11月22日（日）J2 第49節 岐阜 vs 札幌（16:00KICK OFF/長良川）
スカパー！生中継 Ch182 15:50〜（解説：森山泰行、実況：齋藤寿幸、リポーター：桑原麻美）
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リーグ終盤の停滞が嘘のように、天皇杯で快進撃を続ける岐阜。10月31日の天皇杯3回戦で松本山雅を下したのを皮切りに、第48節の岡山戦、そして11月15日の天皇杯4回戦の千葉戦は2試合連続の無失点と、3連勝を飾っている。

特に千葉戦は素晴らしい戦いぶりだった。J1を相手に出足で上回り、連動した攻撃と、前線からの果敢なプレスで、相手にサッカーをさせなかった。これは別にこの試合だけが特別に良かったわけではなく、松永英機監督がシーズンを通してやり通してきたサッカーを、実践したに過ぎなかった。多くの人たちにすればサプライズだったが、普段から岐阜のサッカーを見ている者たちにとっては、これはサプライズでもなんでもなく、普段着のサッカーであった。

いかにいいサッカーをするかではなく、この普段着のサッカーを、いかに質を落とさずに継続できるか。これが今の岐阜のテーマである。札幌戦、出場停止明けのDF田中秀人が復帰するが、反対にトップ下の菅和範を出場停止で欠く。札幌には第1クールはアウェーで0−3、第2クールはホームで0−2の敗戦と、2連敗を喫し、1点も取れていない。まさに『天敵』を相手に、この好調ぶりをそのままぶつけることが出来るのか。

札幌攻略の鍵となるのが、ボランチのダニルソンをどう抑えるのかだ。ダニルソンは抜群のボールコントロールとキックセンスで、札幌の攻撃の核となるだけでなく、守備面でも的確なポジショニングからの寄せで、重要なキーマンとなっている。岐阜は彼をいかにして封じるか。特に前述したように、この試合は豊富な運動量とハードワークを誇る菅がいない。代わりではいるであろうMF永芳卓磨らが攻守両面でいかに関われるかがポイントとなる。

攻撃面ではダニルソンの裏のスペースをいかに有効活用できるか。札幌はここ数試合、守備の連携に不安があるだけに、永芳やMF嶋田正吾らがいかに出入りを繰り返して、ダニルソンをいかにゴールから遠ざけるか。守備面ではワンボランチの橋本卓一人に負担をかけるのは危険なため、いかにダニルソンが前に出てきたときに、永芳と両サイドハーフのどちらかがケアにいけるか。逆に両方が行ってしまうと、カウンターの基点を失ってしまうだけに、ここのポジションバランスが重要になってくる。

もう一人警戒するのであれば、MF古田寛幸だろう。彼は前節の富山戦は、U-18日本代表の一員として、AFC U-19選手権2010 予選ラウンドに出場していたために出ていないが、それまでは不動の地位を築いている。
筆者はこの大会を取材しに、実際にインドネシアまで行って、彼を取材したが、彼にとってこの大会は非常に不満の残る大会となってしまった。彼は慣れないインドネシアの環境で体調を壊し、熱中症にもかかってしまった。そのため、本来の切れのあるドリブルは影を潜め、僅か2試合の出場に留まった。それでも「いい経験になった」と語ったように、この経験が彼を大きくさせ、今度は環境の整った日本のピッチでの躍動を記しているはず。この高いモチベーションでこの試合に出場することになると、気をつけなければいけない存在になるだろう。

ただ、吉本一謙と田中秀人のセンターバックコンビは、天皇杯で千葉をシャットアウトしたように、連携面で成熟を見せており、ダニルソン封じがうまくいけば、十分に対応できる。ここ3試合で見せている安定感を、この試合でも見せられるかに注目したい。

岐阜が天皇杯の勢いそのままに、札幌への苦手意識をも払拭するのか。それとも札幌がキーマンの活躍で来季まで岐阜に苦手意識を植え付けさせるのか。昇格、降格が一切関係ない試合だが、岐阜をサポートする人たちにとって、これほどまで楽しみな試合は無い。

以上

2009.11.20 Reported by 安藤隆人