先週土曜の10日12時12分から、今回で３回目となる「ロアッソ熊本 大忘望年祭（みんなでJ1へ行こうサポーター感謝祭）が、熊本市中心部のサンロード新市街で開催された。
　これまで通り、サポーターが中心となって企画、準備を進め、ホームゲームの会場で運営費用に充てる協賛金を募り（１口1,000円で、各種賞品が当たる抽選券10枚と引き換え）、クラブやスポンサー、そして「ロアッソ熊本をJ1へ県民運動推進本部」などの協力を得て開催の運びとなったが、３回目を迎えて内容がさらに充実。シーズン終了後の催しとしてサポーターの間に定着してきただけでなく、イベントそのものが確実に成長している事を感じさせる構成となった。
　昨年までとの大きな違いを挙げると、まずスポーツ振興くじ「toto」の協賛を得た事。これに関しては運営側から働きかけたわけではないが、クラブを通じて協賛という形が実現。ステージで行われたトークイベントの際、これまでの10年間での助成総額が403億円にも上る事が紹介されたが、一方では会場で行われたウイニングイレブン大会の勝者を予想するという、totoさながらのスタイルを採り入れたくじも実施。
　もう１つは、会場に来ることができない人でもイベントの様子を楽しめるよう、Ustreamでライブ配信を行ったこと。年末年始の帰省の時期より早いタイミングで行われるイベントのため、特に関東で活動する熊本出身のサポーターにとっては有難い試みとなったはず。また15:00〜17:00の２時間、熊本シティエフエムでも生番組を放送し、トークライブの様子などを電波に乗せた。こうした試みは１年目には想像できなかったことだが、既にサポーターのイベントという枠組みを越え、メディアを使って多方面に広がりを見せている。
　また、イベントの目玉として行われたトークライブには、スカパー！の「Jリーグアフターゲームショー」でMCを務める平畠啓史さんをゲストに招くなど、アイデアを形にする行動力も発揮。トークライブの前には平畠さんもスタジアムグルメブースに顔を出して熊本の味を楽しみ、「来年も呼ばれたら来たいし、呼ばれなかったら勝手に来るかも（笑）」と話すなど、好印象だった様子。トークライブの冒頭では、最終節の鳥栖戦後に熊本サポーターが掲出した横断幕について触れ、「熊本にもしっかりサッカー文化がありますやん」と述べたが、年々充実度を増すこのイベントそのものを通じても、サッカーとJリーグ、そして地元のクラブへの熊本独自の関わり方を文化として体感してくださったのではないだろうか。
　クラブが目標に掲げたJ1昇格は果たせず苦いシーズンとなったが、サポーターの姿勢や地道な活動は、全てのJクラブに対しても誇れるものだし、このイベントを通じて地域の中でクラブの存在感やその価値が高まっていくことは、もしかしたら成績以上に大切なこと。その点で見れば、地域の潜在能力は十分にあるはず。それに見合った形でクラブ、チームが期待に応えていけば、「馬に乗ってパレードをして、熊本城の天守閣に選手たちが上って優勝のシャーレを掲げる」という平畠さんの妄想も、いつか実現する日が来るのではないかと思う。

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※当日の様子（動画）はこちら！（熊本公式）
参考：2010年：新しいファン感で、深まった絆

2011.12.12 Reported by 井芹貴志