9月12日(日) 2010 J2リーグ戦 第25節
徳島 4 - 0 栃木 (19:04/鳴門大塚/3,186人)
得点者:16' ドゥグラス(徳島)、22' 登尾顕徳(徳島)、65' ドゥグラス(徳島)、90'+3 徳重隆明(徳島)
スカパー!再放送 Ch185 9/13(月)深03:00〜
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試合後の会見で美濃部直彦監督は勝因と呼べる4つのポイントを挙げ、その一番最初に「せっかくいい結果(中断明けは未だ1敗しかしていない)が出ているのでこの勢いを止めないためには、さらにチャレンジをして、次のステップに行くための前向きな考えということでシステムを触りました」と語ったが、それを聞いた時、瞬間的にこの言葉がリンクして思い出された。それはこの一戦を直前に控えたある日の指揮官の一言。「栃木とうちは似たチーム。同じ4-4-2で戦うとゲームがフリーズしてしまうことがある」(この会見でも後に口にしていた)。
そして結果として徳島はこの栃木戦を4-1-4-1(4-3-3とも言える)で戦い、4-0の快勝─。間違いなくこの勝利は、現在のチーム状態と対する栃木のこと両方を緻密に考えて起こした美濃部監督のシステム変更という積極的なアクションと、それに応えるポジティブな姿勢を最後まで失わなかった選手たちの頑張りが手繰り寄せたものと言えるだろう。
また、プレーに関することでは、徳島と栃木の間には間違いなく『要所での精度の差』が存在した。それをハッキリ示すひとつのデータが徳島9本対栃木17本というシュート数だが、そこから分かるフィニッシュ精度をはじめとしたそれが両者の明暗を決める大きな要素となったのは紛れもない事実である。
ここで駆け足ながらゲームを振り返ると、序盤の徳島は栃木に流れを掴まれかけていた。低い位置でのパスミスでボールを失ってショートカウンターを受けヒヤリとする場面を作られ、嫌な雰囲気が流れかけていたと言えよう。しかしチームは連続した質の高いセットプレーでそれを打ち消す。16分にドゥグラスが、その6分後には登尾顕徳が、島田裕介の正確性十分なボールに合わせてネットを揺らしたのだ。
その後前半終了近くは反撃を試みる栃木にまた押し込まれる時間もあったが、それを凌いだ徳島は後半再び高い精度のプレーでゴールを奪い取る。65分、抜群のポジショニングから抜け出し六車拓也からのスルーパスを受けたドゥグラスが絶妙のループシュートでまたもゴールを陥れると、終了間際のアディショナルタイムには徳重隆明。徳島の誇る仕事人が平繁龍一の寸分狂わぬクロスに飛び込み栃木の息の根を止めた。
と、このように見ても徳島は大事なところでしっかり精度の高いプレーを出し、それによって効果的にゴールを重ねていった。その上徳島は守備でもほとんど雑さを覗かせることがなかったと言えよう。もちろん前記のゲーム序盤のようなミスもあったため完璧とまではいかなかったが、それでも出場停止のキャプテン三木隆司の穴を埋めて入った登尾は栃木が起点としたかったリカルド・ロボを多くの場面で押さえ込んでいたし、ペ スンジンは再三にわたって危険な場面でシュートブロック。コースへ確実に体をもっていき、ピンチ回避の立役者となっていた。
加えて、六車拓也の貢献にはぜひ触れておきたい。チームの3点目、4点目を引き出す大仕事をやってのけたばかりでなく、アンカーを務めた背番号29は一試合を通して見事な働きぶり。最終ライン前のスペースを巧みに消して11節(5/5)以来の完封勝利を呼び込んだ(14節でも失点0であったが、この時はスコアレスドローのため)。
こうしてホームで栃木に前回対戦の借りを返した徳島。いずれにしてもチームが次節の四国ダービーに向けていい弾みを付けたのは間違いない。「勝った時ほど悪いところを分析し、そこを改善して積み上げていくという作業をしなくてはなりません」と美濃部監督は次の大一番に向けてすぐに気持ちを引き締めていたが、今のチームの流れをこれからの一週間でさらに高められたならきっと素晴らしいダービーを戦うことが出来るだろう。
最後に、敗れた栃木についてだが、「点差ほど内容に差があるゲームではなかった(松田浩監督)」ことから決して落胆し過ぎる必要はない。もちろん今季ワーストタイの4失点は大いに苦いものであろうが、とは言え今季の守備の進化は本物であるはずだけに、チームは次の戦いに向けて本来の姿を取り戻すことだけに集中すべきと思われる。「この何試合かだけで守り方に問題があるとはあまり考えてはいません」と話した指揮官のもと、選手たちがいかに立て直してくるか注目される。
以上
2010.09.13 Reported by 松下英樹
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