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【J2:第49節 横浜FC vs 栃木】レポート:徹底した「若林大作戦」を冷静にしのいだ横浜FCが、エデルのゴールの1点を守り栃木へのリベンジを果たす!(09.11.23)

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11月22日(日) 2009 J2リーグ戦 第49節
横浜FC 1 - 0 栃木 (13:03/駒沢/4,749人)
得点者:27' エデル(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch186 11/23(月)23:00〜(解説:都並敏史、実況:中村義昭、リポーター:高木聖佳)
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試合後の選手と監督のコメントに表れたこの試合における栃木のサッカーへの評価には、面白いコントラストが表れた。栃木の松田浩監督は「非常に良いサッカーをした」と評価した一方、横浜FCの監督、選手は異口同音に「若林学に向けて蹴ってくるばかりで、サッカーにならなかった」という述べている。サッカーそのもの質の評価はともかく、この試合の大きなポイントは、ある狙いを徹底してきた栃木の戦い方への対応にあったと言ってよかった。その狙いとは、4-4-2のユニットを作った組織的守備でボール奪い、若林に早めにボールを入れて、そのセカンドボールでチャンスを作ること。怪我でレオナルドを欠いた栃木が、自らのストロングポイントを生かしながら勝負に繋げる唯一の道と見定めたものだった。そして、松田監督が述べたように、その狙いはゴールを決めるという部分以外においては、ほぼ成功していた。

横浜FCも栃木も、中盤の組織的な守備からの切り換えを狙うスタイルは同じだが、横浜FCはロングボールを主体とする栃木の攻撃を網にかけることができない一方、前半つなぎにこだわる横浜FCの攻撃を栃木が寸断していく。「ユニットを意識しすぎてボールに出られなかった」と樋口監督が反省するように、ロングボールへの対応で守備にギャップを作ってしまった横浜FCのディフェンスラインが不安定になり、7分、9分と栃木が横浜FCの守備を崩し決定的なチャンスを作る。そして、その後も全体的な基調は、栃木の狙いがハマった状態が続いていく。横浜FCから見れば、栃木への相性の悪さが頭をよぎった27分、先制ゴールを挙げたのは横浜FCの方だった。赤井秀行から米山篤志にパスが渡った瞬間にエデルが米山にプレッシャーを掛けボールを奪うと、そのままキーパーと1対1となり冷静にゴールを決める。その後も、前半を通じて、栃木は狙いとするサッカーを表現しつづけただけに、栃木から見れば悔やみきれないミスからの失点となった。

後半になると、ビハインドを負った栃木はバランスを崩して攻撃への攻勢を強め、後半立ち上がりの6分間で、何度もゴール前のきわどい場面を作る。さらに、「若林大作戦」と言っても過言ではないほどの徹底した組み立てで、主導権は栃木が握るようになる。ただ、横浜FCとして助かったのは、栃木の攻撃が若林大作戦に偏ってしまったこと。栃木の攻撃が一本調子になったことで、「若林君から落とした所をカバーする作業を繰り返していた感じ」(戸川健太)というように、横浜FCの守備陣から見れば対応が取りやすい状態が続いた。それでも、栃木側に何度かきわどいチャンスも訪れたが、栃木のシーズンを通した課題である決定力不足が響いてゴールに結びつけられない。さらに惜しみなく攻撃的な選手である石舘靖樹、栗原圭介、稲葉久人を投入し、ゴールをこじ開けに掛かるが、そのゴールの鍵をあけることができずに試合は終了。横浜FCは、ゲームプラン通りの栃木の猛攻を冷静に凌ぐ形で、今シーズン栃木への初勝利を挙げ、リベンジを果たすことに成功した。

試合後、横浜FCの選手から出た言葉には、ロングボールが多く、ボールをつなぎながらイニシアチブを取るスタイルが全く表現できない試合展開への不満が溢れていた。それでも、「そういう試合でも今まで勝てていなかったので、勝てたことは評価できる」という戸川の言葉通り、試合展開を理解して勝点3を冷静に拾ったことはチームとしての成長の証として見ることができる。プレビューで書いたように、栃木のバランスの良い守備組織を横浜FCのスタイルで打ち破ることはできなかったが、その点は樋口監督が「ボランチのところでもっとシンプルにチェンジサイドすれば、かなり状況が変わる場面があった」と振り返るように、改善すべき点と認識されている。来年のステップアップへ繋げるためにも、残り2戦でクリアしていきたい。

一方の栃木は、けが人が続出する制約された状況の中においては、そのゲームプランを徹底できた。バランスのよい組織的な守備、そこからのカウンター攻撃など、チームとして1年掛けて積み上げてきたプレーは十分見せることができたと言ってよく、敗戦によってその価値が損なわれることはないだろう。決定力不足の部分は、残り2試合での課題というよりは、来年に繋がる課題。狙いを表現できたこの試合でのプレーの価値と、浮き彫りになった課題を冷静に見極めることが、来年に繋がっていくことになるだろう。

摂氏8.1度と12月下旬並みの気温、そしてボールが走りにくいピッチコンディションの中で、必ずしもエキサイティングな試合展開ではなかったが、横浜FC、栃木両チームが、1年を通じて学習した成果をピッチ上に見せたのも事実だ。その成果を、残り2試合で少しでも確実なものとして、来年に繋がることを祈りたい。

以上

2009.11.23 Reported by 松尾真一郎
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