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【J1:第31節 川崎F vs 清水】レポート:清水のプレスをかわし、試合を支配した川崎Fが快勝。2ゴールの大久保嘉人は通算得点を24に伸ばす。(13.11.11)

川崎Fを攻略するパターンは二つある。一つが自陣深くで守備を固め、カウンターに活路を見出す方法。もう一つが、前線から激しくプレスを仕掛け、押し込み続けるというものである。この試合の清水が選んだのは後者。つまり、前線からのプレスを選択し、試合をコントロールしようとした。ラドンチッチがスイッチを入れ、伊藤翔がフォローに入る。コースを限定してサイドに追い込み、人数を掛けてボールを囲い込むのである。方法論として間違いではない。しかし、川崎Fは臆することがなかった。清水のプレスをかわし、ボールを回し続け、前方にボールを運んだ。

サイドでプレスを受けていた小宮山尊信は「清水が前から来ると言っても、そこまでプレッシャーは感じませんでした」と振り返りつつ「意外に中盤も空いていて、クサビも当てられていた」と話す。つまり、ボールを失わないで済むレベルのプレッシャーだったということ。また前線でパスを引き出した小林悠は「FWのところにはスペースは相当ありました。1本でチャンスになるような場面も多かったですし、裏のスペースは相当ありました」と話している。

川崎Fは最終ラインでパスを回しつつ、中盤の山本真希や大島僚太の二人にボールを預け、さらに前方へと運んだ。また井川祐輔、中澤聡太といった精度の高いキックを持っているCBが先発したことも、前線のスペースを効果的に使えた要因となっていた。

清水が採用した前方からのプレスは、きまれば効果的な守備となるが、外された時のリスクが高い。そしてそれが、試合を通じて実現していた川崎Fの攻勢の主因だった。

試合開始直後の2分に、突然訪れた矢島卓郎の決定機で川崎Fは勢いづく。直後の6分にも、この試合を通して躍動したレナトが左サイドを突破して決定的なシュートを放った。27分には小林がエリア内で前を向いて決定機を迎えるが、至近距離からのシュートに櫛引政敏が反応し、決めきれない。試合を支配しながらも決められない川崎Fの試合内容について小林は「今日は自分たちもあそこまで崩せているのに点が取れないということで、焦りではないんですが、やきもきした感じでした」と述べている。「焦りではない」と小林は話すが、それに似た感情がピッチ上に広がっていたのは間違いなかった。だからこそ、64分の大久保嘉人の先制点の意味は大きかった。

右サイドの小林からのパスを受けた山本が、大久保にクロス。大久保は「どこでもいいので頭に当てて、枠に飛ばそうと思って突っ込みました」と述べる飛び込みを見せ、今季頭では初めてとなるゴールを決める。

均衡が敗れたことで落ち着いた川崎Fがそのままのペースで試合をすすめる一方、清水は同点ゴールを狙い続け、単発ながら効果的な攻撃を見せていた。例えば70分の、右サイドバックの石毛秀樹からのクロスをラドンチッチが合わせた場面。また、80分にも石毛からのパスを受けた河井陽介が絶妙のクロスを入れた攻撃も紙一重のものだった。

だからこそ、2点目が欲しかった川崎Fが追加点を手にしたのは後半88分。途中交代出場の森谷賢太郎からの縦パスを受けたレナトが、大久保に預けたシーンである。大久保はエリア内でドリブルを仕掛けて倒され、これがPKの判定となる。得点王争いのプレッシャーとも戦う大久保がこのPKを冷静に決め、川崎Fが2−0として試合を決定づけた。

1試合を通してわずか6本のシュートに終わった清水は、立ち上がりの時間帯は攻勢に出る場面も少なくなかった。ラドンチッチをターゲットとして攻め込み、セットプレーでは高さを行かせるようなハイボールを入れ続けた。しかし、前半40分に大前元紀が負傷のため交代を余儀なくされていたということが難しい試合を強いられる遠因となっていた。

勝利した川崎Fは、大敗した鹿島戦からの切り替えに成功。上位陣の失速により、ACL圏内までの勝点差は6に縮まった。次節の浦和戦。最終節の横浜FM戦と上位陣との対戦を残しており、リーグ戦の盛り上げに一役買うことになりそうだ。また、得点王争いを繰り広げる大久保が2点を加え、通算24得点として川又堅碁との得点差を3に広げている。

以上

2013.11.11 Reported by 江藤高志
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