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【J2:第49節 仙台 vs C大阪】レポート:2009年J2の天王山「第49節」は、2日連続のロスタイム決着。ホームで堪え忍んだ仙台が最後の最後に、歓喜と首位の座をつかむ。(09.11.23)

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11月22日(日) 2009 J2リーグ戦 第49節
仙台 1 - 0 C大阪 (13:06/ユアスタ/19,063人)
得点者:89' 朴柱成(仙台)
スカパー!再放送 Ch185 11/24(火)20:30〜(解説:鈴木武一/森島寛晃、実況:守屋周、リポーター:村林いづみ/森田純史)
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今節の戦前、いや正確には、昨日の小瀬で繰り広げられた濃厚すぎるドラマに圧倒された後に、ふと、このような心配が頭をよぎった。
ひるがえって私たちのクラブは、あれに並ぶ見事な一戦を演じることができるだろうか。
この大一番に優勝の行方という、仙台がいまだ体験できずにいる大きなものがかかっているのは承知している。前節に水戸で昇格を決めた後も、選手の口から次々と出たのは「タイトル」への渇望で、この気持ちを疑うのは本当に失礼なことだともわかっている。

だが、客観的な立場となった自分ですら押しつぶされそうな感覚を抱いた、昇格「圏内」と「圏外」に無情の線を引くための争い以上に、自分たちの試合が魂を打つことはできるのだろうか。マイ・ヒーローたちのバスを待つ甲府の女の子のようにクラブへの忠誠心に年功序列など無いことを示した湘南の少年のように、黄金色に輝く仙台の子供たちの胸に、焼き付くような記憶をチームは与えられるだろうか。鉄棒をも溶かすほどの激情をサポーターから引き出し、それを一身に浴びることはできるだろうか。

…すべては杞憂だった。
小瀬での死線を越えた激闘から約18時間後、ユアテックスタジアム仙台には、その「すべて」があった。
初戦はC大阪の逆転勝ち第2クールはスコアレスドロー。昇格内定を勝ち取った今、仙台は順位の意味でも勝敗の面でも、J2のうちに「セレッソ越え」を成し遂げておきたいところだったが、リーグ最終局面での3度目の対決で、遂に大きな白星をもぎ取った。それも、極めて今季の仙台らしい戦いぶりで。

C大阪は噂されていた香川真司のスタメン起用はなく、小松塁を1トップに据え、その後方に乾貴士とカイオが2シャドーとして並ぶ布陣。一方仙台の前線は、こちらは戦前の予想通りケガが癒えた平瀬智行がいきなりのスタメン復帰となった。中盤より後方は、前節と全く変更のない布陣である。
こうして始まった試合だが、(今となってはあくまで結果論となることをご了承いただきたいが)振り返ってみれば、展開の多くは、仙台が戦前に予想していたことがそのまま当てはまる内容となった。
立ち上がりはC大阪が仙台陣地深く攻め入る。6分に縦パスから小松がDFラインの裏を取り、ループシュートで仙台に肝を冷やさせると、その後も人数をかけ、仙台の布陣に蓋をするかの如く、重厚な攻めを展開した。

だが仙台はいつものように冷静に、その状況を改善、打開していく。C大阪の2シャドー、そのどちらかといえば効いていた方である乾に対して、第3クールで見違えるほどの急成長を遂げた富田晋伍が食らいつき、決定的な場面を作らせないのを筆頭に、押し込まれても、裏を取られかけても、仙台の守備は粘り強く対応した。事実、ボールポゼッションの割にC大阪に決定機は少ない。
こうして守備が落ち着きを取り戻すと、前半の20分頃からは一転、富田と千葉直樹の仙台両ボランチが、鋭い縦へのパスや奪ってからの自らの飛び出して攻撃の起点となり、仙台のカウンターがそれまでのC大阪以上の決定機を作り出していく。仙台はハーフタイムに入るころには、流れを五分へと戻していた。

とはいえC大阪には、ベンチに切り札がある。レヴィークルピ監督は迷うことなく、後半開始から香川真司を満を持して投入。乾に香川という本来のコンビとなった2シャドーは、前半に苦しめられた仙台ボランチからのチェックを回避するがごとく、中央ではなく比較的サイドに開いたところでボールを受け、そこからのアタックで仙台を脅かした。次第にスペースが空き始める、後半の仙台の守備。54分にはシュート局面でのミスに救われたが乾にエリア内で前を向かれ、74分にも右からドリブルを開始した乾のパスを受けた、ペナルティーアークの香川にフィニッシュを許しかける。一見すると仙台は、極めて一方的な劣勢に立たされていた。

しかし「香川選手が入ってくるのは分かっていたので、そこからが勝負と思っていた」という千葉の言葉が示すとおり、仙台は皆で踏ん張った。守勢を耐えて逆襲というのは、そのまま仙台の勝ちパターンである。
また、「皆で」という言葉は今回、二重の意味がある。全員で守備をするという文字通りの意味と、味方のミスを皆がカバーするという意味。58分には名手・梁勇基からのまさかのバックパスミスがカイオに渡り、そこから香川の危険なシュートを許したが、DF陣のチェックもあってシュートは上へ。さらに84分にも、梁への関口訓充からのパスがずれC大阪へ、長いドリブルで持ち込んだマルチネスからパスを受けたカイオがペナルティ―エリア左サイドに侵入するが、シュートは林卓人がしっかりと正面で押さえた。今季チームを引っ張り続けた二人を、チームが救ってみせた。

そして試合は終盤へ。前日の甲府対湘南も、後半の甲府の圧倒的攻勢をPKの1失点のみで凌いだことで、最後に湘南に歓喜が舞い降りたのだが、同じような光景は、1日遅れのここユアスタでも繰り返された。
目安4分と表示されたロスタイム、右サイドのスローインから、千葉がゴール前に放り込む。ファーへ流れたボールを拾った朴柱成が今度は左からクロスを入れるが、これもクリアされ右サイドへ。このクリアがラインを割ればそこで終了だったかもしれないが、小さくなったクリアは再び右サイドに残っていた千葉の元へ。中の状況を良く見て入れた千葉2度目のクロス、狙いはファーサイド。エアポケットの如く空いたスペースに、普段はゴール前での競り合いなどあり得ない朴が飛び込んでいた。
「ヘディングは苦手」と試合後に語った朴。きれいに頭でそらしてコースを突く余裕など無かったのかもしれない。右からの千葉のボールに合わせることだけ考えたヘッドは、クロスに対してボールを鋭角に跳ね返す。その軌道が、立ち尽くすキムジンヒョンの脇をすり抜け、ゴール右へと吸い込まれた。
手元の時計は、49分30秒。そしてスタジアムの絶叫が冷め切らぬうちのキックオフと同時に、首位決戦はホームクラブの勝利で終わりを告げた。

この勝利で2位以上、つまり最低でも1000万円の賞金(2位)を確定させた仙台だが、もちろんこれがゴールであるわけがない。残り2試合は、文字通り「新しい歴史」をクラブに刻むための戦いになる。
そこで仙台を待っている「魂のゆさぶり」は、どれほどのものなのか。今日の勝利以上の振れ幅なのだとしたら、経験不足の筆者はまだ想像だにできない。

以上
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