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【J2:第7節 徳島 vs 愛媛】徳島側レポート:指揮官の言葉がまさにこの一戦を表現。「サッカーとはそんなに簡単なものでない」。(10.04.18)

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4月17日(土) 2010 J2リーグ戦 第7節
徳島 0 - 0 愛媛 (14:05/鳴門大塚/11,115人)
スカパー!再放送 Ch183 4/19(月)22:30〜(解説:大西貴、実況:小玉晋平、リポーター:奥田麻衣、リポーター:重橋秀香)
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試合終了直後からこの四国ダービーを的確に表現出来る言葉は何かと懸命に探していた。普段のゲームなら終わった頃にはそれがぼんやりながらも見えてくるのだが、それほど今日の一戦は表現が難しいものであった。しかし、会見の場で美濃部直彦監督が口にしたある言葉を聴いた瞬間、それがまさに最も的確な言い表しだと直感した。
今節のダービーマッチ、それは徳島ヴォルティスにとって「サッカーとはそんなに簡単なものでない(美濃部監督)」ことを強く感じさせられる戦いになった、ということだ。

特別な一戦へ臨むに当たり徳島はスタートの顔ぶれを大きく変えてきた。GK上野秀章、CB登尾顕徳、ボランチ六車拓也、FW徳重隆明の4人が今季初めてスタメンに名を連ねた。プレビューでもその可能性について触れていたが、指揮官は考えていたオプションのカードをいきなりここで切ってきた。ただ、そのオプションの採用は、前々節の完敗やケガ人の状態を考慮してという理由からだけではなく、対する愛媛を十分スカウティングしてのもの。だからこそ彼らは、この四国ダービーを制するための重要な役割を与えられピッチへ送り込まれたと理解していただきたい。

現実に彼らはその役割を果たそうと序盤から持ち得る力の全てを尽くした。セットプレーからの得点を狙うべく抜擢された登尾が14分のCKを皮切りに2度、3度と打点の高いヘディングで愛媛ゴールを脅かせば、豊富な運動量による守備とボールを動かすことを託された六車は多くの局面に顔を出して積極的にゲームへ参加。チームの流れをスムーズなものにしようと試みる。また、僅差の勝負を予想された中で得点力を買われた徳重は序盤右サイドで、システム変更をした途中からは2トップの一角としてクレバーかつ鋭い動き出しにより攻撃のアクセントとなっていた。さらに、昨季の絶対的守護神でありながら今季はライバル日野に定位置を奪われていた上野も、20分に見せた右足一本でのビッグセーブを含めて安定した守りを披露。的確なコーチングでもチームを引き締め、起用した指揮官の期待に応えた。
そうした彼らのアグレッシブなプレーは周囲にも好影響を与えていたと言っていい。勝利を手繰り寄せるために必要な攻から守、守から攻への素早い切り替えをチーム全体が再認識し、それが実践されていたのも事実であったからだ。

しかし、徳島はピッチ上の主導権こそ握っていながらも、なかなか愛媛を崩し切れない。深めの位置に強固なブロックを敷きバイタルエリアを消してきた愛媛の守備に、流れに乗った決定機までは作らせてもらえずにいたのだ。前半について言えば、ゴール前で向かえたチャンスは14分のCKに合わせた登尾と36分のFKに合わせた柿谷のヘディングシュート。共にセットプレーからであることが、その状況を物語る。
さらに後半もポゼッションをいっそう高め試合を優位に進めるものの、ペナルティボックス近辺では仕事を許してもらえず。そのためサイドから小気味良いパスワークで中央へ割って入ってもフィニッシュはミドルレンジからのものになってしまい、濱田武が「中盤では回せていましたが、最後のところで決め切れませんでした」と悔やんだように徳島としては攻めの仕上げだけがどうしても完成しないまま時間を経過させてしまった。

その結果、今節の四国ダービーはスコアレスドロー。新しい力が頑張りを見せ、そこからゲームをコントロールしていたにも関わらず、最高の結果を手にすることは叶わなかった。そこで冒頭の言葉に繋がる。やはり「サッカーとはそんなに簡単なものでない」のだ。だからこそ、その壁を乗り越えられるよう日々の努力を積み重ねることが大切であり、その結果が進化を促せば自分達の目指す位置へとまた一歩近づくというものだろう。この一戦の経験も前進のためのエネルギーにしてほしいと切に願う。

ところで試合終了後、サポーターの元へ挨拶に向かった選手達にブーイングが浴びせられた。
是が非でもダービーでは勝利して欲しいと願うサポーターの熱意の裏返しとも思えるが、チームに対して、クラブに対してあのブーイングは本当に必要だったのか。
スタジアムへ詰め掛けた入場者は11,115人。ダービーマッチを機にサッカーと触れ合うことを始めようと、普段よりも大勢の方がスタジアムへ足を運んでくださった。相手をリスペクトしながら選手達が目の前で繰り広げる激しい闘い。全力で駆け抜け、時には恐怖も省みず激しく体をぶつけ合う。負傷して倒れても、応急処置を済ませればまた再びピッチへ。その姿が見るものの琴線に触れないはずがない。昨日は多くの方がその感動を共有してくださったに違いないし、今後もクラブを応援してくださる意が芽生えたことだろう。
それだけに残念でならないのだ。確かにチームは開幕から好調を維持し、順位も上位にランクされているのが現状だ。順位だけを見れば「きっと勝てる」と予想することも否定しない。しかし、「サッカーとはそんなに簡単なものではない」のも事実。全力を発揮して素晴らしい、そして美しいサッカーを展開したにもかかわらず勝てないこともあれば、負けることさえ起こりえる。それがサッカーでありスポーツなのではないか。
チームとクラブはスローガンにある通り、不断前進の中にいると見る。それをサポートする地域もまた歩を同じく進むことが理想だと考える。その過程においてのネガティブな行動がいったい何を残すのか。上位といえども、まだ第7節を終わっただけではないのか。勝負事である以上は順位や結果も大切だが、発展途上の今、クラブをサポートする我々にはもっと他にも大切にしなければならないものがあるのではと強く感じた瞬間だった。

以上

2010.04.18 Reported by 松下英樹
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