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【FCWC 柏 vs モンテレイ】レポート:壮絶なる死闘はPK戦で決着。柏がモンテレイを退け、FIFAクラブワールドカップ4強へ。(11.12.12)

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12月11日(日) TOYOTAプレゼンツ FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2011
柏 1 - 1(PK 4 - 3)モンテレイ (19:30/豊田ス/27,525人)
得点者:53' レアンドロ ドミンゲス(柏)、58' スアソ(モンテレイ)
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「今年のレイソルを象徴する試合だった」。そう言い切る工藤壮人の表情は自信に満ちていた。苦しい時間帯を耐えしのぎ、試合を進めながら課題を修正し、最後はチームが一体となって勝利を収めてしまう。モンテレイとの準々決勝は、総じて見ればそんな試合展開だった。

「強い」。記者席からはそんな声が漏れていた。モンテレイの個の技術、フィジカル強さ、組織的なパスワーク…。「相手の強さを肌で感じる時間が続いた」と大谷秀和が振り返ったように、前半はモンテレイが柏を凌駕する。プレスをかけ、追い込んだように見えても、狭いわずかな局面をモンテレイの選手はダイレクトパスで切り抜け、背後へ飛び出す。中盤の低い位置ではルイス ペレスがゲームをコントロール、前線では強さと巧さを兼ね備えたチリ代表FWウンベルト スアソが高い技術と屈強なフィジカルを生かして起点を作り、そこにセサル デルガドが抜け目なく絡む。両翼のセルヒオ サンターナとネリ カルドソも臨機応変に外と中を使い分け、メキシコのチームらしいテンポの良い攻撃を奏でていた。

3分には柏DFラインを突破したスアソが決定的なシーンを作る。スアソはシュートには持っていけなかったが、ボックス内でヒールパスを送り、デルガド、ヘスス サバラのシュートが立て続けに枠を捉える。増嶋竜也のカバーと菅野孝憲のセーブで辛くもしのぐと、15分にも右サイドを抜け出したデルガドから、ファーサイドに猛然と走り込んだスアソへピンポイントのクロスが入る。完全に柏の守備を切り裂かれた場面だったが、スアソの左足シュートは右ポストを叩き、運も柏に味方した。
「酒井(宏樹)とワタル(橋本和)のマーキングがはっきりしていなかったことが原因だった」。ネルシーニョ監督は、守勢に回らざるを得なかった前半をそう分析している。流動性豊かなモンテレイの攻撃ゆえに、前半は酒井と橋本、柏の両サイドバックがマークをつかみ切れず、中途半端なポジショニングになった彼らの背後が狙われたのである。

ただ、修正が入った後半は柏に本来のプレーが蘇る。ピッチを幅広く使いながらボールを動かし、酒井と橋本が攻撃に転じて推進力をもたらした。48分には、酒井のクロスからビッグチャンスが生まれる。ニアに入った田中順也とDFとの競り合いでボールがこぼれ、レアンドロ ドミンゲスの浮き球パスをジョルジ ワグネルが頭で落とす。ゴール前フリーの工藤がそのバウンドを捉え、腰を捻りながら左足ボレーを放ったが、シュートは枠を大きく逸れてしまう。ただ、柏は本来のリズムを取り戻し、「相手の運動量が落ちた」(大谷)という要因もあったのだろう。ポゼッションの柏と、カウンターのモンテレイ、両者は前半とは対照的な立場へと様変わりをした。

そして53分、ついに柏が先制する。レアンドロのダイナミックなドリブルはモンテレイDFダルビン チャベスに食い止められたが、田中が素早くフォローし、ルーズボールを拾ってボックス内へ侵入。田中の右クロスに合わせたレアンドロの鮮やかなボレーがネットを揺らした。
しかし、さすがは北中米・カリブ海王者のモンテレイである。オープンスペースを狙った後方からのフィードに、デルガドがタイミング良く抜け出し、ゴール前まで運んだ後はファーサイドへ精度の高いパスを通すと、これをスアソが豪快に詰めて即座にスコアをタイに戻した。
「拮抗して、最初から最後まで互角の展開だった」。モンテレイのビクトル ブセティク監督がそう評したように、均衡した試合は一進一退の攻防となった。試合終了間際にはレアンドロがモンテレイDFの間を突破する場面が訪れたが、シュートはDFに当たり、決着をつけるには至らず。1−1のまま延長戦へと突入する。だが、双方とも疲労の色が濃くなったのだろう。30分間の延長戦では互いに大きな見せ場を作れず、120分間の死闘を終え、勝負はPK戦へ委ねられることになった。

「PKっていうのは、キーパーの力を見せるところ。止めることしか考えていなかった」。そう振り返る菅野が、キックの名手であるペレスのシュートコースを完全に読み切り、両腕でブロックする。柏はレアンドロ、ジョルジ ワグネル、栗澤僚一が落ち着いて決め、3人ずつを終えて3−2と柏がリード。4人目はホナタン オロスコ、田中、2人とも外したが、5人目の重責を担った林陵平が、低く鋭い弾道の左足シュートをゴール右下に突き刺し、柏が勝利を収めた。

ついに柏はベスト4へ名乗りを上げた。目の前の試合を全力で戦うといった柏のスタンスはこのクラブワールドカップでも貫きつつ、「準決勝まで勝ち上がってサントスとやりたい」という雰囲気がチーム全体に充満しているのは容易に感じ取れていた。それだけに柏の選手たちの喜びはひとしおだろう。そして試合後の記者会見では、各国メディアからネルシーニョに投げ掛けられた質問は、壮絶な死闘の末に勝利を手にしたモンテレイ戦のことではなく、3日後に控えたサントスとの準決勝にまつわるものばかりだった。ブラジル屈指の名将が率い、レアンドロ ドミンゲス、ジョルジ ワグネルという強力な2人のブラジル人を擁する柏が、南米王者・サントスに挑むこのカードは、日本国内以上に海外メディアにとって非常に興味深い一戦なのかもしれない。

以上

2011.12.12 Reported by 鈴木潤
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