11月22日(日) 2009 J2リーグ戦 第49節
岐阜 2 - 4 札幌 (16:03/長良川/7,843人)
得点者:11' 上里一将(札幌)、20' ダニルソン(札幌)、21' ダニルソン(札幌)、32' 佐藤洸一(岐阜)、65' 岩沼俊介(札幌)、67' 佐藤洸一(岐阜)
スカパー!再放送 Ch186 11/24(火)18:00〜(解説:森山泰行、実況:齋藤寿幸、リポーター:桑原麻美)
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やはり札幌のダニルソンは役者が違った。プレビューでも書いたように、札幌の要注意人物は間違いなくダニルソンだった。彼は基本的には中盤の底でプレーしながらも、チャンスと見るや一気に2トップとの距離を縮めて、決定的なプレーが出来る選手。前半は彼の才能をいかんなく発揮されてしまった。
岐阜は『ダニルソン対策』として、中盤の底にいる彼をダブルボランチではなく、2トップのどれか一方がケアをし、彼が攻撃に出ても付いていく約束事があった。しかし、「捕まえ切れなかった。僕らFWの一方が付いていきながらも、(ボランチなどに)預けられる状態であれば、預ける形でしたが、預けられない状態になってフリーで走られてしまった」と西川優大が語ったように、彼の抜群の飛び出しのタイミングとスピードに、受け渡しすらもスムーズに行かなくなってしまった。
そして、その要因はダニルソンの個人技のみではなかった。ダニルソンとダブルボランチを組むMF上里一将の存在だ。彼が抜群のキープ力と、ギャップへ頻繁に顔を出したことで、岐阜のボランチやサイドバックが引っ張り出され、FWからのダニルソンの受け渡しが出来なくなってしまった。
そのため、DFラインの前に広大なスペースが生まれ、そこを彼に有効活用された。11分には右サイドでボールキープしたMF古田寛幸のクサビを中央でFWハファエルが受けると、上里がハファエルを追い越す形でパスを受けて、先制弾を叩き込んだ。そして20分には左サイドを破ったハファエルのグラウンダーのセンタリングを、ゴール前でFWキリノがDFを背負いながらキープし、落としたボールを後方から猛然とダッシュしてきたダニルソンがフリーで右足シュートを放ち、2点目を奪った。その直後の21分には、左MF藤田征也のパスを上里が受け、タイミングよく上がって来たダニルソンに預けると、今度は豪快に左足を振りぬいて、矢のようなミドルシュートをゴール右隅に突き刺した。
いずれのゴールも、前述したスペースを有効活用されて奪われたものであった。一番危険な人物に、与えてはいけないスペースを与えて、決定的な仕事をされてしまった。
しかし、0-3になってから札幌のダブルボランチの激しいアップダウンが影を潜め、DFとボランチの2ラインでブロックディフェンスを引くような形にしてきた。「ダニルソンが上がってこなくなったので、守りやすくなった」と西川が語ったように、ダニルソンの恐怖が無くなったことで、ここからようやく岐阜らしい連動した攻撃が見られるようになる。32分には、左サイドを突破したMF永芳卓磨のセンタリングを、中央でFW佐藤洸一がヘッド。一度は相手GK高原寿康の攻守に阻まれるが、こぼれ球を再び佐藤が蹴りこんで、反撃ののろしを上げる。
後半、松永英機監督は【4-4-2】から、MF菊池完をワンボランチに置いた【4-1-2-3】にシフトチェンジ。永芳とMF橋本卓の2シャドーが果敢に裏のスペースに飛び込むようになると、「相手がどんどん裏を狙ってくるので、掴まえきれなかった」(古田)と、前半とは逆の形で、岐阜がペースを握り返した。
しかし、「試合が落ち着くのに3点も掛かってしまった」という西川の言葉が象徴するように、この3点が重くのしかかり、65分にはDF岩沼俊介に豪快ミドルを突き刺され、万事休す。67分に佐藤がチームJ参入後通算100ゴールという歴史的なゴールを挙げるが、届かず、札幌がアウェイでの白星を掴んだ。
これで10月31日の天皇杯3回戦で松本山雅を下したのを皮切りに、続いていた3連勝はストップしたが、序盤に奪われた3点以降は岐阜らしいサッカーが出来ており、悲観するような内容ではなかった。もともと札幌は今季2戦で0得点5失点で2連敗と苦手な相手であり、敗れたことよりも「3点取られて1点を返し、4点目を取られても、1点を返したことは良かった。後半はウチのペースで試合を進めることが出来た」と、松永監督は2ゴールを奪ったことをポジティブに受け止めている。指揮官がそう受け止めるのならば、チームもそう受け止め、前に進んでいく。これが次へと繋がっていく。
次なる相手はC大阪(11/28(土)@長居)。ここで得た手ごたえと課題を生かすには絶好の相手だけに、チームの真価が問われる。
以上
2009.11.23 Reported by 安藤隆人
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