G大阪にとっては天皇杯・準決勝の戦いから中2日で迎えるJ1リーグ・33節、神戸戦。神戸に比べれば、天皇杯を戦ったことによる疲労感はあるはずだが、「ここまできて身体が動かないと言う選手は一人もいない。高いモチベーションとコンディションで臨めると思う」とキャプテンMF遠藤保仁。首位を走る浦和の優勝を阻止した勢いのまま、天皇杯を勝ち進んだように、今節もホーム最終戦を迎える万博記念競技場の地で、『勝点3』への執念を示すはずだ。
実際、遠藤も言うように、今のG大阪に疲れを言い訳にする選手は一人もいない。むしろ、この終盤戦まで『タイトル』を争えている事実は、選手たちの大きなモチベーションとなっている。しかも首位・浦和を「追いかける立場」であるせいか、過度のプレッシャーを感じることなく、あくまで「自分たちのサッカー」に集中してこの終盤戦を戦えているのも大きな強み。今節も「これまで通り、目の前の試合を確実に勝つことだけを考えて試合に臨む」(遠藤保仁)ことだろう。
注目は、神戸との公式戦7戦9発を挙げている『神戸キラー』、FW宇佐美貴史。ここ最近は、公式戦で数えて8試合、ゴールから遠ざかっていたFW宇佐美だが、そのモヤモヤ感を吹き飛ばすべく、直近の天皇杯準決勝・清水戦では2ゴールを挙げ、自身にとっても弾みをつけた。その中で迎える神戸戦となれば、また今季、ここまで攻撃を牽引してきたエースとしてのプライドに賭けても、ゴールを狙わないはずがない。また、大好きな万博の地でのホーム最終戦ということを踏まえても、常々サポーターへの感謝の気持ちを口にしてきた宇佐美のこと。今季も熱い応援を繰り広げてくれたサポーターに『ゴール』というプレゼントを贈る決意でいるはずだ。
「結果を出せれば優勝に近づける試合。とにかく、その結果を残すためだけに全力を注ぎたい。神戸戦では毎回ゴールを決めてきた分、警戒はされるだろうけど、それはある意味いつものことなので。これまで通り、それをうまくかいくぐって結果を求めたいと思う。記録はいつか止まるものですけど、それが次にならないように頑張ります。今季のホーム最終戦ですし、応援してくれた人たちのためにもゴールを獲りたいですね」(宇佐美貴史)。
対する神戸は後半戦に入ってから続いている、勝ち切れない状況が未だ払拭し切れないでいる。30節の大宮戦で6試合ぶりの白星を掴んだことが弾みになるかと思われたが、再び、鳥栖、横浜FMと2連敗。前半戦では首位争いも期待された順位は、10位にまで転落した。ただその今季を振り返り、「守備面では一昨年、昨年にはなかった新たな課題は出たけど、攻撃を変化させられたという事実はこれから神戸が強くなっていくための布石になった」とキャプテンDF相馬崇人は語る。その手応えを来季に繋げるためにも、また安達亮監督が目標に掲げる「クラブ最高順位、勝点」を手にするためにも、上位チームとの対戦となる残り2試合でその『変化』を示し、勝利を手にしたい。
「選手がどう感じているのかは分かりませんが、個人的には消化試合より何かが懸かっている試合の方がやりがいがある。残念ながら現時点でうちには何も懸かっていないとはいえ、クラブの最高順位、勝点を獲るという目標は決してスルーしていいものではない。来季に繋げるためにも選手にはそこをしっかり意識して戦ってもらいたい」(安達亮監督)。
今季、両者はすでにカップ戦を含めて4度対戦。成績はG大阪の3勝1分と、神戸を圧倒してきた印象だ。その相性の良さをG大阪が見せつけ『逆転優勝』に望みを繋げるのか。あるいは、神戸が意地を魅せるのか。チケット完売の満員のスタジアムで、両者のプライドが火花を散らす。
以上
2014.11.28 Reported by 高村美砂