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【キャンプレポート2012:F東京】沖縄キャンプ総括レポート(12.02.11)

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FC東京が10日、4日から始まった沖縄キャンプを打ち上げた。ポポヴィッチ新監督が目指すスタイルの浸透を図った充実の7日間だった。

新指揮官はチームが始動した日、短い言葉を選手に掛けた。
「笑顔で練習場にやってきて、笑顔で練習場を後にしよう。サッカーを楽しめ」
その言葉通りの1次キャンプとなった。ただし、笑顔の合間にはまったく別の表情も見せた。
沖縄県北部に位置する国頭村国頭陸上競技場は風向きで天候が変わった。南風が吹けば、空は晴れ、暖かな日差しが差し込んだ。北風が吹き込むと、厚い雨雲に覆われ、体感温度もグッと下がった。天気とともに、ピッチ上はより一層表情を変えた。
ポポヴィッチ監督は、慌しくピッチを動き続けた。そして、口も良く動いた。いいプレーには「ブラボー」を、そして、時にはそこに叱責を加える。にこやかな表情をしたと思えば、烈火の如く選手を叱りつける。その振れ幅が大きい。「練習を見てもらえば、分かると思うけど、私が怒鳴るよりも、ブラボーの回数のほうが明らかに多いでしょ。だけど、皆さんの頭には、(怒鳴った姿が)残っている。だから選手にも私の言葉は残っているはずだよ」。大事なのは「選手に残ることだ」と言う。楽しい記憶と、苦い記憶は必ずメモリーされるモノ。だから、意図して「ここに響くことには気を使っている」と、胸のあたり指で指して語った。

ボールを使ったトレーニングは、複数のグループに分けられるパス回しが中心となった。少人数のグループから始まり、徐々にルールと人数を増やしていく。その中で、ポポヴィッチ監督は、一つひとつの動きに注文をつけていく。ボールを受ける時には、予備動作を加えて棒立ちにならないように心がける。ボールを足元に止めず、スペースに動かす意識づけもされた。さらに、気になることがあれば、その都度、細かく指示を与えた。それでも足りなければ、練習の合間や、練習後にも選手と個別で密に話し合った。
新たなスタイルを広める上で欠かせない基本動作の徹底を図りつつ、攻守の戦術の柱も見えてきた。練習内容の中で目立ったのは、クサビにつける縦パスを常に意識させることだった。そこを起点に3人目の動きで崩す形を複数のパターンで実践させた。
また、守備ではボールへのプレッシャーを徹底した。もしも、ボールホルダーへのアプローチを怠れば、鬼の形相で選手を叱りつけた。実戦形式のトレーニングになると、2トップとサイドハーフが相手最終ラインの4人にプレスを仕掛け、相手ボランチに無理やり出てきたパスをこちらのボランチが奪う形が繰り返される。この前からはめ込んでいく守備がポポ流サッカーの根幹となりそうだ。
そして、このサッカーを実践するためには攻守両面での運動量は欠かせない。前線への飛び出しや、攻守の切り替え、帰陣のために、ダッシュを繰り返さなければいけない。サボる時間を与えず、常にボールを使いながら動き、ハードなラントレーニングも合宿中に取り入れられていた。指揮官の強弱をつけた指導に、選手たちの飲み込みも早く、スポンジのようにポポの理論を吸収していった。
だが、この縦パスを合図に組織立って攻める攻撃も、はめ込んでいく守備もまだまだ時間が必要だ。沖縄キャンプ中に、練習試合が2試合組まれたが、ある程度の成果と課題を残している。攻撃では、それまでのように、確実性を重視して横パスを何本もつなげることは減ったが、縦に急ぎ過ぎる嫌いがあってボールが落ち着かない時間が存在する。守備は、前線のプレスを交わされて中盤や、バイタルエリアが空いて簡単に失点する場面も散見する。ただ、今は戦術を浸透させる時期。少々、過多になっても悪くはないはずだ。ここからスピードと正確性のレベルを高めて、アンバランスな状態を整理していく時間となっていく。
「何も言わなくても、選手が自然と私の思うことができることが究極のカタチと言えるね。そのために今のトレーニングがあるんだ。その日がくることを私は待ち望んでいるよ」
今はまだ頭で考えてから、足が動いている段階。それが先に足が動くようになれば、ポポヴィッチ監督が目指すスタイルが浸透したと初めて言えるだろう。この沖縄キャンプはまだまだ序章のほんの一部。これからが、本番と言えるのかもしれない。チームには選手のヒエラルキーも存在していない。ポポヴィッチ監督は断言する。「私の選手は全員がフラットで横一線。雑誌や新聞にはすでに予想スタメンや布陣が出ているようだけど、それは間違っているよ。何も決まっていない。先発を決めるのはピッチに立つ選手たちだよ。彼らのプレーが、11人を決めるんだ。誰にもチャンスがあるんだ」。後1ヶ月も待てば、味スタに新しいF東京が立つ。ちょっと不安も残すが、この待ち時間は楽しみの何者でもない。そう思わせてくれる沖縄キャンプだった。

以上

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■FUJI XEROX SUPER CUP 2012
2012年3月3日(土) 13:35キックオフ/国立
柏レイソルvsFC東京
※詳細は【こちら

2012.02.11 Reported by 馬場康平

キャンプも中盤に差し掛かるあたりで、ポポヴィッチ監督が課す激しいトレーニングに、選手たちの疲労感はマックス。

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