今日の試合速報

ACLE MD2
ACLE MD2

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第32節 水戸 vs 柏】レポート:クラブ史上初となる1万人の大観衆を前に攻撃サッカー貫いた水戸。柏に力の差を見せ付けられるも、希望への大いなる一歩を踏み出した。(10.11.01)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
10月31日(日) 2010 J2リーグ戦 第32節
水戸 1 - 4 柏 (13:04/Ksスタ/10,181人)
得点者:2' 片山真人(水戸)、10' 酒井宏樹(柏)、67' 林陵平(柏)、75' 林陵平(柏)、84' 田中順也(柏)
スカパー!再放送 Ch183 11/2(火)前11:00〜
試合速報一覧 | クラブサポーター対抗totoリーグ
J2シーズン表彰 投票受付中!!
★JリーグヤマザキナビスコカップFINALチケット発売中!
----------
「こんな日が来るのを待っていたんですよ。現実になって夢みたい」。JFL時代から水戸でプレーしてきた本間幸司は感慨深げに語った。これまで観客動員に悩み続けてきた水戸だが、この試合は過去最大のプロモーションを行い、なんとクラブ史上初となる1万人を超える観客を集めて行われたのであった。スタンドはほぼ満員状態。「『これがJリーグだ』という気分になった。この雰囲気の中で試合ができる幸せを感じました」(片山真人)。スタンドからの大歓声に後押しされた選手たち。この状況で燃えないわけがなかった。

結果は1対4という大差で水戸は敗れた。だが、「恥ずかしいプレーはなかった」と木山隆之監督が胸を張ったように、決して駆けつけた観客の期待を裏切らないプレーを水戸は見せたと言えるだろう。首位のチームを相手に一歩も退くことなく、正面から立ち向かい、特に前半は互角の戦いを演じてみせた。「久しぶりにサッカーをした気がする。お互いに攻め合ってチャンスを作った。今日はサッカーを楽しめた」という北嶋秀朗の言葉がすべてを表している。柏を相手にすると、どのチームも守備を固めて、勝点を取ろうという戦いをするが、水戸は違った。DFラインを高く保ち、序盤から果敢に攻め立てたのだ。まさに3年間築き上げてきた木山サッカーを1万人の観衆の前で繰り広げたのである。

木山監督が求め続けてきたもの。それは常にゴールに向かうプレーだ。それが開始早々に体現された。2分、右サイドから素早い展開で左サイドに展開し、森村昂太が上げたクロスを片山が頭で叩き込み、先制点を決めた。10分にCKから失点してしまうものの、そこで気落ちすることなく、水戸はサイドを起点に攻撃を組み立てた。柏は中盤の4人が中央に密集する4−4−2というシステム。それゆえ、サイドのスペースが空くこととなる。この日は超攻撃的左サイドバックの橋本和が負傷で欠場したため、サイドで前に出るプレーが少なく、空いたサイドバックの前のスペースで起点を作り、水戸が攻め込む展開が続いた。15分には右サイドを突破した小池純輝からのクロスに片山が飛び込むもわずかに届かず、33分には右サイド大橋正博からのサイドチェンジを受けた藤川祐司がミドルシュート。いずれもゴールを割ることができなかったが、水戸優勢のまま前半を終えた。

「前半のプレーを後半も続けること」。ハーフタイムに木山監督はそう言って、選手たちを送り出した。しかし、柏は「さすがだった」(木山監督)。後半開始から中盤の形をダイヤモンド型に変更。前半、水戸が起点を作ったサイドのスペースにしっかりとフタをしてきたのであった。それにより、水戸は攻め手を失い、さらにトップ下の位置に入った柏のレアンドロ・ドミンゲスをつかまえることができず、次々にチャンスを作られてしまう。67分に右サイドのレアンドロが上げたクロスを林陵平にヘッドで決められると、75分にはミスから追加点を献上。さらに84分にはレアンドロからのスルーパスを受けた田中順也にダメ押しゴールを蹴りこまれ、大敗を喫することとなってしまった。

「レベルの差を感じた」。水戸の選手はそう口をそろえた。だが、それでも水戸は「後ろ向きのプレーはやめよう。前から仕掛けていこう」(木山監督)という姿勢を崩さずに戦い抜いた。なんとかDFラインを高く保とうとし、最後の最後まで一矢報いようと柏ゴールに向かった。その姿勢に試合後、スタンドから水戸の選手たちに温かい拍手が贈られた。自分たちのサッカーを貫いての敗戦。そこに悔いはまったくなかった。それどころか「木山監督が目指している攻撃的なサッカーをようやくできるようになってきている。今日は負けたけど、可能性を感じている」という本間の言葉が示すように、多くの人が水戸というチームに希望を見出すことができたことだろう。この日のサッカーこそが、今後の水戸の指標を示している。チームもフロントも「ここからがスタートライン」(沼田邦郎社長)。目指す道は見えた。あとは水戸というクラブに携わるすべての人が、手と手を取り合いながら前に進んでいくだけである。水戸は大いなる希望に向けて、大きな一歩を踏み出した。

柏にとっては大きな1勝となった。3試合勝利から見放されていた嫌な流れを見事に断ち切り、そしてJ1復帰へ王手となる貴重な1勝。来週の結果次第で、J1昇格が決まることとなる。
柏らしい勝利であったと言えるだろう。流れによってシステムを変えることでリズムをつかみ、勝利をおさめる。今季何度も見せてきた勝利のパターンであった。だが、勝利は「いつも通り」の形であったが、「新たなオプション」を加えられなかった課題も残った。この試合では前節怪我から復帰した大津祐樹とレアンドロを2列目に並べる布陣を採った。だが、レアンドロを中心にボールが動く流れの中に大津は溶け込むことができず。ピッチの上をさまよい続けた。結果、ハーフタイムでの交代を命じられることとなってしまったのだ。J2では別格の個の能力を持つ2人が噛み合えば、驚異的な攻撃力を見せることができるはず。来季のJ1での戦いを見据えるならば、今後2人の動きを合わせていくことは必要だろう。新たに生まれた課題。だが、それを克服したとき、柏は恐ろしいほど強力な武器を持つこととなる。トライし続ける価値はあるだろう。

以上

2010.11.01 Reported by 佐藤拓也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/10/07(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田Jリーグ全ゴールまとめ【1004-1006】