5月3日(火) 2011 J1リーグ戦 第9節
清水 0 - 1 広島 (15:04/アウスタ/18,847人)
得点者:70' ムジリ(広島)
スカパー!再放送 Ch185 5/4(水)後09:00〜
☆totoリーグ
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後半の半ばまでは、どちらに転ぶか本当にわからない展開だった。その中で勝敗を分けた理由は、人それぞれの見方があるだろうが、たとえ1点差であっても、勝つか負けるかの違いは本当に大きかった。
ゴールデンウィーク本番の憲法記念日。心配された雨もなんとか空に留まる中、アウスタを訪れた観客は、家族連れも数多く含めて1万9千人弱。広島からも多くのサポーターが駆けつけたが、スタンドはほぼオレンジに染まる中で、ホームの清水は立ち上がりからアグレッシブなサッカーを見せた。
守備の際には、広島が前線に5人を張らせる状況をしばしば作るが、それでもDFラインは4枚のままで対応し、(右から)大前元紀、伊藤翔、高原直泰の3人を前に残してカウンターを狙う。そして、DFの4枚と中盤の3枚でコンパクトなブロックを作って中央突破を許さず、サイドチェンジには素早い横スライドで対応。さらに、裏を狙うボールに対しては、GK山本海人が積極果敢にペナルティエリアを飛び出して、佐藤寿人や李忠成らの飛び出しを封じた。
ややリスキーな守備ではあったが、ホームらしく攻撃に重点を置いた成果としてカウンターの流れが良くなり、自分たちがポゼッションする際にも積極性が向上。司令塔の小野伸二は右足首の負傷で欠場となったが、代わりに左サイドに入った高原も、しっかりとボールを収めて味方につなぎ、左サイドバック・太田宏介の攻撃力を十分に生かした。右サイドでも、右サイドバック・辻尾真二が何か吹っ切れたように思い切った攻め上がりを繰り返し、好調な大前の起点から、縦に突破してクロスを入れる場面を作った。
アンカーとしては2試合目の岩下敬輔も、冷静なボールキープからさまざまな角度にパスを散らして攻撃に貢献。小野が不在の中でも、チーム全体でこれまで以上にスムーズな攻撃を見せた。
一方、広島のほうは、前半は「連戦で少し足が止まっていて、本来の形ではなかった」(中島浩司)が、守備ではいつも通り人数をかけてコンパクトに対応。クロスも完全にフリーな状態では上げさせず、ゴール前でもしっかりと跳ね返した。
「アウェイなので相手がボールを持つ時間も増えてくるし、そこでむやみに奪いに行っても、自らスペースを与えてしまうことになる。だから、DFラインを多少下げても、コンパクトに1人1人がプレスに行ける距離感を保つことを意識した。逆に、コンパクトにしていれば奪った後で前に出て行けるスペースはあるし、そこは最後まで我慢強くやろうと考えていた」(佐藤寿人)。本来の自分たちサッカーはできていなかったが、ある程度我慢強い戦いになるという覚悟は、広島の選手たちも全員で共有していた。
そんな中で広島も速攻を中心に清水ゴールに迫り、35分には李が惜しいシュートを放ったが、それ以外には両チームとも本当に決定的と言えるチャンスをあまり作れないまま、前半45分は経過した。
後半は、広島の運動量が増え、清水も攻勢を強めて、両ゴール前のシーンは徐々に多くなっていった。また清水は、後半10分からJ1初出場を果たした高木俊幸がハツラツとした積極的なプレーを見せ、広島は17分に入ったムジリが攻撃の中継点としてよく機能し、どちらも交代選手が活躍。どちらが先制点を取ってもおかしくない流れとなっていた。
そんな中で、後半21分に太田が力強く縦に突破して、ゴールライン際からマイナスのボールを返し、アレックスが決定的なシュートを放つが、ここはGK西川周作の好守に阻まれゴールならず。逆にその4分後には、ペナルティエリア内の混戦から一瞬のチャンスを得たムジリが冷静にゴール左に決めて、ついに広島が先に突破口を開いた。
ホームで負けるわけにはいかない清水は、ここから猛反撃に出ようとするが、広島はリードを奪ってから、チームとしての経験値の差を見せ始める。しっかりと守りを固めながら、マイボールの際には持ち前のポゼッション力を生かして冷静にボールをつなぎながら時間を使う広島。清水はそこから思うようにボールを奪うことができず、決定機もなかなか作れない。36分の高木の弾丸ミドルシュートもわずかにバーを越え、清水サポーターの祈りも届かず、1-0のままタイムアップの笛を迎えた。
広島にとっては、これがナビスコカップも含めてじつに16年ぶりのアウスタでの勝利。それだけ清水サポーターの作る雰囲気に独特の威圧感があることは、広島の選手たちも認めるところだ。だが、前々節で10年ぶり(リーグ戦)にG大阪を倒した広島は、今度こそ重圧をはねのけ、逆に清水のほうはホームの後押しをゴールに結びつけることができなかった。
「みんなで勝ち取って、みんなが本当に心の底から笑顔になれた試合」と、この1勝の価値を語ったのは、広島のキャプテン・佐藤。アウェイでの連戦の中、自分たちのペースを十分に作れたとは言えなかったが、その中でも全員で勝負強く奪い取った勝点3は、本当に大きな価値があった。
逆に清水にとっても、勝っていれば非常に大きな自信になったゲーム。それだけに非常に悔しい敗戦だったが、試合ごとに内容が良くなるという流れは途絶えておらず、下を向く必要はない。ただ、もちろん課題も多い。とくに今もっとも必要なのは、大前以外の攻撃陣、とくに高原、伊藤、アレックスといった点取り屋が一仕事して、流れの中から点を取ることだろう。
以上
2011.05.04 Reported by 前島芳雄
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