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【J1:第2節 清水 vs 広島】広島側プレビュー:攻守に安定感を増した「森保スタイル」を注入した広島。呪縛の解けた日本平で新しい広島流攻撃サッカーの魅力を披露する。(12.03.16)

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日本平の呪縛。
これは、1996年〜2010年まで15年間という長期にわたり、アウトソーシングスタジアム日本平で広島は勝てなかった負の歴史を表現した言葉である。

昨年5月3日、そのネガティブな流れをせき止め、広島はついに日本平で勝利をおさめた。ただその内容は、広島がしぶとく守り勝ったというべきもの。昨年、前島芳雄さんの筆によるレポートのとおり、客観的に見れば「どちらに転んでもおかしくない」展開。もちろん、過去15年間の間にも同じような試合の流れは何度もあったのだが、勝利の女神が微笑んでいたのは常にホームチーム側だった。

その女神の祝福が昨年、広島側にもたらされたのは、粘り強い守備とダビド・ムジリという特異極まりないアタッカーの個人技が輝いたからこそ。決して広島本来の「組織的攻撃サッカー」が機能したわけではなかった。やはりそこには、日本平という「魔物」に対して広島が無意識に保有する「畏怖」の存在を意識せざるをえないだろう。縦パスが入らずに攻撃のスイッチを押すことができず、ポジションチェンジもほとんど見られない。その2試合前、G大阪との闘いで見せた躍動感に乏しかった。間違いなく、選手たちは固くなっていた。

ただ、「魔物」とか「呪縛」とか、正体不明のものだけに苦しみを与えられたわけではない。清水の3トップが広島の攻撃の基点となる最終ラインにプレスをかけ、自在なパス出しを封じていた。高いラインとコンパクトなゾーン形成によってセカンドボールを支配し、サイド攻撃にも運動量豊富な動きで対応していた。少なくともムジリの芸術によって失点するまで、清水の守備は広島の攻撃を上回っていたと言っていい。

昨年の広島は、清水に連勝した。ただ、広島ビッグアーチでの4-0の勝利は、「3試合連続4失点」という泥沼状態の中にあった清水の状態が悪すぎた故。その試合で活躍した李忠成・ムジリ・服部公太らがチームを去った現実もあり、「広島が清水に対して相性がいい」とはとても言えない。実際、昨年の日本平では、清水のアグレッシブな前線からの守備に「はめられていた」のだ。

ただ、前節の浦和戦において内容で完勝した広島の選手たちは、今季自らが取り組んでいるサッカーに自信を持っている。「相手の前線にはスピードのある選手がいるし、リスク管理は怠れない。ただ、相手がどう出るかよりも、自分たちのサッカーを崩さないで試合を進めること。ボールを運びながらスキをついていけばいい」とは山岸智の言葉。また青山敏弘も「森保監督のコンセプトをやりぬけば問題ない」と言い切った。全員が連動した攻撃的なパスサッカーにアグレッシブな守備のエッセンスを加えた「森保スタイル」は攻守に安定感を増しており、それが選手たちの自信につながっている。

清水が名古屋戦のようなアグレッシブなプレーを展開すれば、それは広島にとっても望むところ。森保監督も「相手の分析は大切だが、それ以上に重要なのは自分たちのサッカーをやりぬくこと」と語っており、ここまで準備してきた「広島のスタイル」で戦い抜く腹づもりだ。高原直泰や小野伸二など経験のある選手が先発に戻ってくれば、広島にとっては当然要注意。だが、彼らをリスペクトすれども、特別な対策を立てるつもりは、指揮官にはない。

実際、キャンプでの練習試合では7試合中4試合で完封(主力組)。2失点を喫した試合は全南(韓国)戦の1試合のみ。攻撃も、C大阪を相手に主力組が3点をゲット、2点以上とった試合が4試合ある一方で、完封された試合は1つもない。チャンスの数も得点数も安定している。その準備期間の順調さがそのまま現れたのが浦和戦だったと言っていい。

1994年6月4日、雨の降る日本平で広島は2-1と清水を破り、天王山を制した広島がファーストステージ優勝に大きく前進した。その中心にいた人物こそ森保一その人。思い出深い場所でアウェイゲーム初の采配を振るう新監督に勝利をプレゼントすべく、選手たちは今、一丸となっている。

以上

2012.03.16 Reported by 中野和也
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