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【J2:第40節 徳島 vs 岡山】レポート:今季ホーム最終戦で自分たちを取り戻した徳島。岡山を撃破し、プレーオフ圏内を死守!(13.11.11)

2点目を決めた大崎淳矢がゲーム後、前節までの3連敗を「自分たちを見つめ直すいい時間になりました」と振り返ったが、シーズン大詰めの大事な時期に喫した連続黒星は痛いものであった反面チームにいい原点回帰をもたらしたと言えるだろう。今季ホーム最終戦のピッチで見られたのは紛れもなく、夏場の頃を思い出させる最高に粘り強い徳島であった。
結果、自分たちのすべき戦いを取り戻したことで徳島は、因縁の相手であり、大きな難敵と思われた岡山に見事な完封勝利。プレーオフ圏内の順位を死守する価値ある3ポイントをもぎ取った。

その一戦、しっかり整理された気持ちとプレーを示すように、徳島は素晴らしいゲームの入りを披露する。いきなりの6分、少し下がった中盤の位置でセカンドを拾ったドウグラスが巧妙なターンによって素早く前へ向くと、短い持ち出しからすぐさま右斜め前方のスペースを突いた宮崎光平へスルーパス。その宮崎がベテランらしい冷静なトラップとシュートでネットを揺らし、早々とリードを奪ってみせたのである。
さらに幸先いい先制点で勢いのついた徳島は、その後も正確なポゼッションで主導権をがっちり握り、活性高い攻めからチャンスを作っていく。10分に津田知宏が左サイド奥のスペースへ抜け出し折り返してドウグラスの惜しいシュートを引き出せば、25分には右CKに迫力あるゴール前へのなだれ込みを見せ、最後は橋内優也が強烈なミドルを放つなど岡山ゴールを再三脅かした。

しかしながら、そうした攻撃以上に立ち上がりからの徳島において見逃せなかったのは、間違いなく全員の集中に満ちた守備だったと言えよう。前節までの課題であったボールホルダーへのアプローチはしっかり改善されて素早く厳しいものであったし、守りに切り替わった時の全体反応、前線の選手たちのコース限定、狙い所での囲い込みなど、どれもが文句なしのもの。選手たちは夏場の頃の最もいい状態がイメージとして蘇る粘り強い守りを一瞬たりとも緩めず展開できていた。
前半終了間際の44分という理想的な時間帯に徳島はリードを広げる2点目を決めてみせたが、その追加点もそうした充実の守備で試合の流れを決して岡山に渡さなかったことが実を結んだと言っていいはず。事実、橋内も「今日は全員、特に前線の選手は守備に関して気合いが入っていたので、僕らが苦労する場面はほとんどなかったと思います。前半はほぼうちのゲームでした」と、集中した守りがこの試合におけるチームの優位を生み出したことを語っていた。

そしてそのような徳島の姿は折り返した後半も変わらない。もう後がなくなった岡山の決死の反撃によってボール支配こそ前半のようには出来なくなったものの、「割り切ってラインを低くして守ることで意思を統一(橋内)」して粘り強い守備対応を続け、ボールを奪えば前半同様の素早い切り替えから鋭いカウンターを繰り出していった。小林伸二監督が「そこ(カウンター)でシュートが決まっていればもう少し締まったかもしれません。あのへんをモノにしたかったですね」とコメントしたように試合を決定付ける3点目を挙げられなかったことは1つの反省点であろうが、それを除けば後ろの45分も十分評価に値する内容。特に最終的に岡山をシュート3本での完封に抑え切ったところはチームとして次節へも繋がるものとなったに違いない。

こうして自らの力でプレーオフ圏内順位を死守した徳島。今季最後のホームゲームで自分たちのストロングポイントである粘り強さを復活させ、それによって勝利したことは非常に大きかったと言える。だが、シーズン残りの2戦はいずれもアウェイゲーム。難しい戦いを強いられることは必至だ。それだけに選手たちには今節取り戻したものをもう決して無くさず、その2戦でもしっかり継続させることが強く求められる。それがおそらくプレーオフ進出の権利を掴み取るための絶対条件となろう。

さて最後に敗れた岡山に関して述べれば、選手たちには必要以上の気負いがあったように思われる。敗れればプレーオフ進出の可能性が途絶えてしまうという背水の陣であったことからそれも仕方ないのかも知れないが、そうした気負いが特に前半歯車の狂いとして表れてしまい、ビハインドを背負うことにまで繋がってしまったのはやはり悔やまれるところだろう。ただ、後半体現した諦めない気持ちにはさらなる成長を予感せずにいられない。今季残りの2戦を責任感強く戦い抜き、この一戦にも大挙して駆けつけた素晴らしいサポーターといっそう力を合わせたなら、チームはきっと今以上の組織力を身に付けて次なる飛躍の階段を上り始められる。

以上

2013.11.11 Reported by 松下英樹
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