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【J2:第35節 熊本 vs 札幌】プレビュー:プレーオフ圏に迫る札幌を迎え、ホーム連勝を狙う熊本。状況判断とメンタルが勝敗を分ける鍵となる。(13.09.29)

「自分たちのペースじゃない時にどうやって戻すのか、皆が状況判断をして、縦ばかりじゃなくて幅を使いながらリズムを作らないといけない。水戸戦ではそれができなかった」(吉井孝輔)。33節の東京Vに逆転勝ちをおさめてアウェイに乗り込んだ熊本は前節、1−1で水戸と引き分けた。最低限の勝点1を加えて順位も18位と上げはしたが、依然として19位以下との勝点差はわずか。残り8試合の全てが生き残りをかけたゲームになることを「チーム内にも周囲にも発信する」(池谷友良監督)という意味もこめ、27日の練習は今年初めて非公開で実施した。
この試合に臨むにあたって新たに特別なことに取り組むわけではないが、藏川洋平が出場停止となる一方、矢野大輔と片山奨典の停止明け、また負傷離脱していたファビオや北嶋秀朗の合流等を受けて、「戻ってきた選手も含めた組合せとリスタートの確認」(池谷監督)を行ったという。全体的にはやや重さが見受けられたそうだが、Bチームのパフォーマンスが非常に良かったとのことで、先発の顔ぶれに新たな力が加わる可能性も十分あるだろう。

そうした中で迎えるのは、現在プレーオフ圏の6位千葉と勝点差4で7位につける札幌。前々節は栃木に撃ち合いの末に敗れて松本新体制になっての初勝利を献上してしまったが、前節はレ コン ビンのJリーグ初ゴールで長崎に勝利。そのレ コン ビンは残念ながら今節出場停止となるが、前節の得点場面にも現れている攻撃の鋭さが、シーズン後半に入って着実に勝点を積み重ねる結果につながっていると言えるだろう。
ここまで13得点を挙げている内村圭宏をはじめ、強さも備えた前田俊介と、柏時代に間近で見ていた池谷監督が「ドリブルもキックもフェイントも、自分の形を持っている」と評する砂川誠らタレントは豊富。特に守備から攻撃へのオートマティックでクイックな切り替えが推進力を加え、相手陣内でボールを失っても、そこから素早いアプローチで再び奪い返して二次、三次攻撃につなげる厚みがある。個々の前を向く力、背後へ飛び出すスピードも、リーグ7位の50得点を裏付ける。前期対戦で1−3と敗れた熊本にリベンジを果たしてプレーオフ圏に迫るべく、今節は是が非でも勝点3が欲しい一戦である。

熊本としてはやはり、まずは札幌の攻撃をいかに抑えるかがゲームのポイント。水戸戦ではゴールこそ許さなかったものの鈴木隆行に起点を作られ、劣勢の展開を強いられた。その経験も踏まえ、特に内村と前田のケアには細心の注意が必要。「簡単に納めさせないことがテーマ。ボールに対しても行くのか行かないのか、判断をしっかりしないといけない」と吉井も話す通り、高い位置からのプレッシャーで相手の選択肢を消していきながら、最終局面の勝負に持ち込ませる回数そのものを減らしたい。出どころに対して的確なタイミングやアングルで寄せていくためにも、ピッチ内でのコミュニケーションが不可欠だ。
攻撃で求められるのは、速攻と遅攻の使い分け。札幌が前に圧力をかけてくる分、薄くなるスペースが必ず生じるはずで、そのプレッシャーをはがす意味でもシンプルに背後を衝く狙いは持ち続けたいところ。とは言え前で収まりどころを作れなかったり、攻撃を完結できずにボールロストする場面が多くなったりすれば、余計に消耗してしまうリスクもある。ボールを動かしながら前に運んでいく上では、サポートに入る2人め、3人めの適切な距離感と守備に切り替わった時にも有効なポジショニングを意識して、冒頭の吉井の言葉にもあるように幅を使って相手を広げていきたい。もちろん、ゴールに向かうという最終目的は常に念頭におき、勝負どころでタイミングを逃さず加速することも繰り返さなくてはならない。そして言うまでもなく、フィニッシュの精度も鍵となる。

9月も末となりいくぶん涼しくなったとは言え、日中はまだまだ暑さが残る熊本。明日も気温は30℃前後まで上がりそうで、「局面の1対1で負けないこと」と養父雄仁、高橋祐太郎らも話していたように、テクニカルな部分以上にメンタル要素が勝負を分けそうな一戦。勝点3を手にするのは、思いの強さをピッチの上で表現できた方だ。

以上

2013.09.28 Reported by 井芹貴志
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