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【J2:第40節 千葉 vs 長崎】レポート:球際の勝負で負け、『前へ』のパスやミドルシュートも不足の千葉が完敗。攻守にアグレッシブなプレーを存分に見せた長崎が4位に浮上。(13.11.11)

第39節終了時では勝点差1でJ1昇格プレーオフのホーム開催ができるか分かれ目の位置にいた4位の千葉と5位の長崎。注目の直接対決では長崎が攻守の連動性といった組織力でも球際での個の強さでも千葉を圧倒し、千葉は完敗で5位に後退した。

だが、千葉の試合の入り方は決して悪くはなかった。15分には兵働昭弘が粘って左サイド前方へパスを出し、これを受けた田中佑昌がクロスを入れる。ケンペスはうまく長崎の3バックのセンターバックの間に入り込み、フリーで打点の高いヘディングシュートを放ったが、ボールはクロスバーの上。16分には米倉恒貴のアーリークロスに対して田中が左から右に走りこんでニアサイドでで合わせたが、長崎のGK金山隼樹にセーブされた。スペースへの走りとそこを狙ったパスやアーリークロス、長崎の背後を狙う飛び出しやダイアゴナルラン。長崎よりも先に千葉が2度決定機を作ったのは、マークを引き剥がす動きで長崎の選手が完全に帰陣する前に攻めきる形だった。だが、26分に長崎に先制点を奪われると、効果的だった攻めの形が見られなくなる。前線からの激しいプレスを受け続けて『前へ』のパスが少なくなり、パスも近くの選手の足元ばかり。そのパスも長崎のプレッシャーを受けて慌てたかのように精度を欠くのが目についた。競り合いでは体を張った長崎がマイボールにすることが多く、千葉がやりたかった大きな展開の長崎の攻撃に翻弄された。

長崎の先制点は岡本拓也のFKを手前で古部健太がヘディングで後ろにすらし、ファーサイドで山口貴弘がダイレクトシュートで決めたものだった。千葉にしてみれば山口貴弘をマークしていたケンペスが長崎の選手とぶつかって倒れてしまい、山口貴弘がフリーになって不運だったかもしれない。だが、千葉がワンクッション入れられたセットプレーやセットプレーのこぼれ球からの失点が多いことを振り返れば、このFKは長崎の作戦勝ちだったし、何よりも千葉の選手は古部のヘディングのあとは足が止まってしまっていた。千葉はオフサイドをとろうとしたようにも見えず、ボールウォッチャーになっていた。そして、36分の長崎の追加点は左サイドで千葉の高橋峻希と競り合った古部が幸野志有人にパスを出し、幸野が右サイドへのスペースへパスを出した長崎らしいダイナミックな展開から。パスが通った先にしっかりと金久保彩が走りこんでボレーシュートで合わせたのも、労を惜しまずにスペースへ走り、ゴールマウスが見えたら迷わずに思い切りよくシュートを打つ長崎らしさにあふれていた。長崎は13分にはこぼれ球から岩間雄大が、60分にもやはりこぼれ球から井上裕大が遠目からミドルシュートを打つなどボランチもゴールを狙い、81分には佐藤洸一がハーフウェイライン近くからでもシュートを打った。

千葉は長崎がゴール前に戻ってからパスを回すだけで、前節に続いてミドルシュートや勝負の縦パスがほとんどなかった。佐藤健太郎は「どうしてもスペースがないので完全に相手の守備を完全に崩さないと点が入らないような感じになってしまった」と話したが、山口智は「プレッシャーが速いからといって同じようなプレーをしていても局面は打開できないと思う。大事にやろうとして1人が2タッチ、3タッチでボールをコントロールしてもミスをしてしまう。呼吸が合わなくてプレスにはまってしまうことがあるので、相手のプレスが速いだけにもっとシンプルにダイレクトでやるべきだった。それは簡単ではないですけど」と話した。千葉は攻撃の柔軟性の無さや球際での弱さについて何度も修正を図ってはまた逆戻りを繰り返している。激しい競り合いのあとにファウルをアピールして動きを止める千葉の選手の姿も目についたが、そこで戦えなければ勝てないし、J1に昇格できるわけがない。終始攻守にアグレッシブな長崎の姿勢を千葉は見習うべきだ。

以上

2013.11.11 Reported by 赤沼圭子
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