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【J2:第20節 東京V vs 岐阜】レポート:お待たせしました『マラニョン弾』!!助っ人の一発で東京Vの勢いはさらに加速の予感。岐阜は前節の逆転勝利の勢いをつなげられず。(11.07.10)

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7月9日(土) 2011 J2リーグ戦 第20節
東京V 3 - 0 岐阜 (18:03/味スタ/3,296人)
得点者:13' 阿部拓馬(東京V)、52' マラニョン(東京V)、83' 菊岡拓朗(東京V)
スカパー!再放送 Ch185 7/11(月)前07:30〜
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もう『決定力不足』とは言わせない!東京Vが、5試合連続3得点以上となる3ゴールを挙げ、5連勝を飾った。
ただ単に5回、勝ちが続いてきたわけではない。「勝てない状況でも、ブレずに同じサッカーを続けてきたことが今の結果につながっている」と森勇介が語るように、1試合1試合、勝利も敗戦も引き分けも、カードトラブルや悔し過ぎる逆転劇も経験し、得た教訓をチームの力として身につけてきた。川勝良一監督も「選手の頑張りだとか成長をすごい感じています」と、試合後の会見で確かなる手応えを口にした。

東京Vにとっては、思い通りの展開だったと言えよう。前節までの3連戦を全勝で終え、週一ペースに戻った最初の試合。連戦の疲れや、蒸し暑い気候での試合、相手との順位差(対戦前時点で東京V:7位、岐阜:20位)など、メンタル的な緩みが出やすい条件が重なっていたため、「難しい試合だと考えていた」指揮官は試合前から「前半から仕掛けていきたい」と話していた。そして、言葉通りの立ち上がりとなる。

前半13分、森が長いスルーパスを中央ペナルティエリア付近に通すと、飯尾一慶が抜け出して受け、ゴール前へクロスを送る。そこに合わせたのが、絶好調・阿部拓馬だった。川勝監督や土屋征夫から毎試合の活躍を課せられ「本物になれ」と、発破をかけられている新星の3試合連続ゴールの意義は大きく、そしてまた、先制点を非常に重要視している東京Vにとっても、幸先よいスタートとなった。

そして、この試合もっともポイントだったとも言えるのが、マラニョンによる2点目だったのではないだろうか。試合前のプレビューで、今節注目の『COOL BALLER』にも挙げたが、結果として実際にこの試合の『COOL BALLER』にも、やはり彼の名を記す。
先制後、「先制してくれると守っている方も集中力が高まる」(森)と守備陣に改めて気合いが入れば、攻撃陣も追加点を目指してさらに積極的に仕掛けていく。中でも、再三のビッグチャンスを作ったのはマラニョンだった。フリーで抜け出す場面は多く、前半だけでもGKとの1対1の場面も3、4回はあったが、ここ数試合同様、結果を出したい焦りからかことごとくGKの間合いに自分から入っていく形となり、すべて逸機。
実は、前半41分、「『マラ、落ち着け!』っていって、アイツに頭から水をかけてやったんだよ。少し熱さを冷ませって。でも、すぐ次に打ったシュートも外したけどね(笑)」という裏話があったと、土屋は明かしてくれた。
また、彼ばかりではない。ハーフタイム、ロッカールームに引きあげた助っ人の表情は深刻に落ち込んでいたという。それを見て「でも、それまでのチャンスは全部自分で作っているんだから、自信をもって続けろって励ました」(飯尾)、「あれだけ簡単に相手を交わしたり、素早く抜け出したり、持ち込んだりの技術は日本人は持っていない。みんなお前のことを信じているんだから、大丈夫。って言った」(森)など、チームメイトたちはきちんと信頼を言葉として伝え、後半のピッチへと送りだしたという。

そして後半7分、ついに仲間の思いに応えたのだった。菊岡拓朗が出したGKとDFの間への縦への好クロスに、マラニョンが詰めていき、3人がもつれ合う形に。だが、そこでボールも一緒に止まり、運よくマラニョンの元へ。気付いた途端すぐ起き上がると、同時に反応したGKとの奪い合いに勝ち、左足で念願のゴールネットを揺らした。決めるとすぐ、ベンチに走っていき、控えメンバーと抱き合って喜びを爆発させた。そこへ、ピッチ上の選手たちも加わり、大きな輪ができた。一人一人と抱き合い、監督、コーチ陣全員ともハイタッチ。「チームメイトに支えられて取ったゴール」と、マラニョンが語った通り、ハーフタイムでの激励の言葉が後押しした、全員で彼に取らせたゴールだったとも言えよう。東京Vは、またひとつチームワークを深めたのではないだろうか。

“ダメ押し”の3点目を、この試合もしっかり取れたこともまた、「最後まで緩めない」という約束事の証明として重要だった。しかも、後半38分という最も体力的にキツい時間にセットプレーからの得点である。常々森は「セットプレーの得点は大事だと思う」と語っていたが、今後夏場の戦いを考えると、その重要性はさらに増すに違いない。また、決めた菊岡は、東京Vに来て初めてのFKゴールだっただけに喜びも一入だ。「どんどん狙っていきたい」と、今後のプレスキックからの得点にも意欲を燃やしていた。

一方、守備だが、前節の湘南戦でもリードしながらも1点を許すなど、失点する試合が少なくなく、土屋は「前があれだけ点を取ってくれてるのに、守備が失点していて申し訳ない」と語っていたが、この試合ではしっかりとシャットアウト。最後まで集中を切らさずしめくくったことは、前節からの成長と受け止めていいだろう。

東京Vでは今、どの選手にも「点をとりたい!」の意識が非常に高まっている。この試合だけでも、FWのみに止まらず、小林祐希、和田拓也らも機を見て積極的にシュートを放っていたし、途中から入った福田健介、市川雅彦、平繁龍一らも、とにかくボールを追いかけゴール目指して走りまくり、ゴールという結果を勝ち取ろうという気持ちを全身で表現していた。「今、チーム内で良い競争意識が高まっていると思う」と、菊岡は話す。全体の底上げの大チャンスと言えよう。
「上はまだまだ離れているけど、このまま自分たちのサッカーを高めていければ、必ず追いつける」と森。次は上位の徳島戦だ。チームの現在の力がどの程度なのか、最高の腕試しとなるだろう。実に楽しみな次節である。

岐阜にとっては、前節の大逆転劇で得た自分たちのサッカーへの自信を、確信に変えることはできなかった。前節の課題と収穫から「前半を0点に持ち込んで、後半疲れがある中で打ち合って、なんとか自分たちに勝点1、あるいは3をということが目標」だったと、木村孝洋監督は話した。しかし、前半早い時間での失点し、プランは脆くも崩れてしまった。
その一番の原因を、野田明弘は「相手より運動量や守備の面で上回らなければいけなかったのに、それができなかった」からだと話した。
また、「マラニョン選手と阿部拓馬選手を起点に1対1を作られると、どうしても速さに対応しきれないから、彼らにボールを入れられる前にボールを奪いたかったけど、それができなかった」(野田)、「ヴェルディは、前半のうちに先制点を取ることが多いのはわかっていたから、何とかリズムに乗せないためにも前半の失点は避けたかった」(新井涼平)など、わかっているのにやられてしまった、という事象が少なくなかったようだ。

せっかく掴みかけた自信を次節、再び取り戻すために、「また、明日からやり直しです。1日1日しっかり取り組んで、次のF東京戦に挑みたい」と、野田は唇を噛んだ。


■この試合のCOOL BALLER:マラニョン(東京V)

以上

2011.07.10 Reported by 上岡真里江
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