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【J1:第26節 仙台 vs F東京】プレビュー:降格圏直上、勝点3差の両クラブの対戦。監督交代に、前節での苦杯と、双方「手堅さ」を追求する理由に溢れた一戦の行方は?(10.10.15)

10月16日(土)J1 第26節 仙台 vs F東京(14:00KICK OFF/ユアスタチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
スカパー!生中継 Ch183 後01:50〜
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前節のリーグ戦から2週間が空いた。
他のクラブは天皇杯なりヤマザキナビスコカップなどを間に消化していたのだろうが、仙台はどうだったかというと、サポーターが初の代表招集を受けた関口訓充の勇姿に胸を躍らせる間、チームは隣県、福島でのミニキャンプを敢行。まあ、なぜこのような日程を組むことが可能となったのかは、改めて触れないでおくことにしよう。
とはいえ仙台にとって次節は、ミニキャンプを経て迎えるに十分な重さを持った一戦といえる。前節、降格圏を3試合ぶりに脱し、さらに勝点3差で上を行く仙台を食うことで勢いをつけたいと考えているであろうF東京との、残留争い直接対決である。

この試合、様々な目線のファン、サポーターに、注目点を与える一戦となっている。
まず、「日本代表対決」である(いきなりミーハーな目線だと煙たがる方もいるかもしれないが、仙台を追ってきた者として、こういう切り口でプレビューを書けること自体、筆者は本当に嬉しいのだ)。W杯南アフリカ大会でもピッチに立った今野泰幸、さらに今回のザッケローニジャパンでは出場こそならなかったが、再び代表に返り咲いたGK権田修一を擁するF東京の守備陣に、仙台から遂に生まれた生え抜きの日本代表、関口訓充が襲いかかる。
アルゼンチン戦で代表初キャップを獲得した彼の姿を、実の息子、もしくは大親友であるかのような心境で見ていた仙台サポーターの祝福も兼ねた声援が、きっと試合当日はユアスタのスタンドから関口に降り注ぐ。「代表帯同中は精神的にもきつかった分、強くなれた。必ず、成長につながるはず」と帰仙早々に語っていた関口。疲れもあるだろうが、手倉森誠監督も乗り越えることを期待していると話していた、周囲の重圧に負けないという「代表選手としての責任」を胸に、この大一番を戦う。
なお、代表絡みで言えば、今野もまた、出身地である仙台での一戦に期するものがあるはず。彼にもまた、故郷の大声援が送られることだろう。

「人間ドラマ」が好きな方には、赤嶺真吾の存在がうってつけだ。
今年8月、移籍市場が閉まるギリギリで、F東京から期限付き移籍で仙台にやってきた赤嶺は、負傷で欠場を余儀なくされた時期もあったが、加入早々から仙台の前線を活性化。F東京のサポーターからしてみれば心中穏やかではないかもしれないが、現在の仙台においては間違いなく、もはや欠かせない選手の一人となっている。
赤嶺がチームを離れて以降、F東京は本格的に降格争いに巻き込まれ、城福浩監督の解任など、状況は大きく変わった。何より、自らの関わる2クラブが降格争いにおいて直接対決となるなど、赤嶺本人はまったく望んでいないシチュエーションだろう。
だが赤嶺は「変な感じはもちろんあるが、期限付き移籍とはいえ、今は仙台の一員」と語り「(F東京の守備陣は)個の能力が高いが、必ずチャンスは来る。自分はそういう場面で、しっかりゴールしたい。F東京は勢いが出てきているが、こっちはホームだ」と、この戦いに意欲を燃やしている。

そして最後に、試合自体の楽しみ方を、両チームの出方を通じて分析したい。
大熊清監督の復帰に伴い、陣形に多少の変更も見られるF東京。中でも守備陣に目をやると、手倉森監督の意見も踏まえて考えれば、おそらくセンターバックのコンビが今野と、キム・ヨングン。そしてダブルボランチが、森重真人と梶山陽平の2人の組み合わせになると思われる。この守備ブロックをベースに、どういったサッカーで仙台に挑んでくるか。予想されるのが、しっかりブロックを組んだ上で、奪ったら前線の平山相太をめがけて展開する、縦に速いサッカー(これを手倉森監督は「大熊監督になって、かつての東京ガス時代に戻った」と評しているが、確かにかつてのJFLや、J2初年度の1999年にJ1昇格を決め、翌年以降のJ1でも躍進を見せた頃のF東京のサッカーは、そのようなものだったという印象が筆者にも強い)。
さらに、手倉森監督は、迎え撃つ仙台の状況も含め、こう言い切った。「試合の立ち上がりは、互いに(ゴールに向かって)直線的になるだろう」。これは仙台も、リスクを冒さないという前提をもって、この試合に臨むという意思表示である。
というのも仙台は前節、アウェイでの名古屋戦で、勝点1獲得が近づいていた試合終盤、たった一度のミスからカウンターを受けゴールを許し、貴重な1ポイントを持ち帰れなかった。「ホントに、あの1つの場面だけ。ただあれは、リスクマネージメントを一度でも怠ったらダメだと、名古屋にも、サッカーの神様にも教えられた」(手倉森監督)という仙台は、福島でのミニキャンプ内だけでなく、久々にユアテックスタジアム仙台でのトレーニングとなった14日の練習前にも、名古屋戦のVTRを再確認。その上で「残り9試合全て、一度でもリスクマネージメントを怠らない」という決意を新たにしている。

仙台は監督も、それから多くの選手も、この一戦に対し口を揃え「FC東京は元々、この順位にいるチームじゃない」と話す。それはまるで、現在の順位から感じがちな錯覚−今のF東京からならば、容易に勝点3を奪えるのではという「慢心」−を振り払おうとしているかのように。何しろ手倉森監督自身、こう言っている。「これからは最低で(勝点)1、最高で3」。

互いに序盤から、攻めの糸口を掴むのは難しいかもしれない (何しろ、お互いがそうさせたくないと強く思っているのだから)が、そうした展開の中に見える「神経戦」の要素、一つのミスが試合を動かす緊張感、それこそ、今対決における最高の愉しみなのかもしれない。

以上
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