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【J1:第30節 鳥栖 vs C大阪】レポート:前半に耐えた鳥栖が、後半に爆発。鳥栖が残留を一気に引き寄せ、C大阪はリーグ制覇が遠ざかる(13.10.28)

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多少、自画自賛的なオープニングになることをお許しいただきたい。今節のプレビューで、『どちらにも負けられない理由があるだけでなく、タイプの違うチーム同士が真っ向勝負で戦うのである。この一戦を楽しまずにはいられない』と文頭に記した。詳細については多くは記していない。筆者の勝手な思い込みやサッカー観を押し付けてしまうと、試合を観る楽しさが半減してはいけないと考えたからである。
しかし、試合後のレポートについては事実に基づいて記すので、読者諸兄が観戦後に感じた気持ちを増幅することはできるだろう。今レポートがそのお役に立てればと思いながら、両チームの目線でお伝えさせていただきたい。

まず、この試合のシチュエーションを見てみたい。J1全9カードでの中で、唯一のナイトゲームだった。当然のごとく、14位の鳥栖は下位チームの勝敗を知っていただろうし、4位のC大阪も勝てばどのような結果になるかを知って試合に臨んだことだろう(応援する我々も同じである)。
15位の甲府は引き分けて勝点1を上積みし、J1残留に少しだけ近づいていた。16位の湘南が敗れていたので、鳥栖との差は8のまま。鳥栖が勝利すれば、一気にJ1残留に近づくのである。C大阪は、上位がすべて勝利したのでリーグ制覇を狙うためには絶対に落とせない試合となっていた。これだけでも両チームのサポーターでなくても、結果が気になるところである。
また、鳥栖はリーグ戦3連敗中と終盤戦の流れが悪い。C大阪と言えば、10戦負けなしと絶好調状態であった。スポーツ振興くじ(toto)を購入した方も、この流れを素直に信じた方が多いだろう。サッカーファン以外からも注目されるシチュエーションと言えた。他にも、鳥栖はJ1に昇格してからはC大阪に勝てずにいた。これだけでも好対照なのである。

チーム自体に目を向けてみよう。鳥栖には絶対的なエースと言えるFW豊田陽平がいる。高さと強さを持った日本人ストライカーではあまり類を見ないタイプである。彼が競ったボールには、2列目からスピードやテクニックを持った選手が遠慮なく飛び込んでくる。今節を迎えるまで鳥栖の総得点は45とC大阪の総得点44を上回っている。
対するC大阪には、説明不要のFW柿谷曜一朗がいる。テクニックを駆使し、相手DFを翻弄しながら芸術的なシュートを放つFWである。2列目からは若くて元気な選手がスピードを生かして飛び込んでくる。
鳥栖はFWに奪ったボールを一気に預ける攻撃を得意としている。C大阪は、両ワイドを広く使い、逆サイドの選手が自由に動きながら入ってきたクロスでゴールを狙う。時に柿谷が相手をひきつけて、空いたスペースに飛び込む多彩さも持っている。この試合でどのような得点が生まれるのかは、ファン・サポーターならずともサッカー好きを惹き寄せる。
守備の方を見てみよう。今節まで鳥栖は61失点とリーグ最多を記録している。前節の清水戦に至っては、数的優位な状況となりながらも6失点と敗れている。逆にC大阪は25失点とリーグ最少で、簡単にはゴールを割らせない。好守においても好対照なのである。そして、今節は両チームとも4−2−3−1のシステムを用いている。全くタイプの違うチーム同士が同じシステムを採用して試合に臨むのだから、全国のサッカーフリークだけでなく選手、指導者も参考となる試合と言えた。

そんな中で、試合は始まった。
前半からC大阪のサイドチェンジが効いていた。鳥栖は思うようなプレスをかけられず、自陣に押し込まれる時間帯が続いた。特に左サイドDF丸橋祐介から右サイド2列目の杉本健勇へのパスは正確なうえに効果的で、幾度となく鳥栖ゴール前に迫っていた。しかし、この日のC大阪の中盤がクルピ監督の意図した動きができていなかった。「本来のプレーが出せていない選手がいる」とハーフタイムに指摘していた。61分に一気に2枚の交代カードを切って攻撃的な選手を起用した。が、その効果は最後まで表れることはなかった。なぜならば、鳥栖の運動量が徐々にC大阪に効き始めたからである。
中盤でボールをコントロールできれば、意図する攻撃はやりやすい。それだけ相手ゴールに近いからである。後半に入ってからは鳥栖のボランチ藤田直之と高橋義希が高い位置でボールをさばくシーンが増えてきていた。後半に入って流れが鳥栖に傾いてきていた証拠である。その流れを結果に結びつけたのが80分。セットプレーの流れから右サイドDF丹羽竜平の前にボールが流れた。丹羽のクロスは、GKキム ジンヒョンがパンチングでクリアしたが、このクリアボールがセットプレーのキッカーとして前線に残っていた藤田の前に流れた。藤田は迷いなく左足を振り抜き無人となったC大阪ゴールにシュートを決めた。90分には、86分からピッチに立った金井貢史が藤田のクロスにドンピシャのタイミングで飛び込んでC大阪にとどめを刺した。

前半に主導権を握ったC大阪。前半だけで9本のシュートを放ったが得点には至らなかった。前半に耐えて後半に巻き返した鳥栖。放ったシュート数こそC大阪には及ばなかったが、効果的に得点をあげた。得た勝点は鳥栖の3に対して、C大阪は0。結果も好対照となってしまった。
そして4試合を残して鳥栖は降格圏の16位との勝点差を11に広げ、C大阪は首位との勝点差が9となってしまった。今節だけでなく、次節以降の戦いにも大きな違いが出てしまった試合だった。
最後にこの好対照のチームが11月16日(土)長居で天皇杯4回戦を戦うのである。楽しみで仕方ない。今節のような好ゲームを見せてほしい。

戦前の実力通りの結果にならないのがサッカー。シーズンを終了した順位がそのシーズンの実力なのだから。ストロングポイントだけを持ったチームなど存在しない。相手の隙を突き、ウィークポイントを全員で守らないと勝利は遠いものになる。サッカーは常に攻守が切り替わるスポーツなのだから。

以上

2013.10.28 Reported by サカクラゲン
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