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【J2:第23節 北九州 vs 大分】レポート:新布陣の大分と戦力充実の北九州、互いが持ち味発揮の好ゲーム。技ありゴールが試合を動かし勝点1を分け合う(14.07.27)

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ラドンチッチと林容平の新2枚看板を先発起用した大分と、内藤洋平が本格的な戦列復帰を果たして中盤の安定感が増した北九州。新たなフェーズに入った両チームがぶつかった「バトル オブ 九州」は互いの勝利への姿勢が前面に出た好ゲームとなった。結果は1−1と勝点1を分け合ったが得たものは大きく、夏場の連戦に弾みが付いた。

大分は第22節・札幌戦ではシステムを『4−1−4−1』としていたが、この試合ではラドンチッチと林を最前線に並べ、大分らしいポゼッションサッカーではなく縦へのボールが多いシンプルな組み立てが目立った。それが今節の北九州戦だけを意識したものなのか、それとも今後も継続していくのかは現段階でははっきりとはしない。ただ、多くのチャンスを作ることには成功。16分にラドンチッチが強烈なミドルシュートを放ってそのパワーを示すと、前半のアディショナルタイムには林が絡んだカウンターでゴールに迫った。
対する北九州もラドンチッチ対策はしてきていた。「(ラドンチッチが)ちょっとイライラしていたのかな」とセンターバックの渡邉将基が話すほど厳しいマークを徹底。八角剛史らケアにまわる中盤の集中力も高く、大分にチャンスは作られながらもブロック外からのシュートに留めたり、最後で体を張るなどエネルギーを使いながらも前半を無失点で折り返した。

試合が動き出したのは後半。立ち上がりから攻守がめまぐるしく切り替わる展開となり、いつ得点が動いてもおかしくないようなゲームになっていった。
いくつかのチャンスが双方にある中で最初にネットを揺らしたのは大分。62分、ラドンチッチの足元からこぼれるように外に出たボールを伊藤大介が拾う。その場所はペナルティエリアの左端。エリア中に大分の選手はなく北九州の守備陣がブロックを築きつつあるという場面だった。ごく普通に考えれば、ドリブルで中に入り込んでいくか、ペナルティアークあたりに送って後ろから入ってくる2列目の選手にミドルシュートを託すというオプションが思い浮かぶ。ところが伊藤はペナルティエリアを横断するクロスを選択。北九州守備陣の意表を突いて対応を遅らせ、斜めに入り込んだ松本昌也が鮮やかにシュートを決めた。「いいボールが来たので届くと信じて打った」と松本昌。伊藤との呼吸がぴたりと合った見事な得点シーンだった。

しかし北九州も逆転勝ちが今シーズンは5試合もあり、1失点でチームが揺らぐわけではない。すぐさま渡大生を投入し、さらに井上翔太、大島秀夫とカードを切っていくと、スペースがあちらこちらにある中で時間を掛けずにシュートチャンスを作り出すようになる。71分には渡を起点に、大島、小手川宏基とワンタッチで繋ぎ、再び渡が受けてシュート。ボールはわずかに左に逸れるが、前節から躍動している渡が流れを引き戻していく。
そして76分。左サイドから冨士祐樹が渡を走らせるクロスを供給。ボールはニアサイドで足を伸ばした渡と大分ディフェンスの競っている間をすり抜けてそのままゴールに吸い込まれ、北九州が同点とした。結果としては冨士のゴールだが、渡が積極的に飛び込むことで生まれた得点とも言えるだろう。

1−1となったあとも、互いに途中出場の選手がリズムを作り出し、北九州も大分もシンプルな展開でゴールに迫ったが、それ以上は得点が動かずホイッスル。勝点1を分け合った。

さて、大分についてはプレビューでいくつかの選択肢があるということを書いた。守備から入るのか、立ち上がりから大分らしいポゼッションをして優位に運ぶのか、それともラドンチッチをターゲットに長いボールを当ててくるのか。ふたを開けてみると3番目の候補に挙げた前線に預けるボールが多い展開で、ポゼッションの大分という印象ではなかった。それは「今までの流れと違うような形になっている」と田坂和昭監督も認めるところであるが、上述の通り得点こそなかったもののラドンチッチと林が武器であることも示せたゲームだった。「前半戦でやってきた良さと彼ら2人の良さをもう少し擦り合わせなければいけない」と田坂監督。あれもできるしこれもできるという選択肢のある贅沢な状況は、ともすれば難しい舵取りが求められる。それでも白星奪取にあと一歩まで迫ることができ、今後に向けて弾みになったことは間違いあるまい。

北九州は逆転こそできなかったが勝点1を手にした。自分たちが主導権を握ってボールを持てる時間も長く、チャンスシーンも従前の試合に比べて多かった。それだけに「もっと早い段階で決めれていれば」(小手川)という言葉が選手からは漏れてくる。裏を狙うボールでチャンスメイクしていた風間宏希は「最後のパスの質とかトラップひとつで崩れてしまう」と振り返った。暑さや疲労から体の動きが鈍くなりやすい夏場は小さなミスでもチャンスを潰したり、失点に繋がったりしてしまう。試合でのクオリティを上げる作業は夏場を乗り切るために絶対的に必要だ。練習中も含めより集中してゲームへと臨んでいきたい。

ところで、この試合の入場者数は4600人ほどで夏休み最初の土曜日だと考えれば少し寂しかったのは否めない。北九州市内各地のイベントと重なったことも要因のひとつとは言えるが、いわゆる「ゴール裏」は大分のほうが多く、ジャックされたとまではいかなくともホームの利を得たとは言い難かった。「(声援が)こういう暑い時期というのは選手に対しての力になってくる」と柱谷幸一監督。笑みを浮かべながらも「ホームでは、自分たちのほうが多くの力を掛けることができるような状況になればいいなと思う」と素直な感想を述べていた。
今節、北九州は市内7区の名所が描かれた限定ユニフォームでピッチに立った。市最大の祭りともコラボし、市長も「北九州にふさわしいカラー」と誇ったデザイン。北九州市らしさが込められたユニフォームを見れば、チームは約百万人が住む市のシンボルになりうる存在だということに改めて気づかされる。それを市民のアイデンティティにまで伸長させるには、チームができること、クラブがやれること、サポーターがトライできることなどなど、きっとたくさんある。「力」はまだ足りない。新スタジアムが歓声に包まれる2017年の通過点に向けて、アウェイチームの「力」を感じるバトル オブ 九州を誰にとっても『僕らはまだやれるよね』と認識し行動するためのエネルギー変換の場にしていきたい。そう。まだまだやれることがたくさんあるというのは、実はチャンスなのだから。

以上

2014.07.27 Reported by 上田真之介
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