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【J2:第20節 水戸 vs 横浜FC】レポート:これがサッカーの怖さ。90分間主導権を握り続けた水戸が、1本のPKに屈す。だが、水戸は限りない未来を感じさせた。(11.07.10)

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7月9日(土) 2011 J2リーグ戦 第20節
水戸 0 - 1 横浜FC (18:04/Ksスタ/4,719人)
得点者:90'+1 カイオ(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch185 7/11(月)前05:00〜
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それまで反撃の糸口さえ作れなかった横浜FCに待望のシーンがやってきた。90+1分、右サイドから西田剛がドリブル突破を試み、ペナルティエリア内に侵入する。そして、相手DFに挟まれて倒れたプレーを主審はPKと判定。カイオが豪快にゴール右隅に蹴り込み、土壇場で決勝点を挙げることに成功した。

苦しい試合であった。序盤から水戸にボールを支配され、自陣でブロックを作ってしのぐので精一杯の展開を強いられた。ただ、「粘り強さが出てきた」と中野洋司が言うように、水戸に一方的に攻められながらも集中力を欠くことなく、無失点で切り抜け、そして最後の最後に絶好のチャンスが舞い込んできた。「今日は自分たちの時間がなく、意図していない形だったけど、勝つことができたことは大きい」(中野)。5試合ぶりの勝利を手にした横浜FC。この1勝を浮上のきっかけとしたいところだ。

しかし、この試合を見た多くの人が、勝った横浜FCよりも、負けた水戸の方を「強い」と感じたことだろう。「最初から最後まで我々のペースだった」と柱谷哲二監督が振り返るように、序盤から圧倒的に水戸が主導権を握る展開が続いた。
特に中盤の構成力では、横浜FCを明らかに凌駕していた。ボランチの村田翔と西岡謙太が果敢にボールを引き出し、縦パスやサイドへボールを散らしてゲームを作った。そして、中央、左右両サイドから多彩な攻撃を見せて、横浜FCゴールを襲い続けた。

この試合において、それは決して簡単なことではなかった。今のKsスタのピッチコンディションは万全な状態ではない。それは震災の余波と言えるものである。茨城県内の多くの競技場がいまだに使用できないため、陸上やラグビーなどサッカー以外の競技の使用頻度が高まっており、「一生懸命手入れしてくれているにも関わらず、いい状態にならなかった」(柱谷監督)。そのためピッチの各所でボールがイレギュラーしてしまう。そういう状況の中でパスをつなぐことはリスクが高いものであった。
「グラウンドがグラウンドなので、ロングボールを入れる狙いだった」(中野)という横浜FCとは対照的に、水戸は怖れることなく、パスをつないで攻撃を繰り出した。その“勇気”がチームに勢いをもたらしたのである。パスワークだけでなく、球際の争い、運動量、動きの質、さらに選手同士のコンビネーションなどすべてにおいて横浜FCを上回った水戸。いつ点が入ってもおかしくない時間が続いた。

しかし、水戸は決定力不足を露呈した。再三築いた決定機を決めることができなかったことが結果的に敗因となったのである。ただ、それは今まで抱えていた「決定力不足」とは意味が異なる。今季、これほどまでに相手が引いて守りを固めてきたことははじめて。ゴール前を固める相手をどう崩して、ゴールを決めるかという新たな課題が出てきたのである。
とはいえ、「崩すところまではできていた」(小澤司)ことは事実。75分の場面。右サイド小澤から高速クロスがゴール前に上がる。それを遠藤敬佑が胸トラップからボレーシュート。完全にミートしたものの、GKに防がれてゴールすることはできなかった。それ以外にも多くの決定機を築きながらも決め切ることができなかった。あとはシュートの精度のみという状況だが、引いた相手を崩すことができたことは収穫と見ていいだろう。

「決めるところを決めておかないとこういうことになる」と柱谷監督は前置きをしておきながら、「これだけのゲームができたというのは大きな進歩をしていると思います、このチームは。夏に向けて成長させると言いましたが、春先と比べたら、全然変わってますよ! 確実に選手たちは進歩していると思います」と柱谷監督は胸を張る。相手のプレスを怖がってボールを引き出すことができなかった1カ月前の村田と西岡の姿が今では懐かしい。ここ数試合を見て、本当にたくましくなったものだと感心させられる。彼らだけでなく、島田祐輝や小池純輝など、多くの選手が長所を伸ばしながらプレーの幅を広げている。それがこの試合の内容につながっていることは間違いない。

敗れはした。しかし、それ以上に「このチームはもっともっと強くなれる」と期待させてくれる試合であった。0対5の大敗を喫した第14節鳥栖戦、そして2点先制しながらも3点返されて逆転負けとなった第2節東京V戦など、今季の水戸は敗戦を糧に大きな成長を遂げてきた。「また勉強になりました」と小澤が言うように、この敗戦も選手たちは糧とするはずだ。

勝点3は失ったが、それよりもはるかに大きな“可能性”を水戸は手にした。柱谷監督のもと、希望に満ちた日々を水戸は送っている。次節から鈴木隆行が出場可能となり、吉原宏太の復帰も間近に迫っている。ワクワクが止まらない。

■この試合のCOOL BALLER:村田翔(水戸)

以上

2011.07.10 Reported by 佐藤拓也
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