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【2009Jユースサンスタートニックカップ 準決勝 F東京 vs G大阪】レポート:右肩上がりのG大阪を凌駕した超右肩上がりの倉又トーキョー。個とチーム力でG大阪から5ゴールを挙げて決勝進出(09.12.24)

12月23日(水) 2009Jユースサンスタートニックカップ 準決勝
F東京 5 - 1 G大阪 (14:00/長居/1,088人)
得点者:15' 平出 涼(F東京)、23' 重松 健太郎(F東京)、75' 阿部 巧(F東京)、84' 三田 尚央(F東京)、89' 重松 健太郎(F東京)、89' 平川 直人(G大阪)
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トップ昇格が3人(平出涼、阿部巧、重松健太郎)だけでは勿体無いと思わせる内容だったF東京。高円宮杯チャンピオン・横浜FMに勝ったG大阪がF東京を引き立てる役割を負わされることになってしまった準決勝第2試合。立ち上がりはほぼ互角だったが、F東京のプレスの速さにG大阪のパスは大事なところでズレることが多くなり、主導権争いで敗れることが徐々に増えていった。
決勝トーナメントに入って5ゴールを決めている重松健太郎に対するマークも甘かった。寄せすぎて一発で裏を取られることを警戒したのかもしれないが、後ろに立っているだけのマークになっている場面が多く、重松にボールが入るところを潰しにいくという意図はなかったように見えた。F東京は重松だけを抑えて何とかなる相手ではないので、違う意図があったのかもしれないがそれを確かめることはできなかった。

15分のコーナーキックで、重松がヘッドで落としたボールを平出涼が決めると、23分には重松が左サイドからドリブルで切れ込み、切り替えしてパンチのあるシュートで2点目を決めて内容でも得点でもF東京が差をつけた。重松というストライカーが活きるのは山口潤という労働者がいるからではあるが、決めるべきときに決める重松は、城福浩監督に石川直宏タイプがもう1枚手に入ったと思わせるのではないかと思うほど素晴らしい。トラップの技術は正確だし、キックも正確、判断ミスも少ないし、プレーはキレキレ。今大会の活躍で重松の将来が約束されたわけではないが、F東京サポーターは来年も楽しみが多くなりそうだ。

前半の終盤はG大阪が主導権争いをイーブンに戻したが、この流れを得点に繋げることが出来るかどうかがG大阪の勝負どころだった。後半はG大阪のマークがより厳しくなったが、スピードと正確性で上回るF東京に対してはファールという形になってしまうことが少なくなかった。それでも、57分の原口拓人のシュートは悪い流れを止めることが出来るゴールになったかもしれなかったが、決まらなかった。2−1になってF東京の選手が少しは慌てたり動揺したりするのかを見てみたかったが、実力と自信と勢いがスクラムを組んでいる倉又トーキョーは止まらない。75分に阿部巧のゴールが決まるとG大阪の選手がショックを受けていることを感じた。必死にもがいてはいるものの、どうやったらいいのか分からなかったのではないだろうか。そして、84分に三田尚央がパンチのあるボレーシュートを決める。「調子がいいときはゴールの空いているところが見える」という三田。彼はトップ昇格が叶わず大学に進学するのだが、そのことを後悔させることが4年間の三田のモチベーションのベースになる。今年の3年生が4年後に何人Jリーガーになっているのか楽しみだ。

89分には集中力を欠いたG大阪の守備に、重松が5失点目という代償を払わせたが、右肩上がりになっていたG大阪がここまで打ちのめされるとは誰も思わなかったはず。G大阪のある選手が「F東京は(ロングボールを)蹴ってきた」と悔しそうに話したが、客観的に見ればF東京のロングボールは逃げではなかった。攻守の切り替えの速さとプレスの強さをチーム全体と個の技術で凌ぐことができずに、前線に正確なクサビのパスを入れることを阻まれ、押し上げて主導権を取れなかったことが敗因ではないだろうか。つまり、チーム力の差。ただ、シーズン序盤の難しい時期を乗り越えて、シーズン最後の大会でベスト4に残ったことは選手にとっていい経験になったと思う。

育成年代は学年によって選手のばらつきもあるし、トップチームの状況によって昇格できる選手の人数もレベルも左右される。3年生が主力のF東京も来年は今年のような戦いをすることは難しくなる。逆に、G大阪は2年生以下の選手が大きな試合の経験を積んでいるので来年は凄いことになる可能性を持っている。重要なことは彼らのサッカー人生はこれからも続くということ。目の前の試合に勝つために全力を出すことは重要だが、勝って終わりでもなければ、負けて終わりでもない。人生の縮図であるサッカーで努力し、栄光や挫折を経験して生き抜く強さを身につける。Jリーガーになった選手だけが素晴らしいのではなく、どんなときも努力し続けることが出来る選手が素晴らしい人間になる。気持ちが大きく揺れ動くことがある年代なので勝って万歳、負けてガッカリでは終わらせることはできない。ただ、それでも重松を中心とするF東京は素晴らしかった。F東京サポーターでなくても、開催地の関西のサッカーファンには12月27日の決勝戦(vs広島@長居、13:30キックオフ)で今年の頂点がどうやって決まるのか目撃してほしい。

以上

2009.12.24 Reported by 松尾潤
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