟集合写真

リーグカップ最高成績

2015優勝
近年のリーグカップ成績 グループステージ敗退(2023)

PICK UP

長倉 幹樹

FW 27 長倉 幹樹

【出身地】埼玉県
【経歴】 NEOS FC-浦和レッズJrユース-浦和レッズユース-順天堂大-東京ユナイテッドFC-ザスパクサツ群馬

ゴール量産の成り上がりストライカー地域リーグでシニアのキャリアをスタートさせた成り上がりストライカー。オフ・ザ・ボールの動きと技術に優れ、鋭くスペースに飛び出してはネットを揺らす。町田との準々決勝第1戦では1人で4ゴールと大爆発した。

◼︎ 長倉選手の上位スタッツ

アタッキングサードスプリント回数

307

(Jリーグ3位)

「ルヴァンカップ」得点数

6

(Jリーグ1位)

「ルヴァンカップ」シュート総数

29

(Jリーグ1位)
※2024年10月20日(日)試合終了時点の明治安田J1リーグリーグ戦の数値になります
※「得点数」「シュート総数」はルヴァンカップの数値になります
秋山 裕紀

MF 6 秋山 裕紀

【出身地】群馬県
【経歴】 前橋FC-前橋育英高-アルビレックス新潟-アスルクラロ沼津-アルビレックス新潟-鹿児島ユナイテッドFC

鮮やかにタクトを振るう司令塔新潟の攻撃を機能させるクレバーな司令塔は、プレー総数、敵陣パス数でリーグトップを記録するように、ボールがあるところに常に顔を出し、決定的なパスを次々に打ち込んでいく。広いエリアをカバーする守備力も魅力だ。

◼︎ 秋山選手の上位スタッツ

プレー総数

3031

(Jリーグ1位)

パス総数

2797

(Jリーグ1位)

総走行距離

361.3km

(Jリーグ3位)
※2024年10月20日(日)試合終了時点の明治安田J1リーグリーグ戦の数値になります
藤原 奏哉

MF 25 藤原 奏哉

【出身地】山口県
【経歴】 レオーネ山口U-12-レオーネ山口U-15-ルーテル学院高-阪南大-ギラヴァンツ北九州

身体を張ってピンチを凌ぐサイドバック攻守に渡って汗をかき続けるサイドバックは底知れぬスタミナを備え、90分間にわたって上下動を繰り返す。ブロック数はリーグ1位を記録し、インターセプト能力も高い。絶妙な立ち位置で攻撃に厚みをもたらす役割も担う。

◼︎ 藤原選手の上位スタッツ

ブロック総数

97

(Jリーグ1位)

総走行距離

357.9km

(Jリーグ4位)

インターセプト総数

11

(Jリーグ6位)
※2024年10月20日(日)試合終了時点の明治安田J1リーグリーグ戦の数値になります
谷口 海斗

FW 7 谷口 海斗

【出身地】三重県
【経歴】 海山FC-紀州エスフォルソ-四日市中央工高-岐阜経済大-いわてグルージャ盛岡-ロアッソ熊本

ダイナミックなプレーでゴールを陥落J3でブレイクを果たし着実にステップアップを遂げてきた点取り屋は、果敢にエリア内に飛び込みダイナミックにゴールを陥落する。ミドルレンジからのシュートにも自信を持ち、前線のみならず、サイドでも力を発揮する。

◼︎ 谷口選手の上位スタッツ

ヘディング得点数

3

(Jリーグ9位)

右足得点数

6

(Jリーグ10位)

得点総数

10

(Jリーグ12位)
※2024年10月20日(日)試合終了時点の明治安田J1リーグリーグ戦の数値になります

TEAM STYLE

新潟基本フォーメーション図

4-2-3-1の布陣をベースに4-4-2も併用。最近のリーグ戦では後者を選択するケースが増えている。もっとも準決勝の川崎F戦では4-2-3-1の形で快勝を収めているだけに、決勝ではどちらの布陣を採用するかは読めないところがある。松橋力蔵監督の采配に注目だ。ボールを大事にし、遅攻と速攻を織り交ぜた攻撃スタイルの完成度の高さはリーグ屈指だ。

総得点数

43

(11位)

1試合平均得点数

1.3

(10位)

失点総数

55

(18位)

1試合平均失点数

1.6

(18位)

1試合平均パス数

585.9

(1位)

平均ボール支配率(%)

57.1

(1位)

1試合平均走行距離

114

(5位)

1試合平均スプリント回数

105

(19位)

1試合平均タックル総数

13.2

(20位)

1試合平均空中戦勝利数

12.1

(19位)
※カッコ内はリーグ内20チーム中の順位
※2024年10月20日(日)試合終了時点の明治安田J1リーグリーグ戦の数値になります

STORY

2回戦
新潟vsいわき
2-0

開始早々の6分に長谷川巧のゴールで幸先よく先制するも、その後はいわきに押し込まれる時間が続く。それでも局面の争いで上回り、決定的な場面までは作らせない。すると終了間際の90+1分、相手のミスを突いた谷口海斗が追加点を奪取し、2-0で勝利した。

3回戦
新潟vs秋田
2-0

秋田の堅守を崩せずスコアレスのまま延長戦に突入すると、救世主となったのは18歳のルーキー、石山青空だった。99分、エリア内でパスを受けると右足を強振し、ついに秋田ゴールを陥落。111分には奥村仁にもゴールが生まれ、苦しみながらも3回戦を突破した。

プレーオフラウンド 第1戦
新潟vs長崎
2-1

浦和を撃破し勝ち上がってきたJ2の長崎をホームで迎え撃った一戦は、18分に先手を許す苦しい展開に陥った。しかし69分に途中出場の小見洋太が同点ゴールをマークすると、82分には長倉幹樹が確実にPKを沈めて、逆転に成功。ホームで薄氷の勝利を収めた。

プレーオフラウンド 第2戦
新潟vs長崎
1-1

第1戦のビハインドを追いかける長崎にペースを握られるも、落ち着いた試合運びでゴールを許さない。0-0で迎えた71分にオウンゴールで失点し、トータルスコアで追いつかれたが、80分に長倉幹樹の2試合連続ゴールで2戦合計3-2とし、粘る長崎を振り切った。

準々決勝第1戦
新潟vs町田
5-0

リーグ戦で快進撃を続ける町田を迎えた一戦は、長倉幹樹の独り舞台となった。16分に先制点を奪うと、2-0で迎えた後半に3ゴールをマーク。1人で4得点を記録する圧巻のパフォーマンスを見せつけた。5点のリードを得た新潟が、ベスト4進出に大きく前進した。

準々決勝第2戦
新潟vs町田
0-2

第1戦のアドバンテージを守るべく臨んだ第2戦は、序盤から町田の猛攻を浴びる展開に。何とか耐え凌ぐも、前半終了間際に立て続けに2点を奪われてしまう。それでも後半に入ると選手交代などで守備の強度を高め、追加点を許さず。2戦合計5-2で4強入りを果たした。

準決勝第1戦
新潟vs川崎F
4-1

立ち上がりから積極的な姿勢を見せた新潟は、25分に谷口海斗のゴールで先制すると、勢いを加速。前半終了間際に太田修介が追加点を奪うと、後半立ち上がりにも2点を加え4-1と快勝。およそ2週間前のリーグ戦で1-5と敗れた相手に、鮮やかなリベンジを果たした。

準決勝第2戦
新潟vs川崎
2-0

3点リードで迎えた“後半の90分”も新潟の攻撃姿勢は保たれたままだった。縦に速い攻撃で相手の背後を突くと、31分に小見洋太が先制点をマーク。その後は押し込まれたが89分に太田修介がダメを押し、2戦合計6-1でクラブ史上初のファイナルに名乗りを上げた。

PLAYER

  1. 小島 亨介
    GK 1

    小島 亨介

    • 183cm/82kg
    • 1997/1/30
  2. 阿部 航斗
    GK 21

    阿部 航斗

    • 186cm/82kg
    • 1997/8/1
  3. 吉満 大介
    GK 23

    吉満 大介

    • 187cm/85kg
    • 1993/2/21
  4. 西村 遥己
    GK 39

    西村 遥己

    • 187cm/75kg
    • 2003/4/19
  5. 内山 翔太
    GK 51

    内山 翔太

    • 190cm/73kg
    • 2006/11/9
  6. トーマス デン
    DF 3

    トーマス デン

    • 182cm/73kg
    • 1997/3/20
  7. 舞行龍ジェームズ
    DF 5

    舞行龍ジェームズ

    • 185cm/82kg
    • 1988/9/17
  8. 早川 史哉
    DF 18

    早川 史哉

    • 170cm/70kg
    • 1994/1/12
  9. 遠藤 凌
    DF 26

    遠藤 凌

    • 183cm/76kg
    • 1998/7/6
  10. 堀米 悠斗
    DF 31

    堀米 悠斗

    • 168cm/67kg
    • 1994/9/9
  11. 長谷川 巧
    DF 32

    長谷川 巧

    • 179cm/71kg
    • 1998/10/6
  12. 千葉 和彦
    DF 35

    千葉 和彦

    • 183cm/77kg
    • 1985/6/21
  13. 橋本 健人
    DF 42

    橋本 健人

    • 173cm/68kg
    • 1999/12/8
  14. 稲村 隼翔
    DF 45

    稲村 隼翔

    • 182cm/72kg
    • 2002/5/6
  15. 秋山 裕紀
    MF 6

    秋山 裕紀

    • 176cm/70kg
    • 2000/12/9
  16. 宮本 英治
    MF 8

    宮本 英治

    • 173cm/69kg
    • 1998/8/3
  17. 長谷川 元希
    MF 14

    長谷川 元希

    • 177cm/70kg
    • 1998/12/10
  18. ダニーロ ゴメス
    MF 17

    ダニーロ ゴメス

    • 175cm/77kg
    • 1999/2/5
  19. 星 雄次
    MF 19

    星 雄次

    • 170cm/64kg
    • 1992/7/27
  20. 島田 譲
    MF 20

    島田 譲

    • 175cm/74kg
    • 1990/11/28
  21. 松田 詠太郎
    MF 22

    松田 詠太郎

    • 170cm/64kg
    • 2001/5/20
  22. 藤原 奏哉
    MF 25

    藤原 奏哉

    • 170cm/70kg
    • 1995/9/9
  23. 奥村 仁
    MF 30

    奥村 仁

    • 168cm/62kg
    • 2001/4/3
  24. 高木 善朗
    MF 33

    高木 善朗

    • 168cm/66kg
    • 1992/12/9
  25. 石山 青空
    MF 40

    石山 青空

    • 170cm/65kg
    • 2006/1/27
  26. 笠井 佳祐
    MF 46

    笠井 佳祐

    • 180cm/71kg
    • 2002/8/30
  27. 谷口 海斗
    FW 7

    谷口 海斗

    • 177cm/72kg
    • 1995/9/7
  28. 鈴木 孝司
    FW 9

    鈴木 孝司

    • 179cm/74kg
    • 1989/7/25
  29. 太田 修介
    FW 11

    太田 修介

    • 176cm/70kg
    • 1996/2/23
  30. 小見 洋太
    FW 16

    小見 洋太

    • 169cm/67kg
    • 2002/8/11
  31. 長倉 幹樹
    FW 27

    長倉 幹樹

    • 177cm/72kg
    • 1999/10/7
  32. 小野 裕二
    FW 99

    小野 裕二

    • 170cm/69kg
    • 1992/12/22

INTERVIEW

堀米 悠斗

DF 31 堀米 悠斗(アルビレックス新潟)

きっと苦しい時間のほうが長かった。
だから優勝を届けたい

ルヴァンカップ決勝を戦うアルビレックス新潟の絶対的なキャプテン・堀米悠斗。
在籍8年目を迎える大黒柱に、ファイナルを戦う上でのポイントや、ファン・サポーターへの思いなどを聞いた。
聞き手:野本 桂子


準決勝の前に再確認した「コンパクト」と「ミドルプレス」

堀米 悠斗

――ルヴァンカップ初の決勝進出、おめでとうございます。
「ありがとうございます」

――ここまでの戦いを振り返って、どんな思いがありますか。
「1stラウンドは、チームにケガ人がすごく多い時期で、日程的にもかなり苦しい中で、大学生2人(JFA・Jリーグ特別指定選手の稲村隼翔と笠井佳祐)の力も借りながら、ベンチ入りできるギリギリの人数で戦っていました。ルーキーの石山青空だったり、奥村仁だったり、本当に若い選手が頑張ってくれました。プレーオフラウンドでは、長崎との第1戦で、阿部ちゃん(阿部航斗)が登録ミスで出られなくなるというアクシデントもあった中で、代わりに出たミツくん(吉満大介)がビッグセーブで何度もチームを救ってくれました。いろいろなことがあった中で、本当にみんなの力で1試合1試合に向き合ってきた結果、ここまでくることができました」

――プライムラウンド準決勝・川崎F戦の直前まではリーグ戦4連敗。4試合で15失点と苦しい状況でした。しかし、4連敗のあと中3日で始まった川崎Fとの準決勝は、2戦合計6-1で圧勝し、決勝進出を決めました。立て直すために、キャプテンとして働きかけたことはありますか。
「リーグ戦で4連敗したあと、いろいろな選手が、それぞれポジションが近い選手と話し合っている様子が見られました。 僕は(鈴木)孝司さんやヨシくん(高木善朗)と話す機会が多かったんですが、いま、何が難しいとか、『よかった時期はこういうことがやれていたのに、それができていないよね』と話していく中で、『守備がうまくいっていたときは、こうだったよね』という話になりました。『それを選手で統一し切れなくて負けたらもったいないよね、準決勝まできているのに』と。そんな思いから、僕が選手を代表して、リキさん(松橋力蔵監督)に話しにいったんです。『選手の中ではこういう意見が出ているのですが、どうですか』って。リキさんもほぼ同じ考えを持っていて『やっぱりそうだよね』と。それで、準決勝・第1戦の前日練習で、あらためてリキさんがみんなに確認してくれたんです。具体的には、プレスをかけるラインを設定しました。しっかりとみんなで話し合って、言葉にして、確認して。キーワードは『コンパクト』と『ミドルプレス』。これまでも、チームがいいときにはできていたので、新しいことに取り組むというよりは、思い出しながらやったという感じです。実際、選手同士の距離感がコンパクトになると、ボールを奪ったあとも味方とつながりやすいので、守備がよくなったことに比例して、攻撃もよくなったと思います」

――すぐに動いて、大事な仕事をされたんですね。
「まあ、僕は代表して話しにいっただけなので。みんながいろいろな意見を持っているのは当然で、それをどうすり合わせるかが一番大事です。いろいろなやり方があるし、それが正解かどうかは、やってみなければ分からないところもあります。準決勝の川崎F戦では、みんなで話し合ったコンパクトな守備が本当にうまくいったというだけで、これが名古屋に対しても通用するかどうかは、また別の話。決勝までいったことで満足しないことが大事だと思います」

――「コンパクト」と「ミドルプレス」という、迷ったときに立ち返るキーワードができました。
「ピッチでの感覚的なところも大事です。ずっとミドルゾーンで構え続けるわけではなくて、相手の体の向きが悪かったり、パスがズレたりしたときには、そこからハイプレスに移行する。そこで奪いに出ていくか、いかないかの判断は、試合に出ている選手の能力や体力的なところ、ゲームの流れにもよるでしょうし。その感覚をどれだけ合わせられるかがすごく大事でした」

――前線の選手も、後ろを振り返りながらプレスにいくタイミングを図っていました。
「長倉幹樹や(宮本)英治といった身体能力に強みのある選手は、ほかの選手よりも速くボールに寄せられるので、同じスピードで後ろがついていかないと、スペースが空いてしまいます。『自分はプレスにいっています。なんで後ろがついてきていないんですか』となるのではなく、周りを見て、『いまなら連動していける』というタイミングをしっかりと共有することが、彼らの強みを発揮できることにもつながると思うので。そこはすごく変わった部分かなと思いますね。準決勝の2試合は、選手同士がしっかりとアイコンタクトしながら、お互いを気にしながら動けていました」

――今大会、左SBは堀米選手のほかに森璃太選手、星雄次選手、早川史哉選手、稲村選手、7月に徳島から完全移籍で加入した橋本健人選手が出場しています。橋本選手は加入したばかりのころ、堀米選手から「もっとクロスを上げていい」と言われたことでチームに馴染みやすくなったと話されていました。
「紅白戦で対戦したとき、健人が左足でボールを持つんですけど、中に1枚しかいないからクロスを上げるのをやめて、つなぎ直すシーンが連続して見られたので、そのときは言いましたね。『クロスを上げていいんじゃない? それが武器なんだから。“健人がボールを持ったら、クロスが出てくるんだな”と中の選手に分かってもらえるまで、合わなくてもいいから上げたほうがいいよ』って。無理に上げろというわけではなくて、健人はキックの精度の高さが武器で、それを持ち味としている選手なので、いずれ中の選手が健人のクロスのタイミングを理解して合わせてくれるようになるから、いまからやめていたらもったいないなと思ったんです。でも、それくらいですね。それ以外は健人が自分で感覚をつかんでプレーしていると思います。考えながらやれるタイプなので、安っぽい質問はしてこないですし、賢い選手だなと思います」

――左SBの本職同士、高め合える存在ですね。
「そうですね。健人は、いまのJリーグ全体で見ても、めちゃくちゃいい選手だと思います。守備にそこまで穴は見当たらないし、足元の技術が高いので、アルビらしいSBかなと思います。いまは健人がメインで出ているので、自分は自分にできる仕事をしながら、次のチャンスに備えています」

ハイプレスをはがす勇気を持てるか。そこが勝負の分かれ目

堀米 悠斗

――決勝で対戦する名古屋には、どんなイメージをお持ちですか。
「能力の高い選手が多いです。彼らは、僕たちに3-0で勝ったリーグ戦(J1第29節)から、何かをつかんだように見えます。その後のリーグ戦の結果や戦いぶりを見てもそう感じます。あの試合では、マンツーマンでハメてきたのですが、よりハードワークできる選手がスタートから出て、守備の規律を守りながらプレーしていました。おそらく、いまもそれでうまくいっていて、決勝でもああいう形でやってくると思います。それを上回るためにはどうしたらいいか、しっかりと分析して、対策して臨まないと、とても難しいゲームになると思います」

――勝負の分かれ目は、どこになると思いますか。
「まずは、試合の立ち上がりに失点しないことが重要です。相手はハイプレスで、自分たちのビルドアップを成立させないように戦ってくると思うので、 それをうまくはがせるか、はがす勇気を持てるか。マンツーマン気味に守ってくるなら、僕たちは目の前の相手をはがせば、守備にズレを生じさせることができます。決勝の舞台で、いつもどおりに、そこにトライする勇気を出せるかがポイントになると思います」

――堀米選手自身はどんなプレーを見せたいですか。
「今季のリーグ戦で対戦した際、ホーム(J1第3節/1○0)では勝ちましたが、アウェイ(J1第29節)では何もできずに負けたイメージが強く残っています。あのときは、前と後ろの選手の距離が遠くて、“つながり”という意味では、ウチらしくないゲームでした。僕自身も一人で打開するタイプではないので、どれだけ周りと関われるか、多くの選手と関われる立ち位置を取れるかが重要です。自分に限らず、新潟はコンビネーションで打開していく選手が多いと思うので、周りとのいい距離感を保ちながらプレーしたいと思います。そこは、準決勝で修正できた部分でもあります。それから、自分たちがボールを持っていない時間にイヤがらずにプレーすること。そこであたふたしてしまうと、プレスにいくタイミングがズレて連動できず、ボールを奪ったときに味方が近くにいないという、苦しい状態になるので。ボールを持てない時間も、どこかで選手間の距離を整えるタイミングを作って、徐々に新潟がペースを握り返せるようにできたらと思います」

長年、応援してくれている方がおいしいお酒を飲めるように

堀米 悠斗

――初タイトルまであと1勝に迫っています。優勝にはどんな影響があると思いますか。
「いくつか思いつくものはあるけど、実際にそうなるのかは分からないですし、何が起こるのか、楽しみな面もありますよね。自分たちの想像を超えるようなプラスの反響があるのか、世間の反応が意外とあっさりしているのか。終わってみないと分からないなと思います」

――堀米選手は、「結果を出すことでアルビレックス新潟というクラブの格を高めたい」ということも、たびたびお話されています。
「そうですね。そこはもうすでに、変わってきている部分はあるのかなと思います。準決勝の川崎F戦も、2試合続けていいゲームができたぶん、決勝進出が決まっても浮かれることなく、割とあっさりしていたと思います。緊張みたいなものも一応ありましたけど、勝ち方としては劇的ではなかったので、そこまで自分たちの中に気持ちの変化はなく、みんなすぐに次のリーグ戦に切り替えていました。でも、強豪と言われるクラブは、こういう経験をたくさんしてきているんだなと思います。川崎Fや横浜FM、鹿島、浦和、G大阪といったチームは、優勝争いを何度も経験して、徐々にクラブとしての格が高まって、いまの立ち位置にいるんだなと。新潟もそうなっていくには、単発で終わらせないようにするしかないと思いますね」

――新潟の歴史だけを見れば、非常に大きな一歩だと思います。
「ここまでたどり着いたからこそ、本当に簡単ではないなと感じます。やっぱり、サッカーとクラブの経営規模は、切り離せないと思います。アルベル前監督も『このクラブの経営規模はまだまだ足りないし、チームが強くなるためには、そこも並行してやっていかなければいけない』と、ずっと言い続けていました。僕自身も、そういう目線でチームやクラブ全体を見ることが多くなっています。よく、強化費がいくらで、Jクラブの中で新潟はこれくらいの順位、という報道記事を見たりしますが、僕は逆に、そこにやりがいを感じているところもあります。お金があるクラブが優勝するのは、当たり前じゃないかと思うんですよ。 まあ、当たり前というか『そりゃ、そうだよね』と。新潟には、いろいろな地方のクラブで苦労してきた選手も多い。ウチでJ2を経験していないのは、小野裕二さんぐらいなんじゃないですかね。そういう選手たちが集まって日本一を獲るのはカッコいいなと、個人的には思うんです。そこにみんなでチャレンジできるのが、いまは楽しいなと思っていますね」

――這い上がってきた選手たちのストーリーが結集して、ドラマチックですね。
「まあ、お金は欲しいですけどね。あるに越したことはないのは、間違いないので」

――優勝することで、そこが少し変わるといいですね。
「そうですね。ただ、決勝で勝たないと、何も起こらないとは思っています」

――堀米選手は新潟に来て8シーズン目。今季は「輝く星を共に掴もう」という言葉を入れた堀米選手の新しいチャントができました。一緒にタイトルを獲りたいという、サポーターの強い思いも感じます。
「そうですね。昔のチャントも好きなので、たまには歌ってほしいなと思いますけど(笑)。多くの選手が今季、タイトル獲得を目標に掲げていましたし、リーグ戦では思ったような成績が出ていないので、このルヴァンカップで『2024年、よかったな』と思えるような結果を出せればいいなと思います。若い選手は、もう思い切ってやるだけですよね。『自分がヒーローになってやる!』っていう気持ちで、その場を楽しんでほしい。いろいろ背負うのは、ベテランでいいんじゃないかなと思いますね」

――最後に、決勝への意気込みとサポーターへのメッセージをお願いします。
「当日は本当に多くの新潟サポーターが国立競技場に駆けつけてくれるはずなので、初めての決勝の舞台を一緒に楽しみたいですね。サポーター生活を振り返れば、きっと苦しい時間のほうが長かったんじゃないかな。もちろん、試合に勝った日は、うれしい気持ちになると思いますが、長い目で見れば、悔しい思いをしてきたことのほうが多かったと思うので。特に、何十年もアルビを応援してくれている人に、優勝を届けたいなと思います。決して、新しいサポーターを軽く見ているわけではないのですが、アルビのサポーターには、おじいちゃん、おばあちゃんもすごく多いんですよ。会場入りするバスの中から出迎えてくれるサポーターを見ていても『この人、ずっと応援してくれているな。何年もここで見てくれているな』って、顔を覚えるくらい長く応援してくれているのが分かるので。そういう人たちがおいしいお酒を飲めるように、いい結果を出したいなと思います」

堀米 悠斗(ほりごめ・ゆうと)
1994年9月9日生まれ、30歳。168cm/67kg。北海道出身。コンサドーレ札幌U-12→コンサドーレ札幌U-15→コンサドーレ札幌U-18→コンサドーレ札幌→福島ユナイテッドFC→北海道コンサドーレ札幌を経て、2017年にアルビレックス新潟に完全移籍で加入。
ルヴァンカップ決勝 11月2日(土)国立競技場
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