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【2009Jユースサンスタートニックカップ 準決勝 広島 vs 磐田】プレビュー:高円宮杯準決勝の再戦!リベンジを誓う広島と、指揮官不在の磐田。勝敗を分けるのは、ずばり『結束力』だ!!(09.12.22)

12月23日(水)2009Jユースサンスタートニックカップ 準決勝 広島 vs 磐田(11:00KICK OFF/長居)
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磐田と広島。まさに因縁の対決となった。両者は高円宮杯全日本ユース(U-18)準決勝で対決、そのときは死闘の末に2-2のPK戦で磐田に軍配が上がった。この対戦が再現されたこと以上に、それがこの準決勝で実現することは、大会前に予想した人がどれほどいただろうかと思わせるほど意外だった。
正直に言って、筆者にとっては驚きのカードであった。ただ、それはあくまでも戦前の予想から鑑みればであって、大会を通して見れば両者の勝上がりは決して意外ではなかった。裏を返せば、いかに彼らが高円宮杯全日本ユースで急成長を遂げたかということが言える。共にJFAプリンスリーグ中国チャンピオン、東海チャンピオンだが、春先の試合を見る限り、全国で上位に行くことは正直難しいと思われる状況だった。

広島は春先から相次ぐけが人に苦しみ、一時は大黒柱のMF大崎淳矢がトップチームに帯同する機会が増え、抜けた時期もあった。日本クラブユースサッカー選手権では、FWからコンバートし守備の要となりつつあったCB玉田道歩が大会前に負傷離脱。さらに大会途中で大崎までもが負傷離脱し、屈辱のグループリーグ敗退を喫した。
今大会も玉田が復帰できず、苦戦が予想された。しかし、彼らは全員がお互いの足りない部分を補い合って、チームとして強烈な力を発揮し、準決勝まで勝ち上がってきた。大会を通して宗近慧、森保翔平、浅田裕史の3バックが急成長。森保は高さはないが抜群の対人の強さを見せ、浅田が攻撃参加をして、宗近と2バック状態になっても相手アタッカー陣に自由を与えなかった。彼らの踏ん張りがタレントが揃う攻撃陣に火をつけ、大崎、茶島雄介、中山雄登のセンターラインが攻撃を組み立てると、宮本徹と元田涼介の両ウィングバックが絡んで左右、中央両方からの攻撃を可能にした。さらに玉田のコンバートと離脱を受けてワントップに起用されたFW井波靖奈も成長を見せ、懐の深さを生かした抜群のボールキープと、高いシュートセンスを発揮し、前線で欠かせない起点となった。
「僕らはちびっ子集団ですが、相手に対して顔を上げて牙を剥いて戦えるようになった。ちびっ子でもピリリと辛いサッカーは出来ていると思う。本当にベンチ、スタンドを含めて、全体がまとまって戦えるようになった」と、大会後に森山佳郎監督が語ったように、彼らは『戦う集団』に変貌を遂げ、今大会でもここまで勝ち上がってきた。

磐田は各年代の代表選手をそろえながらも、その選手がなかなか額面どおりの力を発揮できず、チームとしてかみ合っていなかった。夏の日本クラブユース選手権でも、グループリーグ最下位という屈辱を味わうなど、チーム状態は決してよくなかった。
しかし、この屈辱が選手たちのメンタルを根底から鍛え上げた。落ちるところまで落ちたことで、彼らの中に変なプライドがなくなり、がむしゃらにプレーできる選手が増えてきた。さらにスタメンの顔ぶれが大きく変わり、いろんな選手が経験を積んで、チーム力が底上げされた。
広島同様に、大会を通じて選手個々が大きく成長したことで、夏にグループリーグ最下位だったチームが、準優勝を飾ることが出来た。そして、今大会でも主力が抜けながらも、「相手の出方を見極めて、サッカーが出来るようになった」と、吉田光範監督も目を細める成長振りで、ここまで勝ち上がってきた。

春先、夏場の低迷が嘘のように、右肩上がりで快進撃を続ける両チームの決戦。この対決のキーマンはそれぞれ1トップを張る井波、そして磐田の海田佳祐だ。この2人は高円宮杯全日本ユース準決勝でも、個性を発揮したプレーで相手の脅威となり、共に圧巻のゴールを決めている。
海田は左サイドからカットインすると、左斜め45度の位置からGKの頭上を破る、技ありのコントロールショットを。井波は味方が落としたボールを、トップスピードで走りこんだまま、ランニングハーフボレーでゴール左下隅に突き刺し、共に観客の度肝を抜くゴールを叩き込んでいる。この『再戦』で再び同じようなシーンを見せるのはどちらの選手か。ここに注目したい。

磐田は今年限りで退任する吉田光範監督が、準々決勝で退席処分を受け、ベンチに入ることが出来ない。「ホーム(ヤマハスタジアム)の最終戦(2回戦)で胴上げしたけど、もう一度胴上げしたい」(GK大杉崇仁)と選手たちの心はひとつなだけに、高円宮杯よりも結束した磐田が見られるはず。
広島も「ずっと同じ釜の飯を食べ続けて、一体感がある」(森山監督)と、結束力では負けていない。
つまりこの勝負は結束力が、より高い方が勝つだろう。サッカーは技術も大事だが、気持ちが大事。Jユースチームはどうしても高校サッカーを比べ、気持ちの面で劣っているように思われがちだが、この2チームは違う。Jユース同士の戦いであっても、気持ちが前面に出た熱い戦いが繰り広げられることを、この試合が証明してくれるはず。手に汗握る白熱した決戦になることを、今ここで約束しよう。

以上

2009.12.22 Reported by 安藤隆人
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