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【J2:第49節 水戸 vs 愛媛】レポート:中村英之、値千金のヘディングシュートでKsスタ初勝利を呼び込む。愛媛は2度のゴールポスト直撃に泣く。(09.11.23)

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11月22日(日) 2009 J2リーグ戦 第49節
水戸 1 - 0 愛媛 (16:04/Ksスタ/2,555人)
得点者:86' 中村英之(水戸)
スカパー!再放送 Ch181 11/23(月)12:30〜(解説:遠藤雅大、実況:山下末則、リポーター:湯本久美)
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こう着した展開のまま迎えた86分、水戸が得た右CK。森村昂太が蹴ったボールは鋭く曲がりながらGK山本浩正の手をかすめ、中村英之の頭にドンピシャリ。ボールはゴールネットに吸い込まれ、値千金の決勝ゴールとなった。「とにかく勝ててよかった」と高崎寛之が安堵の表情を見せたように、水戸にとっては大きな1勝であることに間違いない。この1勝でJ2参戦以来初となる勝ち越しに成功。新たな金字塔を打ち立てた。そして、Ksスタでの初勝利という歴史に残る1勝にもなった。改築後ファーストゲームとなった前節仙台戦は0対4の惨敗を喫し、目の前で相手に胴上げをされてしまうという屈辱を味わった。その忌々しい残像を頭から消し去るためにも、いち早く勝利を手にしなければならなかった。それを達成したことに大きな意義があると言えよう。Ksスタがやっと水戸の『ホーム』になった瞬間が訪れたのである。

しかし、手放しで喜べる勝利ではなかった。「相手に助けられた気持ちの方が強い」と星野圭佑が振り返るように、愛媛の決定力不足に助けられた感は拭えない。前半は両チームともに攻め手を欠いたものの、後半に入り、横谷繁が投入されると流れは愛媛に。1トップ下の位置で横谷が起点となり、そこからサイド攻撃を誘発。78分には右サイドを崩して上がったクロスを赤井秀一がボレーシュート。しかし、ボールはゴールポストに嫌われ、この日、両チーム合わせて最大のチャンスを生かすことはできなかった。ただ、サイドを広く使って攻めるというチームの狙いとする攻撃が多く出るようになり、ゴールの予感が漂い始めた。

しかし、決定力を欠いているのが今の愛媛だ。バルバリッチ体制になってから10戦、その中の6敗のうち4試合が0対1。「決めるところで決められないから苦しくなる」と内村圭宏が言うように、自分たちの流れを作りながらも決定機を生かせずに敗戦を重ねてきたのである。この試合もそうだった。21分、スルーパスから抜け出した内村がGKとの1対1で放ったシュートがゴールポストに当たって外にはじき出されるなどチャンスを生かせなかったことが敗戦につながった。「負けに値する内容ではなかった」とバルバリッチ監督の言葉は負け惜しみには聞こえない。「攻撃でやろうとする形が出てきている」という内村の言葉通り、チームとして前進を見せているのは確か。あとは決めきる力強さが求められる。

14試合ぶりの完封勝利を飾った水戸。「かなりホッとしている」と話す星野をはじめ守備陣にとっては名誉挽回の勝利となった。しかし、星野は「やっていてモヤモヤした感じがあった」という。「うまくいかないところがかなりあった」(星野)。90分通して攻守においてアグレッシブに戦う水戸らしいサッカーは影を潜め、不完全燃焼の内容であった。特に攻撃においては「2次攻撃や連動性のある攻撃が出せないシーンが多く、縦1本のパスが多かった」と森村が振り返るように、流れが悪くなるとロングボール頼みになってしまう悪癖が出てしまい、淡白な攻撃が続いた。荒田智之や高崎、小澤雄希らが個人の力で打開しようと試みるものの、攻撃に厚みがなく、愛媛の守備をこじ開けられず。86分にCKからゴールを決めて勝利を手にしたものの、チームとして狙いとする形は見ることができなかった。

「運動量は悪いときと比べてアップしている」と森村が言うように、確かにあの公式戦9連敗のときよりチーム状態は上向いている。しかし、このチームのポテンシャルはこんなものではないはず。攻守において一体感に満ち溢れていた春先のサッカーを超えられずにいるという事実から目を逸らしてはいけない。水戸は成長していくチームである。終わりよければすべてよしではないが、試合ごとに上積みしているものを示していくことが重要だ。最後の最後で何を示すことができるか。それが今後数年のチームの幹になっていくに違いない。この90分の内容で満足していたら、さらなる成長は望めないだろう。今季、水戸が追い求めてきたサッカーは何なのか。それを示すことこそ、今の水戸に課された使命である。泣いても笑っても今季残り2戦。「いいシーズンだったと思えるためにも残り2試合は大事。やってきたことを出し切りたい」。中村は自らに言い聞かせるように語った。最高の集大成を、今季の水戸なら必ず見せてくれるはずだ。

以上


2009.11.23 Reported by 佐藤拓也
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