7月9日(土)J2 第20節 東京V vs 岐阜(18:00KICK OFF/味スタ)
スカパー!生中継 Ch185 後05:50〜
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もう負けるのはこりごり。リーグの中でも、特にその思いを強く抱いているであろう両チーム、東京Vと岐阜が勝利を奪い合う。
「5回負ければ十分でしょ」と、選手たちに説いたというのは東京V・川勝良一監督だ。川勝体制2年目を迎えた今年は、昨季5位の成績をうけ、J1復帰が唯一無二の使命となっている。だが、出鼻をくじかれ開幕から3連敗。4試合目でようやく勝点1を挙げ、以後2連勝と上昇気流の波に乗るかと思われたが、9試合目、10試合目と再び連敗を喫し、敗戦数は”5”に及んでいる。だからこそ、4連勝中という現在のチーム状況も、『喜び』いうよりも「やっと借金を返して1つだけ貯金ができた」と受け止める意識の方が強いと、川勝監督は語る。選手たちも「別に4連勝を目標にやってきたわけじゃない。みんな、チームとして積み上げていっている中での通過点だと思っている」と、土屋が総意を代表して話した通り、浮かれた様子は決してない。どの選手の口からも「油断したら簡単に負ける」(高橋祥平)、「緩く入ったら足下をすくわれる。立ち上がりをいつも以上に集中していかないと」(菊岡拓朗)との、警戒の言葉が並ぶ。
リーグ戦も15試合目を迎える。J1復帰のためには、もう1つも落とせないと捉えるべきだろう。試運転の時期はもう終わった。いよいよ内容も結果も問われる本格的な勝負の季節へと突入する。
好調なのは攻撃陣だ。4試合で15得点を奪っているが、決して偶然の産物ではないことは、内容をみれば一目瞭然と言えよう。ポゼッションしながらも、その先でスピードアップし、裏を狙って抜け出すことで、まるでカウンターを仕掛けたような状況を形成。そこでしっかりと得点を奪うのが、いまの東京Vのゴールパターンの一つと言えよう。その中心を担っているのは、「(平本)一樹のポストプレーと、シゲ(平繁龍一)の裏を抜ける速さの両方を持っている」と指揮官が賛辞を惜しまない阿部拓馬だ。「お前がどれだけキープできるか、裏を抜けられるか、ボール持てるか。それでうしろの3人の動きも変わる。すべてお前にかかっている」とまで土屋に言わせるほど今、チームの誰からも厚い期待と信頼を得ている。それを言われてプレッシャーを背負いこむタイプではない上、「危機感を持っている。それが良い方向に出ている」(土屋)。まだまだ発展途上のシンデラボーイに、今節も暴れまわってもらいたい。
そして、チームをさらに勢いづけるためにはぜひとも必要なのが、マラニョンの決定力だろう。今節の『COOL BALLER』には、マラニョンを選出したいと思う。
ここ数試合、何度もあった決定的チャンスを続けて逸機。前節終了後、さすがに川勝監督も「マラニョンは天然。でも天然でずっと笑ってもいられない」と苦笑していたが、今週、「助っ人って周りは見ている。チャンスメイクもゴールも、自分のリズムでやって欲しい。3試合で1点ぺースぐらいで点とってもらわないと。キツいかもしれないけど、それを乗り越えたらもっとタフになれる」と、本人へと伝えたそうだ。「僕の一番の仕事はゴール。ガンバリマス」さらに得点意欲を高めたお助けマンに注目だ。
対する岐阜は前節、ようやく長いトンネルを抜け、11試合ぶりの勝利を収めた。試合後は、涙する選手の姿も見られ、あの“1勝”がどれだけの苦労の末に得たものなのか。そして、いかに貴重なものなのかを心底実感していることが痛いほど伝わってきた。そこに、「気持ち、よくわかる。とても人ごととは思えない」と、少なからず共感していたのが菊岡拓朗(東京V)である。昨季、今季とも開幕から未勝利、点がとれない状況が続いて苦しんだ、決して遠い昔ではない以前の自分たちの姿を投影していた。だからこそ、「たぶん、この1勝で勢いに乗って来るだろうし、連勝して流れを変えたいと必死で戦ってくるはず」警戒をより一層高めた。
前節の大逆転劇は、岐阜の“らしさ”が十分出ていたように思う。0−2のビハインドからも、決して切れることなく必死でボールを奪いに行き、嶋田正吾、染矢一樹の“速い両サイド”と、佐藤洸一、西川優大の“高い2トップ”を生かし同点まで持ち込む。全体的にスピードダウンしたら、押谷祐樹、永芳卓磨といったパス巧者を投入し、リズムを変えて流れを動かして、逆転。両FW、交代選手と、最もチームが勢いづく3選手が得点を挙げたこともまた、チームにとっては価値があったのではないだろうか。
勝利の喜びを再び味わいたくて、岐阜は今節も目一杯力を尽くすはずだ。
前節・湘南戦、試合終了のホイッスルを聞くとともに、東京Vの選手たちの何人もがその場に倒れ込んだ。フルパワーを出し切った証拠である。それぐらいを以て戦わないと、“一勝”は手に入らないのだと、選手たちは苦い経験から熟知しているのだ。
『一勝の重み』を十分受け止めている東京Vと岐阜だからこそできる、互いに90分間抜くことのない、勝利にこだわったゲームとなることを期待したい。全員が力を全て出し切った先に手に入れる“一勝”は、また格別なものだろう。
■この試合注目のCOOL BALLER:マラニョン(東京V)
以上
2011.07.08 Reported by 上岡真里江
J’s GOALニュース
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