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【J2日記】北九州:大学生の力で、地元のクラブを応援する。〜Giraq uni.の挑戦〜(13.05.31)

とある日の夕方、時計は18時を過ぎていた。この日梅雨入りした北部九州。北九州市も強い雨が降り注ぎ、その中を家路に急ぐサラリーマンやOLさん達は、小倉駅に向かっていた。それとは反対方向に進むと、この時間は居酒屋やカフェで多くのお客さんで賑わいを見せる魚町商店街がある。その中に、今回の取材対象者である「Giraq uni.」が会議をしている中屋ビル地下の北九州まなびとESDステーションがあります。中にお邪魔すると、すでに会議は進行中。この日は、男女5人ずつが参加していました。そしてその中にはクラブのホームタウン推進部チーフの藤岡臣さんも混ざっていて、静かに大学生達の提案する企画に耳を傾けていらっしゃいました。

「Giraq uni.」とは、北九州市と下関市にある5つの大学(北九州市立大学、九州共立大学、九州女子大学、九州国際大学、東亜大学)の大学生が自分たちで企画立案し、多くの学生にギラヴァンツ北九州を応援して貰おうと始まった、学生集客向上のプロジェクト。良く本城で見かける、イベントのステージ横の場所を借りて行っている、1回50円の低料金でプラ板のキーホルダー製作も、活動の一環です。

この日の会議のテーマは、6月に行われる試合の企画の最終確認。北九州の6月のホームゲームは2試合だが、G大阪戦と、熊本との「バトルオブ九州」と、どちらもたくさんのお客さんの来場が予想される試合。この2試合に向けた様々な企画を、真剣に意見をぶつけ合って、会議は約1時間半続けられた。
会議終了後、設立当初から参加している、北九州市立大学と九州共立大学のリーダー、池邉晃太朗くん(3年生)と武藤優大くん(3年生)に、「Giraq uni.」のことについて色々お話を伺った。

Q:設立のキッカケは?
●池邉晃太朗くん
「以前から、自分が通っている北九州市立大ではNavyWabyという団体で、ギラヴァンツを応援していたんですが、藤岡さんから北九州の大学を幾つか集めて、活動をやりたいというお話を頂いて、この団体に参加する様になりました。北九州市立大からは3名が入り、九州共立大にはスポーツビジネスゼミに声が掛かって、最初はこの2つの大学で藤岡さんを中心に計7名が集まって、去年の5月からスタート、現在は5大学15名で活動しています。今6大学に増えましたが、ギラヴァンツ好きで始めた学生もいれば、ゼミだからやっている学生もいる。モチベーションの差を最初は感じました。みんなが同じ方向を向いて、同じ熱意でやることの調整に苦労しましたし、たまにギクシャクすることもあった。こうやって今みたいに、他の大学の学生と関わることも無かったので、そういう経験の無さもあって難しいことも。今はここのESDステーションにも入っているので、予算も頂けるし、プラ板の売り上げで活動が出来ているが、最初はコピー1枚取るにも全部自腹で行っていました。資金を集めるのは大変でした」

Q:どんな活動をしているのですか?
●武藤優大くん
「同じ大学生にギラヴァンツの試合に観に来て貰える様に告知したり、北九州市の地域で行われるお祭りやイベントに参加させてもらって、ギラヴァンツや団体のことを知って貰える様に活躍しています。最初は告知しても学生が集まらず、難しさを感じていましたが、昨年のホーム最終戦に学生デーを企画して167人を集めることに成功して、達成感を味わうことが出来ました」

Q:活動して行く中で、学生のメリット、デメリットはありましたか?
●池邉くん
「クラブの方がチラシを配るより、大学生の僕らが配る方が、学生は受け取り易いというメリットはあると思います。それに同じ年代の僕達の方が、どういうことを考えているかも分かると思います。デメリットは、先ほど言ったような資金集めの点です。今は、ここのESDステーションの団体にも入っているので、予算も頂けるし、プラ板の売り上げで活動が出来ていますが、最初は自腹でやっていることも多く、正直大変でした」

Q:他には、どんなメリットがありましたか?
●武藤くん
「他の大学生とも交流が出来て、いろんな人と知り合えた。もちろん、いろんなところに顔を出すので、会社勤めの方や、町の役員の方など、普段なら知り合え無かった方と名刺交換する訳ですから、ビジネスマナーも、一から学べました」

●池邉くん
「ギラヴァンツの方とイベントやお祭りにボランティアとして参加していますが、北九州の隅から隅まで行ったので、その様々な町の取り組みや良さを知ることが出来た。ギラヴァンツを通して、北九州という街をさらに好きになることができました」

Q:2人は北九州市出身?
●池邉くん
「僕は大分出身で、根っからのトリニータファンだった。大分に試合を観に行っていましたが、その頃はファンとして受ける側だったので、大分も色んな地域活動をしていたと思うけど、あまり気にすることが無かった。今は逆で与える方だから、もっとこういう活動をしていることを、知って貰える様にしたいと思っています」

●武藤くん
「僕は山口出身で、サッカーもやっていました。昔からサンフレッチェ広島が好きで、ビッグアーチにも通っていましたが、スタジアムから離れていても、今日は試合があるんだと感じることができました。旗も街中に溢れていて、紫のユニフォーム姿の人もたくさん居る。もちろん試合中は盛り上がるし、全体的に活気があると感じることが出来る。あの雰囲気を、北九州の本城でも再現したいと思っています」

Q:今後の「Giraq uni.」の活動予定や抱負は?
●武藤くん
「学生デーを今年はあと2回やる予定で、1回目は70人でした。7月7日の徳島戦にはもっと呼べる様にしたい。もうすぐG大阪戦もあるので、たくさん集客出来る様にしたいです」

●池邉くん「自分たちみたいに、他の場所から北九州の大学に来た学生もたくさんいる。せっかく4年間北九州に住むんだったら、ギラヴァンツにも関心を持って貰って応援して欲しいし、北九州の街も大好きになって欲しい。2人は3年生なんで、就職活動が始まったら活動にも次第に参加出来なくなって来る時期が来る。これから小倉の街にスタジアムが出来るので、徐々に盛り上がって来ると思う。後輩達にも良いバトンタッチをして行ければと思います。北九州に昔から住んでいる市民の皆さんには、1回で良いから観に来て貰って、ギラヴァンツの魅力に触れて欲しい。そうなれば、この北九州にギラヴァンツがある意味を知って貰えると思う。そうなる様に、これからの活動を続けて行きたいです。その為にも、もっともっと地域活動にも参加したいです」

Q:最後に、ギラヴァンツのファンやサポーターの方に、何かありますか?
●武藤くん
「ぜひファンやサポーターの人達と一緒に、ギラヴァンツ北九州を盛り上げて行けたらと思っています」

●池邉くん
「学生が自らの意思で集まって、出来る範囲で活動しているので、これからも温かく、長い目で見守って欲しいです」

この活動の発起人でもあり、責任者でもある藤岡さんは「北九州にある10の大学を1人で担当するのは無理なんで、学内にブレーンを作って、そのネットワークを活用させて貰おうと始めた。産学連携という形なので、クラブ側にもメリットはある。ここに集まったみんなは、自分達の時間やバイトの時間を削って、本当に熱意を持って取り組んでくれている。プロの現場を見て、学生達にもメリットはあるだろうし、色々教わることもあると思う。これからも人生の勉強だと思って、たくさんのことを学んで欲しい」と、温かい眼差しで話されていました。

北九州に限らず、どこのクラブも集客には苦労している。特に大学生の年代に、どの様にクラブに、そしてJリーグ自体に、関心を持って貰えるか、どこのクラブも頭を悩ませている。この「Giraq uni.」に集まった、溢れるエネルギーと柔らかいアイディアで、ギラヴァンツ、そして北九州市に、大きなパワーを生み出してくれるのを願っている。

※「Giraq uni.」の活動は、Facebookでも知ることができます。ぜひ「イイね!や「シェア」で、多くの方に、この活動を周りの方に知って貰えればと思います

以上

2013.05.31 Reported by 坂本真
(C)坂本真

この日の授業を終えて集まった学生の皆さん。感心するくらい、多くの意見をぶつけ合っていた

(C)坂本真

藤岡さんは学生達の会話を最後まで聞き、足りない部分をプロの目から優しくアドバイスを送っていた

(C)坂本真

さすがに集合写真は、大学生らしく賑やかな雰囲気に(笑)

(C)坂本真

北九州市立大学のリーダー池邉君(左)と、九州共立大学リーダーの武藤君(右)

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